KVC Tokyo  やり直し英語塾
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塾長コラム記事




英語塾開設のご挨拶

2019年4月1日
















 塾長のコラム (随時掲載版)

2019年 7月〜12月分 (テキストのみ)



*時系列でそのまま上に追記しています。 

*PCサイトの、塾長コラム一覧リストより、フルバージョンの記事にアクセス出来ます。どうぞご覧ください。

* ソフトのバグに拠り、単語同士がくっついてしまう問題が発生しています。フルバージョンの記事をご参照ください。








ノルマン・コンクエストと英語



2019年12月20日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 英語の語彙には1万語ものフランス語からの借用が認められますが、なぜこの様なことが起きたのか、を理解しておくことは、英文読解の基礎的知識としても必要なことでしょう。借用と言っても、直接的な征服・非征服の関係無しに、いわば文化交流として中国から日本に言葉が流入したのとは全く異なり、コンクエスト conquest のタイトル通り、征服の結果もたらされたものです。逆に言えば、この征服が起きる以前の英国には、高度な政治的、経済的、学問的な立ち位置にあった対岸のフランスと交流し、それら高度な概念の言葉を文化として借用せんとする気持或いは機会を持たなかったことを意味します。日本人が遣唐使や優れた僧などを派遣し対岸の中国から進んだ文化を取り入れようと頑張った気概の様なものを持ち合わせて居なかったのでしょうか?

 11世紀初頭までは、海賊のデーン人が王様に立ったりと、古英語(西ゲルマン語)や古ノルド語 (北ゲルマン語)を話す未開のゲルマン人同士でブリテン島のぶんどり合戦に明け暮れ、開明の精神に欠けていた、或いはそれどころではなかったのかもしれません。まぁ、基本は収奪に長けた海賊の習性強い血統でしょうか。文化・芸術に花開いたローマ人とはだいぶ違っている様に感じます。

 ノルマンディと聞くと、第二次世界大戦の戦況転機の突破孔となった連合軍のノルマンディ上陸作戦を想起する方も多いだろうと思いますが、イギリスの対岸の大陸側の領域名です。現在のフランスの領土のドーバー海峡に面したノルマンディ地方は、11世紀にはフランス人の領土では無く、北方ゲルマン系(ノルマン人と呼ぶ)の入植地であり、当時の英国国王の従兄弟を領袖に据えた王国、ノルマンディ公国を形成していました。まぁ、英国の殿様の親戚が海外領土県で殿様を務めている様なもので、日本で言えば、蝦夷地に藩を構えた松前藩の様な感じでしょうか。但し、血筋は北方ゲルマン系のヴァイキングなのですが文化的にはフランス化し喋る言葉もフランス語です。余談ですが、現在のフランス人自体がラテン、ゲルマン、ケルト系の混血で、特に北半分ではラテン系の血が特別濃いとは言えません。

 西暦1066年9月、英国本国の殿様が世継ぎが出来ない件に乗じて、ノルマンディ公国の王、ギヨーム2世が今度はオレが殿様になって遣ると英国に渡り、僅か3ヶ月で王位を得る (ウイリアム征服王 William the Conqueror の名で即位、母親はフランス人庶民)と 同時に、これまでの英国貴族も次々と大公国の配下の貴族と入れ替えてしまいました (ノルマン朝の成立、ノルマン・コンクエスト)。日本ではこの3年前の1063年、康平5年に朝廷側の藤原頼義が陸奥国の土着豪族安倍貞任 (陸奥国を朝廷から半独立的に統治していた) を破り前九年の役が終結したばかりです。このおよそ120年後の1180年には頼義の子孫頼朝が鎌倉幕府を打ち立てます。日本史も世界史的な視点から眺めると俄然面白くなりますね。

 ノルマン・コンクエスト以後300年の長きに亘り、民族ではなく文化上のフランス人であるノルマン人が英国の支配階級として君臨し、当然のこととして、世の中の支配に纏わる文言や文書は全てフランス語が利用されることになりました。高度な概念の言葉の導入が図られたと言う訳です。征服と同時に文化ももたらした点に於いては幾らかローマ人には類似しますね。一方、英語は一般庶民の言葉として統制もされず、この間に動詞の格変化なども簡略化が進行して行きました。その代わりに前置詞を添えるなどして、格変化の代用をさせることも進んだ筈です。言わば「てにをは」で補完する策ですね。因みに、英国国王は普段は対岸のノルマンディ公国に滞在し、そこから英国本土に睨みを効かす統治です。松前藩が幕府に成り代わり、津軽海峡を挟んで蝦夷地側から内地を統治する様なものです。

 征服王の子孫が女性問題を起こし、フランス本国側と争いになり大公国の領土を失いはしました(1204年)が、実は当時は現在のフランス領土に相当するところは完全に現在のフランス人が掌握していた訳では無く、ノルマン人は大公国以外の各地に領土(or 親英派の土地)を持っていました。イングランド王が支配下に置こうとしたスコットランド王がフランスに亡命してフランス王家の庇護下に入ったことから、またイギリス王が自分にはフランス王家の血筋が入っているからフランス王の継承権があるとフランス王の跡目争いに乗じて主張もし、戦争を仕掛けます (100年戦争 1337年 - 1453)。英国軍が大挙して大陸に渡り戦争勃発となりましたが、英国は敗退し、英仏おのおのの領土並びに国境がこれで確定されました。

 大公国を失い、英国に引き揚げた王族や貴族は、100年戦争の勃発もあり、次第に英語を再び使い始めます。フランスとの対立が先鋭化する中で嫌仏の感情が強まり、これに併行して<国風文化>を醸成しようとの民族アイデンティティ確立の機運も高まっても来ていたのでしょう。

 既に簡易化されていた英語にフランス語からの大量の借用語がミックスされ、現在の英語の基本の形が斯くして作られるに至りました。格変化も少なくなり簡素化された上に、ラテン語由来の高度な概念を表現し得るフランス語の語彙を得て、英語がこの先世界語として普及し得る素地が整ったと言うことでしょう。ノルマン朝は英語熟成の面では結果的に良い仕事をしたと言うか、まぁ、いいとこ取りの言語の誕生です。大和言葉の統語(=文法)+漢語の組み合わせの日本語の成立に似ていなくもありませんが、非漢字圏の学習者には漢字の途中習得が甚だ困難ゆえ、英語と異なり日本語の普遍化は厳しいと思います。

 この少しあとで、今度は大母音推移 Great Vowel Shift と呼称される発音上の一大変化が進行しましたが、これは既に本コラム、発音と綴りの乖離の項にて触れています。



 言葉を学ぶことは歴史を知ることそのものであることがお分かり戴けたのではと思います。しかしながら今回は戦争の話ばかりとなってしまいました。

 今年の塾長コラムはこれが最後となります。皆様、どうぞ良い年をお迎え下さい!








アングロサクソン人とはC 1066年に何が起きたのか



2019年12月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 アングロサクソン人とは何者なのか、どこから遣って来てどんな言葉を話していたのでしょうか?

 この話の最終回の第4回目です。

 引き続き、以下のサイトを参考にして話を進めます。

https://www.bl.uk/anglo-saxons/articles/who-were-the-anglo-saxons

British Library Who were the Anglo-Saxons?

Article written by: Julian Harrison




1066年にアングロサクソン人に何が起きたのか?


 11世紀の間、アングロサクソン人のイングランドは一度ならず二度まで征服されました。その1度目として、デーン人の王Cnut クヌートは1016年に土着のアングロサクソンの王家を追い出し、彼とその息子の2代に亘り、1042年までイングランドを統治しました(デーン朝)。



 デーン人の進行に悩まされたエゼルレッド2世に関しては、wikipedia の記述が分かり易く、以下引用します:

Wikipedia contributors. "エゼルレッド2世 (イングランド王)." Wikipedia. Wikipedia, 13 Nov. 2017. Web. 13 Nov.2017.

「エゼルレッドは、その治世を通じて絶えずデーン人の侵入に苦しめられた。デーン人が侵入する都度、イングランドは「デーンゲルド」と称される退去料を支払ってきた。これは一時的な平和には寄与したものの、度重なる支払いでイングランド財政には大きな負担となった。  エゼルレッドは、デーン人がノルマンディーを拠点としてイングランドに攻撃を仕掛けることを恐れた。そのため、ノルマンディー公国と友好関係の樹立を図り、ノルマンディー公リシャール1世の娘エマと結婚した。

 また、エゼルレッドはデーン人に対する懸念から、国内のデーン人を虐殺した。このことは、当時のデンマーク王スヴェン1世の反発を招き、デーン人の侵入を激化させることになった。イングランドの国内勢力をまとめ上げることもかなわず、ついに1013年、デーン人の攻撃に屈して姻戚関係にあったノルマンディーへの亡命を余儀なくされた。こうしてスヴェン1世にイングランド王位を奪われたが、翌1014年にスヴェン1世が急逝した。そのため、エゼルレッドはイングランドに帰国して復位を果たした。しかし、デーン人のカヌート(のちのデンマーク王クヌーズ2世)がイングランド遠征を引き継いだため、引き続きデーン人との攻防は続いた。だが、1015年には3代の国王に仕えて「デーンゲルド」政策推進の中心人物であった重臣エアドリチがカヌートに内応して離反してしまう。これによってイングランド側は苦境に立たされる。

 こうした状況の中、生涯を通じてデーン人と争ったエゼルレッドは、1016年に病没した。その後、エゼルレッドの息子エドマンド2世が王位を継承した。しかし、間もなくエドマンドも死去したため、デーン人のカヌートがイングランドの王位につくことになる。 」




 エドワード懺悔王(エゼルレッド2世とエマ・オブ・ノーマンディーの息子、エドマンド2世の異母弟)が王位に就いている間の「デーン人が自国へ引っ込んだ幕間」が1066年彼の死と共に過ぎると、エドワード懺悔王は修道士として純潔を守り子孫が居なかったことから、世継ぎ問題でイングランドが揺れ動きました。最後のアングロサクソンの王ハロルド2世が1066年10月14日にヘイスティングスの戦いにてフランスのノルマンディー公ギヨーム2世(のちのウィリアム1世、エドワード懺悔王の従甥、自分も王位に就く正当性があると主張)に敗れ亡くなりました。

 生き延びたイングランドの貴族により選ばれたのはハロルド2世の後継者エドガー(エゼルレッド2世の次男エドマンド2世の孫、父親の亡命先ハンガリー生まれ、1125年没)でしたが、一度も権力の座に着けず戴冠することもありませんでした。新たなノルマン人の王朝はこの後ほぼ 3世紀に亘り(1066〜1154年、ノルマン朝、1154〜1399年、プランタジネット朝)イングランドを支配したのです。公文書や法廷用語に英語が再び使われ始めた1362年までは、一般民衆には理解も出来ないAnglo-Normanlanguage (フランス語のノルマンディー方言)やLaw French (法廷フランス語)が300年の長きに亘り使われて来たのです。


 この様に、デーン人の度重なる侵入によりイングランドの国土が彼らの支配下としてじわじわと削り取られ、アングロサクソン人の王家が弱体化しているところに、今度は対岸のフランスのノルマン人が最後に侵入してアングロサクソン人の王家は途絶えました。東と南からの波状攻撃ですね。斯くして1066年にアングロサクソン人が歴史の視界から消え去ったのです。ここで注意しておきますが、フランス語を話す対岸のノルマン人は、ラテン系の血の入ったフランス人では無く、北方ゲルマン人のヴァイキングがフランス北西部のノルマンディー(セーヌ川の河口)に住み着き、フランス語文化圏化し、「ノルマンディー公国」を建国したものです。デーン人とは親戚のようなものです。まぁ、ブリテン島の南半分を占めるイングランドの土地を巡って、北方ゲルマン系諸民族の間でぶんどり合戦が繰り広げられていたと理解すれば間違いでは無いでしょう。

 ドゥームズデイ・ブックは、土着のイングランドの多くの土地所有者並びに教会が1066年から1086年の間に自分たちの地所を実質的に失ってしまったことを証明していますが、アングロサクソン人は人口の最大区分であり続けました。

 彼らの言葉は、王家の公用語また法律システムとしてのフランス語に置き換えられましたが、12世紀またそれ以降に至るまで本は英語で執筆されました。1066年の年次記録では、アングロサクソン年代記 Anglo-Saxon Chronicleの一原稿が、アングロサクソンに対するノルマン・コンクエストがもたらした悲観的視点で描かれています−征服以降と言ったら物事はずっと悪くなって仕舞った、と。しかしアングロサクソンの習慣とイングランドの言葉はその後何世紀もの間被支配者の間では優勢で有り続けたのです。

 ノルマン人、ノルマンディ公国並びにノルマン・コンクェストに関しては、次回言葉としての英語の変遷の歴史と共に詳しく扱います。英国史の11世紀を押さえておくとそれを起点に英国への理解が一気に深まるのではと思います。言葉を知ることはその国の文化、歴史を知ることに他なりませんね。








アングロサクソン人とはB 宗教・社会



2019年12月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 アングロサクソン人とは何者なのか、どこから遣って来てどんな言葉を話していたのでしょうか?

 この話の第3回目です。

 引き続き、以下のサイトを参考にして話を進めます。

https://www.bl.uk/anglo-saxons/articles/who-were-the-anglo-saxons

British Library Who were the Anglo-Saxons?

Article written by: Julian Harrison




アングロサクソン人の信じる宗教は何だったのか?


 5〜6世紀にイングランドに入植したアングロサクソン人は非キリスト教徒でした。

 彼らの宗教的慣習に関しては情報も多くはなく、どう言うものであっのかあまり推測することも出来ないのですが、それらは彼らの埋葬慣行を見てのもの、或いは後世キリスト教徒が書いた記録から得たものになります。

 最も初期の時代の彼らの墓地を発掘したところ、非キリスト教徒であるアングロサクソン人が土葬以上に火葬を好んだこと、また時に遺体を埋葬品と共に埋めた事が判りましたが、これは彼らが来生を信じていた可能性を示唆しています。Bede に拠れば、アングロサクソン人の月と曜日の名前は非キリスト教に起源を持ち、他方、アングロサクソン人の神話に拠れぱ、王国の様々な規範はゲルマン人の神である Woden に全て遡るとされます。

 6世紀の晩期に、教皇グレゴリウス1世 Gregory the Great (509−604)は、ケントのAthelberht エゼルベルト王をキリスト教に改宗させるべく、イタリアの修道士アウグスティーヌを送りました。アングロサクソン人の王国らは、それに抵抗する孤立地区を伴いはしましたが、次の世紀を通じてローマからの伝道師及びアイルランドの修道士の影響下でキリスト教を採用するに至りました。

 ノーサンブリアでのキリスト教の採用は、ケントでの改宗に見られたのと同様、それに対する王の支持が決定的に作用したものです。ノーサンブリアを改宗させるべくオスワルド王は、スコットランド西岸アイオナからアイルランド出身の聖エイダを招きましたが、エイダは司教職の新たな場としてリンディスファーン島を選びそこに修道院を建てました。

 どうしてアイルランドからカトリック教会の伝道師がイングランドに遣って来たのか不思議に感じる方が大半だろうと想像しますが、アイルランドはローマの侵入及び撤退後にキリスト教化が進行し、一方ブリテン島にはアングロサクソン人の侵入があったため、布教が遅れていたと言う次第です。現在でもアイルランドでは国民の殆どがローマカトリック教徒ですが、キリスト教の布教面ではアイルランドの方がイングランドよりも先行して居た事になります。




 いささか脱線しますが、その当時の日本はどうだったのでしょうか?当時の日本人は文字も持たなかったのか、自前での歴史的記録はありません。アングロサクソン人のブリテン島への入植に先立つこと200年程前の記録になりますが、中国の魏志倭人伝から様子を窺うことになります。

 魏志倭人伝(ぎしわじんでん)は、中国の歴史書『三国志』中の「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条の略称ですが、『三国志』は、西晋の陳寿により3世紀末(280年(呉の滅亡)- 297年(陳寿の没年)の間)に書かれています。

以下、https://ja.wikipedia.org/wiki/魏志倭人伝 の中から引用します:


「卑弥呼と壹與

 元々は男子を王として70 - 80年を経たが、倭国全体で長期間にわたる騒乱が起こった(いわゆる「倭国大乱」と考えられている)。そこで、卑弥呼と言う一人の女子を王に共立することによってようやく混乱を鎮めた。

 卑弥呼は、鬼道に事え衆を惑わした。年長で夫はいなかった。弟が国政を補佐した。王となって以来人と会うことは少なかった。1000人の従者が仕えていたが、居所である宮室には、ただ一人の男子が入って、飲食の給仕や伝言の取次ぎをした。樓観や城柵が厳めしく設けられ、常に兵士が守衛していた。

 卑弥呼は景初2年(238年)以降、帯方郡を通じて魏に使者を送り、皇帝から「親魏倭王」に任じられた。正始8年(247年)には、狗奴国との紛争に際し、帯方郡から塞曹掾史張政が派遣されている。「魏志倭人伝」の記述によれば朝鮮半島の国々とも使者を交換していた。

 正始8年(247年)頃に卑弥呼が死去すると塚がつくられ、100人が殉葬された。その後男王を立てるが国中が服さず更に殺し合い1000余人が死んだ。再び卑弥呼の宗女(一族or宗派の女性)である13歳の壹與を王に立て国は治まった。先に倭国に派遣された張政は檄文をもって壹與を諭しており、壹與もまた魏に使者を送っている。 」


Wikipedia contributors. "魏志倭人伝." Wikipedia. Wikipedia, 31 Oct. 2019. Web. 31 Oct. 2019.


 この記述から見ると、巫女的な神格化された女性を祭り上げ、その権威のもとでクニを統制するとの、呪術的宗教態勢下のヒエラルキー構造の社会であったことが窺えます。後に伝来した体系の整った「まともな」宗教である仏教からみれば、paganism と呼んでも違和感はありません。東アジアモンゴロイドの土俗宗教であるシャーマニズム系の宗教でしょうね。この様な土着的宗教を体系化して洗練させて行き、成立した宗教が日本の神道である様に塾長は考えますが、何をいい加減なことを言っているのだと宗教学者から叱られるかもしれません。

 因みに安田靫彦画伯の『卑弥呼』は滋賀県立近代美術館に収蔵されており(2021年3月末まで休館中)、また卑弥呼の復元3D像は大阪府立弥生文化博物館にて常設展示されています。興味のある方は是非お出かけ下さい。




アングロサクソン人の社会はどのように組織されていたのか?


 アングロサクソン人の社会はヒエラルキー(ピラミッド型の階層型組織構造)でした。その頂点には王とロイヤルファミリーが君臨し、次いで貴族、司教並びに教会関係者が並びます。底辺には社会の不自由身分である奴隷が占めていました。

 2つの要となる情報源からアングロサクソンの社会機構の実体を知る事が出来ます。1つは、ケントのエゼルベルト王(604年没)が定めた一番初期の法典、他はドゥームズデイ・ブックです。エゼルベルト王の法律は犯罪者と受傷者の地位に基づく、償いと罰則からなる込み入った体系でした。

 これら2つからは、アングロサクソン人のイングランドでは女性が権利を持っていたことが明らかになっていますが、それは個人の婚姻上の地位に従うものでした。償いは女性には支払われず、その代わりにその女性の父親、夫或いは兄弟に与えられるものでした。

 ドゥームズデイ・ブックは、1085年のクリスマスに征服王ウィリアム1世  (イングランド王、1066-1087) により作成を命じられ一年以内に完成しました。この土地台帳には11世紀のイングランドでの土地所有及び他の財産所有の形式について記述されています。征服者であるノルマン人により編集されたものではありますが、アングロサクソン人により設立された管理機構を元にしている事は明らかです。英国郡部を shire (シャー、‐shire を語尾とするイングランド中部の諸州)に分割する区割りはほぼ1974年まで丸のまま残っていましたが、これもまたアングロサクソン人の習慣に基づくものであり、ドゥームズデイ・ブックにその証拠が残っています。

 英国の街の名に Yorkshire, Berkshire, Buckinghamshire, Oxfordshire, Northamptonshire, Leicestershire, Lincolnshire,Nottinghamshire などがありますが、これらの州や群の区割りは遅くとも11世紀に遡れる訳ですね。尤も、本邦の現在の都道府県の区割りは奈良時代の風土記成立まで遡れますので、日本の歴史の方が資料豊富且つより古代まで遡ることが出来ます。ヨーロッパの諸国でも僅か5〜600年前である15世紀以前の歴史記録もほとんど残っていない国が多いのですが、ギリシア、ラテン、中国の記録には敵いませんが日本はまだずば抜けていますね。








アングロサクソン人とはA 言語文化



2019年12月5日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 アングロサクソン人とは何者なのか、どこから遣って来てどんな言葉を話していたのでしょうか?

 この話の第2回目です。

 引き続き、以下のサイトを参考にして話を進めます。

https://www.bl.uk/anglo-saxons/articles/who-were-the-anglo-saxons

British Library Who were the Anglo-Saxons?

Article written by: Julian Harrison




なぜアングロサクソン人はアングロサクソンと呼ばれるのか?


 アングロサクソン人は自身をアングロサクソンどは呼びませんでした。この用語は8世紀になり初めて使われましたが、それはブリテン島に住むゲルマン語話者をヨーロッパ大陸のゲルマン語話者達と区別する為の用語でした。

 786年に、オスティアの司教ゲオルグがイングランドに旅行し教会の会合に参加しましたが、彼はその時のことを教皇に、自分は Angul Saxnia アングルサクスニアに行ってきたと報告しています。今日では、歴史学者はアングロサクソンの用語を、ローマ占領時代とイングランドのノルマンコンクエストの間の時代に言及する時の簡潔な言い回しとして使っています。




アングロサクソン人は何語を喋っていたのか?


 アングロサクソン人は我々が今日知る古英語 Old English を話していましたが、近代英語の祖先に当たります。例えば古フリージア語、古ノルウェー語、古高地ドイツ語と言った他のゲルマン諸語とは最も近い親戚関係にあるのです。

 イングランドのアングロサクソン人に拠るアングロサクソン語の文献が遺っていますが、West  Saxon, 西サクソン、Northumbrian ノーザムブリア、また Mercian. マーシアと言ったイングランド内の異なる地域で異なる方言が話されていたことが分かっています。最古の英語詩である Caedmon’s Hymn (658 -680 年頃に編纂された)はイングランドのノーサンブリアンの方言で編まれています。


 イングランドのアングロサクソンでは、或る特定の個人に於いては数多くの他の言語が話され理解もされていました。これにはラテン語(教会の言語並びに学習言語)。ギリシャ語、コーンウォール語、アイルランド語(アイルランド語は初期の数多くの伝道師の言語でした)

 9世紀に始まるイングランドへのバイキングの侵入の時から、イングランドの北部並びに東部の多くの地域にわたり、古ノルウェー語が話されましたが、これは現在まで遺る多くの地名からも明白です。例えば、近代のヨーク York はスカンジナビアの名前、ヨーヴィック Jorvik に由来しています。

 遺された英語の古文書を見ると塾長は1語も読めません。上代語である万葉集 (630?- 759年までの約130年間の歌が収録)や古事記 (和銅5年 712年 に太安万侶が編纂し元明天皇に献上)をひらがな表記にすれば、大方の意味が掴めますが、この様に考えると日本語は大して変遷もしていない言語だなぁと感じてしまいます。




アングロサクソン人は読み書き出来たのか?


 イングランドのアングロサクソン人の読み書き能力のレベルは後の世紀のものほど高くはありませんでしたが、アングロサクソン人社会の数多くの者達は読み書きが出来ました。1100年以前に書かれ或いは所有されたほぼ1000冊に達する書物が、数百の書類(羊皮紙1枚に書かれたもの)と共に現在まで遺っています。

 これら書籍や書類には、

 宗教目的で作られた写本(聖書、詩編、祈祷書)

 聖人の生涯並びに伝記(Asser に拠る『アルフレッド王の生涯』の類例無き中世写本は残念ながら1731年に焼失しました)

 修道士の記録(例えばEly の農作業雑録)

などが含まれます。

 英語の最も偉大な叙事詩の1つである Beowulf の類例無き写本が遺されていますが、これは西暦1000年頃に写されたものです。ノルマンコンクェスト以前の古英語で書かれた最長の叙事詩となります。

 イングランドのアングロサクソン人のラテン語学習熱は、Aldhelm 並びに Bedeなどの著作者に例示されますが、 Theodore 大司教(669−690)が7世紀にカンタベリーに設立した学校に拠っても示されます。

 ウェセックスのアルフレッド王 King Alfred of Wessex (871−899)は、9世紀にラテン語学習の低下について問題視し、それに対応せんと重要ラテン語を古英語に翻訳する制度を制定したのです。








アングロサクソン人とは@ どこから来たのか?



2019年11月20日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 皆さんもアングロサクソンと言う言葉はたびたび耳にしたことがあると思いますが、その意味するところを正しく知り得ている方は少ないのではと思います。フランス語で英語のことをアングレーズと言うので、英国人とサクソン人の混血かぁ、などと思われる方もおられるかもしれませんね。

 たまたま British Library の web サイトを眺めていたところ、アングロサクソン人についての記事が目に入りました。今回はその記事を参考にしながらアングロサクソン人について採り上げましょう。アングロサクソン人とは何者なのか、どこから遣って来てどんな言葉を話していたのでしょうか?今回から4回に亘り採り上げていきます。

https://www.bl.uk/anglo-saxons/articles/who-were-the-anglo-saxons

British Library Who were the Anglo-Saxons?

Article written by: Julian Harrison


 著者のJulian Harrison 氏は British Library の中世史写本文献担当の curator 学芸員ですので豊富な文献を例示しながら解説を加えており、数多くのアングロサクソンを巡る web サイトの中で文字通りの圧巻と感じられます。是非ご覧ください。

 アングロサクソン人とは、5〜6世紀に掛けて英国に植民した者達ですが、当初は多数の小集団として上陸し、数多くの王国を打ち建てました。最終的には英王国 the kingdom of England として政治的に単一の王国に纏まりました。これはアゼルスタン王の統治時代(924−939)の事です。




アングロサクソン人はどこから遣って来たのか?



 8世紀の記録として、ノーサンブリア(スコットランドの南に隣接する古王国)の修道士であった尊者ベーダ Bede theVenerable (735年没)が、彼の『イングランド教会史』(731年)(羅: Historia ecclesiastica gentis Anglorum, 英:Ecclesiastical History of the English People, 5巻)の中で、これらの移民について記述しています。原典はラテン語で記述されており、


https://archive.org/details/historiaecclesia00bedeuoft


ここからラテン語原典(英文の注釈附き)が、またラテン語版、現代英訳版が共にアマゾン通販で入手可能です。英国民のキリスト教への改宗の歴史を述べた書物です。


「彼らは3つの強大なゲルマン人であるサクソン、アングル、ジュート人に由来する。ケント Kent (ブリテン島の南東端)の住民と Wight島の住民はジュート人起源で、更に Wight島に向き合う Wessex 王国の一部も今日依然としてジュート国と呼ばれている。

 東、南、そして西サクソンの人々は、サクソン国つまりは古サクソンとして知られる地区から遣って来た。

 これ以外にも、アングル国(Angulus と呼称される)つまりはジュート王国とサクソン王国に挟まれた土地からは、東、中央アングル、Mercians、ノーサンブリアの全住民(即ち River Humber ハンバー川 の北側に住む者達)が遣って来た。アングリアの人々も同様である。アングル国はその当時から今日に至るまで見捨てられたままになっていると言われている。」


 Bede の記述は、考古学的な証拠の範囲では支持されています。 例えば Spong Hill in Norfolk と言った東イングランドの墓地の発掘の結果、初期のアングルサクソン人の埋葬慣行と北海に面する地域の他のゲルマン人のそれが非常に類似することが判明しています。例えば、Binham Hoard の最近の発見では、5〜6世紀に東アングリアに住んでいた人々が、スカンジナビア及び現在のドイツ地域から発掘されたものと大変よく似た宝飾品を身に付けていたことが示されています。


 ジュート国とは現デンマークの半島(ユトランド半島、Jutland、ジュート人の住む半島)の北半分、アングル国とは南半分、サクソン国とは半島の付け根の領域です。ローマ帝国がブリテン島から撤退したのと引き替えに移民を開始した訳ですね。先住民であるケルト系住民を支配下に置き、或いは駆逐して行ったのです。




アングロサクソン人はどこに入植したのか?


 証拠からは、最初はイングランド東部に入植したのち、西にまた北部に移動してそれまでブリトン人(ケルト系)が住んでいた領土を占領したことが示唆されます。ウェールズはブリトン人の拠点の地であり続け、またカンブリア(ウェールズ語でウェールズを指すCymru カムリと同根)はおそらく他の北の方のイングランドよりも長い間、侵入者に対抗して保持されていたのでしょう。コーンウォールも10世紀まではケルト人の独立が維持されていたのです。

 Gildas ギルダスと Bede は、ブリトン人とノーサンブリア人について各々概観していますが、早い世紀に於けるアングロサクソン人とブリトン人との間の一連の紛争を描写しています。

 Gildas は、アングロサクソ人の到来は、あるブリトン人のリーダーの堕落した行いに対する神からの罰であったと仄めかしています。

 アングロサクソン人をアングル人、サクソン人、ジュート人へと分けることは、おそらく Bede が明言する程には明確なものではなかったにしても、彼らのヨーロッパ大陸との関係は幾つかの王国の名に保たれています。例えば、南部及び西部イングランドのサクソン王国(西サクソン West Saxons の Wessex、南サクソン South Saxons の Sussex、中央サクソン Middle Saxons のMiddlesex、東サクソン East Saxons の Essex)、並びに東、北、中央地域のアングル王国(東アングリア East Anglia,、ノーサンプリア Northumbria、及び Mercia)と言った様に。

 ユトランド半島及びその付け根の地域からブリテン島に侵入した訳ですが、隣り合う民族(部族と呼ぶ方が正しいかもしれません)ですからゲルマン諸語の中の方言程度の違いしか無かったのかも知れず、互いの情報が行き交い、オレもオレもと入植を開始したとも言えそうですね。それら民族がローマ撤退後の空白の地であったブリテン島を、つばぜり合いをして割拠したことになります。


 北海に面した厳しくまた寒冷な居住地よりは、ローマ人が放擲後のパワー不在の土地であったブリテン島の方がまだ自由に開拓も出来るとの思いで移民したのでしょう。この1000年後に、今度は一部の者達がブリテン島を脱出し北米大陸へと移民を始めることになりますが、厳しい見方をすれば、ヨーロッパの本拠地の実り豊かな土地に拠点を構えることが出来なかった文化的に弱い民族が、つぎつぎと新天地を求め、「我が物顔」で新たな土地を収奪し、更に弱い立場の先住民の文化を蔑ろにして来た話ともなります。これをアングロサクソン人の民族的習性として理解しておくと、外交関係にも当然生かすことが出来るのではないかと塾長は考えます。− 支配し得たのは、文化的に劣位の者が居住する土地ばかりでした。

 ブリテン島並びにアイルランド島が肥沃な大地であれば、ローマ側が手放すことも無かった筈です。実際には火山も無く、ミネラル分に乏しい痩せた寒冷な土地である為、アングロサクソン人はそこに入植はしたものの、同じく、別の<劣った>民族の土地を軍事力の行使を通じ植民地化して利益を収奪する、或いは金融で生きるぐらいしか道が無かったのかしれません。

 英国人が記述するアングロサクソン人の成立についての解説には、British Library 職員執筆のの記事ではあっても、この様な、収奪と支配の視点はほぼ封印されている様に感じています。歴史書は−web の記事や動画を含めて−執筆者の側のマズいことには触れませんので批判的な読解が必要と言う事ですね。









英語に一番近い言語 フリジア語



2019年11月15日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 言葉の系統関係を考えた場合、文法構造が似ている事がまず第一の血の濃さ比べの道具となります。例えば日本語と朝鮮語やモンゴル語は、言葉の順序や助詞に相当する言葉の使用などに大変近いものが見られます。しかし個々の単語や発音は殆ど共通するところはなく、意思疎通は互いに困難 (unintelligible) です。逆に、日本語と中国語は同じ漢字文化ですので、書面を見れば相当程度に言わんとしている意味が理解可能です。日本語の60%は中国から借用された漢熟語、また中国語の40%は既に和製漢熟語で占められているそうです。しかし文法構造は全く別個のシステムから成り、言語の系統としては遠い存在です。我々が漢文を見れば大方の意味は分かるものの、返り点を打ったりして読み進めばならないことがこのことを見事なまでに例示します。

 歴史的に系統の異なる言語同士で言葉の貸し借りが進み影響し合うものの、言語としての構造が頑固に維持されると言うのは面白いですね。こんな按配で、言語としてのDNAは言語の造り、言語構造にまさに宿っている、と考えて不都合はありません。市井の言語研究家が恣意的に選択された単語をピックアップし、こんなに日本語に類似してる、日本語の起源はその言葉だ、などと言い立てる例が散見されますが、学問的な意義は低かろうと考えます。全ての学問領域に当てはまることと思いますが、事象を表面的に計測・比較するのではなく、意味のあることを見いだした上で計測・比較することが肝要です。


 さて、言語構造の解析に拠り、英語に一番近い言語は、オランダやドイツ領域内の各々小さな地域で話されているフリジア語であることが判明しました。

 西ゲルマン諸語の中でも、英語、フリジア語、オランダ語、低地ドイツ語は互いに近く、その中でも更に英語とフリジア語は Anglo-Frisian 語と一括りにされます。しかしながら、フリジア語話者の言葉を聞いても、オランダ語や、ドイツ語のどこかの地方の訛りとしか聞こえません。実際のところ、英語話者との意思疎通は不可能とのことです。しかしながら、オランダ語の強い影響を受けてしまったとのことで、オランダ語話者とは意思疎通が出来るとのことです。歴史的には、フリジア語と英語の共通言語を話す者の内、ローマ帝国の撤退の後、5世紀以降にブリテン島に渡ったものが英語話者(古英語)となり、ヨーロッパ大陸に残留した一派が衰退し、フリジア語話者圏として細々と生き残っているとの図式も描けますね。オランダ語や低地ドイツ語圏に呑み込まれ同化してしまった者達も多数居るのでしょう。

 標準ドイツ語はNHK の語学番組で教えられるドイツ語ですが、中〜高地ドイツ語に相当します。北海に近いところのドイツ語、詰まりは低地ドイツ語とは随分と違ってますが、別の言語扱いが出来るほどの違いがある様に感じます。実際、意思疎通が困難とのことです。尤も、低地ドイツ語圏の住民は標準ドイツ語は話せます。標準ドイツ語は、発音も低地ドイツ語、オランダ語とはだいぶ違って来ていますね。塾長には発音がハフハフ聞こえ、これが母音過剰と言われる事かと思い出しました。

 それでも、オランダ語とドイツ語は文の構造は一部語順が入れ替わる所はありますが、非常によく似ています。英語−オランダ語の関係よりは、オランダ語−ドイツ語の方が明らかに近いと感じます。

 ご存じのように、鎖国中の日本(徳川幕府)は長崎の出島を通してのみ欧州とは唯一オランダとの遣り取りがあり、学問としての医学もオランダ語の書物を通して持ち込まれました。幕末にオランダ以外の西洋からの知識吸収も必要と考えた幕府は洋学の研究機関として蕃書調所 ばんしょしらべしょ、を設けましたが、これが後の開成学校、そして帝国大学へと繋がります。蘭学を継続していたからこそ、素早い対応が出来たのだろうと推測します。イギリスはオランダの後塵を拝し、アジアへの進出が遅れ、徳川時代には日本に直接的な学問的利益を与える関係が構築出来ませんでした。しかし、その英国の嘗ての植民地だった米国の黒船来航が刺激となり蕃書調所が開かれたことになります。


 英語が、オランダ語、フリジア語、そして低地ドイツ語から離れてしまった歴史的経緯については、近代英語成立の観点から後に触れたいと思います。









英語はゲルマン語かA



2019年11月10日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 今回は英語と他のゲルマン諸語との関係並びそれ以外の言語からの影響についてざっと触れたいと思います。


 この先のコラムにて、ノルマン・コンクエスト(フランス文化圏のノルマン人による11世紀以降300年間に亘る英国支配)について詳述しますが、その影響により、英語の語彙には1万語ものフランス語からの借用が認められるに至りました。借用と言っても、文化交流として中国から日本に言葉が流入したのとは全く異なり、武力を背景とする征服の結果もたらされたものです。逆に言えば、この征服が起きる以前の英国には、高度な政治的、経済的、学問的な立ち位置にあった対岸のフランス文化圏と異なり、それら高度な概念に相当する言葉、或いはピタリとくる訳語にすべき言葉を語彙として持たなかったことを意味します。まぁ、5世紀にケルト人を追い出した、古英語(西ゲルマン語の一派)を話すアングロサクソン人に対し、10世紀には古ノルド語 (北ゲルマン語)を話すデーン人が侵攻するなど、言わば未開のゲルマン人同士でブリテン島のぶんどり合戦に明け暮れ、文化的には高くは無かったのでしょう。もっとも、ノルマン人は北方ゲルマン人が現在のフランスのノルマンディー地方に入植しフランス語文化圏入りしたもので、矢張り基本はゲルマン系です。

 実はフランス語自体が、俗ラテン語とフランク人の話していたゲルマン語がミックスして出来た言語であり、現在のフランスの北2/3ほどの地域で話されている言葉でした。南1/3の方は、イタリア語、スペイン語などと同様の、ラテン語の俗化した方言である俗ラテン語の一派、オック語圏であり、現在も南フランスでは話されています。しかしフランス政府は中央集権的な姿勢を強め、この様な地方言語や方言に対し、100年以上前から圧力を加え続けています。ブルターニュ半島のブルトン人(英国側から渡来した入植ケルト人)が話すケルト語はじめオック語に禁止政策を採り続け、話者数は格段に減ってきています。


 興味深い論文がありますのでご紹介しましょう。

Denglischの危険性─ドイツ語の現状について─ 

Gudrun GRAEWE 立命館言語文化研究19巻2号

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/19-2/RitsIILCS_19.2pp.225-238Graewe.pdf 

(無料で全文読めます)


 この論文に拠りますと、


 ドイツ語は2000年以上前から外来語の受け入れを許容してきた混成言語であり、現在のドイツ語の語彙の80%は外国語起源のものである。(まぁ、英語に大量のフランス語が流れ込んだのと同じ様なものですね。) 外来語を調音法や綴り方でドイツ語風に仕立てた結果、話者には外来語とは判別出来なくなっている語彙も数多存在する。

 ドイツではすでに17世紀から,外来語をなるべくドイツ語に翻訳しようとする動きが見られたが、これは排外的・民族主義的動機ではなく、分かり難い外来語を多くの国民が理解出来るよう言語障壁を改善する目的のものだった。ドイツ語自体には他国の学者が討論している事象に対する様な語彙が無く、周囲の国家の言語に対する劣等感を拭いたいとの意向もあってのことである。第二次大戦中の支配者は外来語を排斥するどころか、寧ろドイツ語の概念にフランス語などを当て、<高貴>なイメージを醸し出そうと意図した位だった。

 現在では、英語文化の決定的且つ支配的な役割(言語帝国論との考え方もある)の元に、数多くの英語の流入が続いたままだが、ドイツ語の構造に侵食しそれを破壊する迄には至っていない。フランスが1994年に「フランス語使用法」(トゥーボン法,Loi  Toubon26))を制定し、外来語の排斥に乗り出したが、ドイツにはその様な法律を制定する動きは無い。しかし、ドイツ語風外来英語Denglish の無制限の流入はやがてはドイツ語の根幹そのものを変える危険がゼロとは言えず、英語がカンブリア語や多くの北米インディアンの言語,オーストラリア先住民族の多くの言語などに取って代わり、またゲール語,ウェールズ語など幾つかの言語が英語による脅威の中にあることを考えるべきである。ドイツ語への大量の英語の流入の実情は、ドイツ語学習者に対するドイツ語の魅力を低下させるおそれもある。

 (抄要訳塾長)



 塾長はドイツ語の素養浅く、現在のドイツ語の中に大量の英語起源の語彙が混ざり込んでいると知り、寧ろ驚いたぐらいですが、ゲルマン祖語に由来する語彙が濃厚に残されているとの考えはどうやら誤解だった模様です。しかし、話は逸れますが、英語の影響を受けたドイツ語 Denglisch デングリッシュの名はでんぐり返しを連想させます。ドイツ語の根幹は英語によりひっくり返されるまでには至っていない模様ですが・・・。

 ミロス・フォアマン監督の1984年公開の映画『アマデウス』のシーンで、ドイツ語でオペラを作ったらどうかとの問いかけに、バッハ風?のカツラを纏ったイタリア人音楽家がヨーゼフ2世(マリー・アントワネットの兄)に対し、イタリア語に比べてドイツ語は卑しい言葉ですからと遠慮がちに述べる1シーンがあり、塾長の記憶に残っています。芸術文化咲き誇るイタリア語からのドイツ語に対する低評価が見て取れるシーンですね。


 著者の GRAEWE 氏がドイツ語への大量の英語の流入を問題提起する一方、ドイツ語はゲルマン祖語由来の複雑な格変化、時制、相表現を色濃く残しており、言語形態としては強固な屋台骨がある様に見えます。1億人近い話者数が存在することを鑑みると、高度な文化を持たない少数話者言語が英語に呑み込まれ言語交替、消滅して行くのと同様の道筋を辿るとはとても思えず、上手く消化されて行く様に塾長は思います。

 この様に考えると、英語に対して大量のフランス語の流入があったにしても、英語の言語形態そのものに必ずしも影響をもたらしたとも考えられず、英語の格変化、活用の減少、消滅は、英語が離れ小島の中に閉じ込められ、ゲルマン祖語圏のグループから離れる地理的隔離の元で、固有の簡略化を来した可能性を考えて良いと思います。フランス語由来の語彙は、日本の小学生が漢字熟語を学習する様に、英語話者の学習の進度に伴い習得されて行くのでしょう。英語自体のこの様な高度な概念の取り込みは、複雑な活用無き簡単に習得出来る言語特性と相俟って、同時に高度な概念も表明できる言語として圧倒的支配力を持つに至ったことを、十分納得させるものだろうと塾長は考えます。

 ヨーロッパ大陸の「向こう側」の島国とアジア大陸の「こちら側」の島国日本とで、どちらも大陸側からの高度な概念を持つ言語の言葉を移入しつつも元々の言語構造は基本的に維持している面で、英語と日本語は似たところがあると感じます。いずれも高度な概念を表現可能な言語に発達していますが、漢字の音訓読みの複雑さなどもあり、外国人の中途学習者が例えば日本語の新聞を中学生並みに読み進めるのもなかなか難しそうに見えます。








英語はゲルマン語か@



2019年11月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 英語はドイツ語などと同類であってゲルマン語系の一族とされますが実際はどうなのでしょうか。英語はフランス語(ロマンス語系)から1万語程度の語を借用していると前に書きましたが、それではそれ以外の他の言語からの影響はどの程度でしょうか?また他のゲルマン語とはどう違っているのでしょうか? 

 これから暫くは言語としての英語の位置づけや成立について触れていきたいと思います。高校や大学の英語の授業では触れられる事は殆ど無いと思いますが、英語に関して知っておくべき必須の教養とお考え下さい。

 今回と次回の2回では、英語成立の歴史的な側面に触れつつ、英語はゲルマン語系なのかを考えて行きます。




ゲルマン語とは


 ゲルマン語派はインド・ヨーロッパ(=印欧)語族の中の1つの語派であり、ゲルマン祖語から分化・派生したと考えられています。東、北、西ゲルマン語群の3つに分類されますが、東ゲルマン語群(クリミア半島の一部で18世紀まで話されていたクリミアゴート語など)は死語となっています。

 北ゲルマン語は北欧諸国並びにアイスランドで話される諸語です。一方、西ゲルマン諸語はそれ以外の地域で使用される諸語ですが、大きく分けて、アングロ・フリジア語(ブリテン島周辺の英語並びにオランダの北東小地域でのフリジア語)、低地ドイツ語(オランダ語、フラマン語、北部ドイツ語)、並びに高地ドイツ語(標準ドイツ語)の3つに分類されます。ヨーロッパの中での分布を見ると、ロマンス諸語(スペイン、ポルトガル、フランス、イタリア、ルーマニア語などの俗ラテン語)圏並びにスラブ語(ポーランド、ユーゴスラビア、ロシア、ウクライナ語など東欧で使用される語)圏に比して、意外にこじんまりとした範囲で使用される言語に思えます。しかし世界に目を向けると、北米、豪州、南アフリカ等の入植地でも利用され、総計5億1千5百万人のネイティブスピーカーにより利用される言語です。尤も、例えば北米でカナダと米国合わせて3億人が英語を使用する計算ですので、ゲルマン諸語のヨーロッパでの使用人口は合計2億人となります。その内訳ですが、ノルウェーが人口533万人、スウェーデンが991万人、デンマーク571万人、アイスランド36万人で北ゲルマン語で合計2000万人、オランダ1731万人、ドイツ8300万人、英国6644万人で西ゲルマン語で1億7千万人となります。ドイツ語と英語の勢力が強いですね。

 余談ですが、東京都の人口が1361万人ですので、東京の周辺地域を少し加えるだけで2000万人を超え、北ゲルマン諸語の話者を凌駕します。日本語話者数は1億2500万人と推計されますが、起源不明の孤立言語とされ、使用地域は日本列島にほぼ閉じ込められているものの、大きな勢力の言語であることが分かります。言語としての完成度並びに充実度が高く、他国語の出版物を日本語に遜色なく翻訳、出版できますが、これが不可能な(=高度な概念を表す用語を持たない)言語が多く、例えば英語の本をそのまま児童や学生の教科書として使わざるを得ない国々も多いのです。




ゲルマン語の歴史

 ゲルマン祖語はBC500年頃の鉄器時代にスカンジナビアで話されていたと考えられていますが、BC200年頃にゲルマン民族大移動の開始に伴い、現在の北ドイツ及び南デンマークにまで拡大しました。祖語並びに以後の派生語も全て、インド・ヨーロッパ祖語からグリムの法則と呼ばれる子音変化(例:ラテン語のpater パ−テル→ 英語の father、p が f に変化)、並びにヴェルナーの法則として知られる音韻推移(印欧祖語でp, t, k が強勢のない音節の直後に来る場合有声閉鎖音 b, d,g として出現、例:pater のt がfather のth d音に移行)を来しているとのユニークな言語特徴を保持しています。似た様な変化は日本語にも起きている様に見えます。特にヴェルナーの法則は日本語で言う濁音化に近く、東日本訛りに似ている様に思います。因みにグリムの法則を発見したのはグリム童話を編纂したグリム兄弟の兄の方の言語学者ヤーコプ・グリムです。

 ゲルマン諸語は、やがて言語的に変異が大きくなり、10世紀頃には互いの意思疎通が困難になりました。409年にローマ帝国がブリタンニアを放棄後に、デンマーク及び北部ドイツからのゲルマン人(アングロサクソン人)が侵入し、先住民のケルト人並びにケルト語を駆逐し辺境に追いやりました。この後、ブリテン島で話されていたのが Old English 古英語ですが、9世紀後半からのデーン人を中心とするバイキングの侵入と定着(デーンローと呼ばれるブリテン島東部地域への)は古英語の文法の破壊と12世紀からの中世英語 Middle English への移行を手助けしたのだろうと考えられています。

 中世初頭には、ブリテン島での中世英語の発展、それと大陸での高地ドイツ語への子音推移に始まる高地ドイツ語と低地ザクソン語(=低地ドイツ語)の分離が始まり、近世初頭には2つの差が拡大し互いの意思疎通が困難になるまでとなりました。高地ドイツ語に見られる子音推移は低地では全く起きませんでした、

 他方、北ゲルマン諸語は10世紀まで共通のままで、実際のところ近世までスカンジナビアのゲルマン諸語間で意思疎通が可能でした。アイスランドに伝わった言語は殆ど古ノルド語が変化せずに現在までそのままの姿が残されています。




ゲルマン語の特徴

1.上に述べたようにグリムの法則並びにヴェルナーの法則の成立が見られますが、この考え方は歴史言語学に於ける比較方法の基礎を与えました(比較言語学の成立)。

2.第一音節の強調の発達により、他の全ての音節部位の減少がもたらされました。これにより、英語、ノルウェー語、デンマーク語、スウェーデン語の単語の単音節化、また近代英語及びドイツ語の、子音偏重語化が起きました。例えば、ゲルマン祖語haubudan → 英語 head。

3.ウムラウト(母音交替現象)の発生。アクセントのある母音が、後続の i、e 等の母音の発音に引きずられて e に近い発音になる現象。また、アクセントのある母音が 後続の後母音 u、o によって発音変化を起こす場合もあります。近代ドイツ語では極端なまでに残っていますが、英語では一部の単語に残るのみです(例:足 fot フォトの複数形 fotiz フォティツが i の発音に引きずられ fet フェトに変化、後に大母音推移を経て foot, feet に)。

4.母音の数が多く、英語でも11〜12個有ります。

5.V2語順の存在。基底となる語順はドイツ語、オランダ語でSOV、スウェーデン語、アイスランド語ではSVOですが、(話題としたい1つの名詞句または修飾句)+動詞+主語の語順(V2語順と言う)を取ります。まぁ、強調したい要素を先頭に持ってくる場合、動詞が2番目に配置する訳です。英語は例外的に単純にSVOの語順を取るだけですが、There is 〜、Here comes〜、Hardly did 〜(副詞+動詞)などの表現に名残が見られます。英文法では一種の強調による倒置表現扱いと学校英語では素通りされますが、それは実はゲルマン祖語の名残だった訳ですね。


 他に、

 ・時+相(例:進行中、終えた)の複雑な組み合わせが、過去時制と現在時制の2つに簡略化される。


 ・多くの動詞では過去型を表すのに動詞の母音変化ではなく、末尾にt, d の音を加える(弱動詞)。残りの動詞は母音交替を起こします(強動詞)。


 ・名詞の定性(特定のもの或いは一般的なものの区別)を明確にするために形容詞を活用させます(強弱形容詞)。この区別は古英語には存在しましたが現代英語にはありません。


 ・他の印欧語には起源が辿れず、ゲルマン諸語のみに存在し変異を示す語が存在します。


 ゲルマン諸語の中で、どの程度分析言語(個々の単語を変化せずに前置詞などを使用しまた語順を重視する)に傾いているかには違いがあります。アイスランド語は非常に、ドイツ語はそれよりは少ない程度に、ゲルマン祖語(印欧祖語)から受け継いだ複雑な活用形態を残します(統合言語と言う)が、一方、英語、スウェーデン語、アフリカーンス語(南アで使用されるオランダ語の派生語)は大幅に分析言語に移行しています。特に英語とアフリカーンス語はアイスランド語とドイツ語の対極にあり、殆ど全く活用形態を残していません。活用形を失い、分析言語化するのは第一音節に強調を置く性質がもたらしたものであることをここに再び注記します。まぁ、単語の最初の部分に重きを置き、後半を省略或いは簡略化する傾向ですね。因みに、バルトースラブ語は印欧語のピッチアクセントを多く残し、それ故、祖語の格変化の非常に多くを保持します。後ろの部分にアクセントがあると活用部分も残さざるを得ない訳です。



 分析言語 vs.統合言語の概念は、以前コラムで扱った膠着語 vs.屈折語の概念とも関連しますが、これについては後日別項で採り上げる予定です。








英語は論理的か(その2)



2019年10月20日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 英語の欠陥としてよく知られた具体例ですが、下記論文にて詳細な構造的分析が行われています。この様な指摘は英語圏の者自体が以前から行っていることですが、日本語での説明はやはり分かり易く参考になります。英語は構造的に複数通りの解釈を許し、意味が多重性を持ち、曖昧性が出るとの指摘です。

https://toyama.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=7262&item_no=1&page_id=32&block_id=36 (ここからpdf 形式の全文をダウンロード出来ます)


語・句レベルの曖昧性について英語暖昧表現の諸相II 中野 清治

University of Toyama NII-Electronic Library Service University of Toyama

高 岡 短期 大学 紀 要   第4巻    平成5年3月

Bull Takaoka Natiomal College.Vol.4,March1993


https://pracownik.kul.pl/files/11463/public/structural_ambiguity.pdf

Structural ambiguity in English word-formation Bogdan Szymanek

ポーランドのルーブリンカトリック大学の紀要?

こちらも上記中野氏と似たような論文ですが、中野氏の文献の引用はありません。発表年不明ですが2010年以降のものであるのは確かです。


 状況を掴んで解釈出来る、或いはその様な慣用的な意味合いに馴れている者は別として、初学者に英文和訳を難しいものにしている原因の1つは、英語が許容する構造的な曖昧性の中に確実に存在するでしょう。曖昧だから初学者には意味概念が把握しにくい訳ですね。言葉がどこに掛かるのかがまず分かり難いのです。またそれに応じ、言葉の持つ意味が変わりもします。


 詰まり、文意が多重的に把握可能な場合、読み手側は前後等の状況からいずれの意味なのかを判断しなければなりません。コンピューターでの機械翻訳時に問題となる、語義の曖昧性解消 word-sense disambiguation を人間の脳内でフル回転で処理しなければならない訳です。当然条約や法律の条文に於いては、文意が多重性を持たぬように限定された意味を持つ用語 (往々にして仏語起源!) を採用しながら細心の注意をもって作成することになります。そうしたにせよ、フランス語では形容詞の性数とそれが修飾する名詞の性数が一致しますので、言葉と言葉との対応性、即ち明確性は英語よりは確実に上がります。


 少し前にも執筆者が非英語圏の者 (姓名からの判断) が書いた遺伝学の文献を読んだのですが、形容詞がどこに掛かり何を言い表そうとしているのか、また形容詞の持つ時間系列性が曖昧で、過程なのか、結果を表しているのかの判断に迷った事があります。これは自分の専門では無い遺伝学の文献ゆえに余計に分かり難かった面もあろうかと思います。遺伝学の専門家であれば、ああ、この形容詞はここに掛かると「慣用的」に即座に理解可能な筈ですが、学術論文の英語を一応は論理語として読まんとする者には理解不明となります。英語に native な者であれば、曖昧性を避けるきっちりした記述を心がけただろうと思います。内容が優れているとの理由で英語表現に多少の問題があってもレフェリーがパスさせたのでしょうね。

 以上述べてきましたが、英語の持つ非論理的側面を理解した上で、英文読解、英文翻訳、或いは英文作成を行うこと、スッキリした頭で作業に入れるのではないかと思います。

 塾長の出身高校は公立の進学校の部類であり、教員はほぼ茗渓閥(東京教育大が茗荷谷に位置していたため、それ由来の学閥)で固められていましたが、英語の授業で英語構造の曖昧性などについて特に教えを受けたことはありませんでした。高校3年の時点で英語の曖昧表現に関する参考書は個人的に入手していましたが、頭の中のもやもやが完全には解消されることなく受験に突入して行った経緯があります。真のエリート校ではこの様な事もきちんと教えられているのかもしれませんね。








英語は論理的か(その1)



2019年10月15日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 lost in translation の項にて、科学論文などは兎も角も詩歌の翻訳は困難だ、と述べました。翻訳を通じて、言葉一つ一つの持つ固有の背景や詩の香りが抜け落ちてしまうと言う訳です。それでは仮に、同じ文章(一群の文の塊)を様々な言語間で何度も翻訳したらどうでしょうか?


 「その文章を読んで人間共通に揺るぎなく思い浮かぶ概念」がコアとなって煮詰まって来るでしょう。人間の脳機能の理解のパターンで共通に認識できる骨組みですね。そこには文化的な背景に左右される感情要素の入り込む隙間は無く、考えの明確且つ簡潔な筋道からなる文章となる筈です。まぁ、数式とまでは行かないにしても科学論文化するとも言えるでしょう。勿論、仕上がった明快な文章の中身自体に対して賛否があって当然ですが、中身が明快に理解できるがゆえの反論を招来することになります。曖昧模糊として突っ込み様が無い文章は、反論が来ないから偉いのではなく、反論も出ないほど非道いと判断すべきでしょう。他人様から悪口言われて一丁前だ、です。


 と、ここまで述べましたが、では学術論文の世界でも事実上の共通語化している英語は、論理を記述するに完璧な言語体系なのでしょうか?


 実は国際条約の締結文は現在でもフランス語での併記が為されます。昔にはフランス語のみを正文とする条約もありました。単語と単語の結びつき、或いは、ある条件を示す付帯的な文言がどの単語を修飾するのか、その明確性が高い言語だからです。これは条約締結国同士が、互いに条文を勝手に都合良く解釈し得る様な曖昧性の余地を残さない為の措置です。逆を言えば、英語はそれが表現せんとする記述に関して明確性がフランス語に比して劣っている言語であることを意味します。勝手な解釈を許容しない為には、当該のフレーズがどこに掛かるのか、何を正確に意味するのかについて、脚注の様な文言を本文に続けて羅列するしか有りませんが、見栄えの良い事ではありません。簡潔にして明快、からは遠くなりますね。


 英語圏の人間の、世界中に自国文化を行き渡らせたいとの欲求(祖先に北海の海賊、即ちバイキングの血が入っていますので、ひょっとしての話ですが、他を収奪し、それは自分のものだと言いたがる習性があるやもしれません)、並びにガチガチの厳格な格変化を持たない簡単な言語としての特性から、世界的に汎用されるに至り、加えるにラテン語起源の文化的に高度な意味内容の語彙をフランス語から大量に取り込んだことから、学術誌の言葉にも採用されているのでしょう。塾長も自分で学術論文などを書いていていつも感じる事ですが、自分が主張したい或る意味概念を<この単語や文章内容に懸けたい>と考える際、最初に書いた文章を短いものに分解して並べ直し、<懸り>を明確にする面倒さを結構頻繁に味わいもします。その様な短文の羅列全体を読み取ると、ああ、こういうことが主張したいんだなと読み手は初めて理解するに至ります。頭から文章を読み進め、音楽の様に進んだ時間系列のまま、そこまでは完全に理解できている、英語はその様な言語ではありません。ぶっきらぼう風に短い文言を並べ、或る程度記述し終わった段階で「真意」を理解して貰う性格の言語である、その様に進化してきた言語だと考えれば、英作文や会話もラクになるかも、と思います。








英語の綴りと発音の乖離



2019年10月10日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 構造的な英語の曖昧性、換言すれば英語の持つ非論理的側面について触れましたが、今回は、英語の発音にまつわる問題点を採り上げます。


 英語学習上の難点としては綴りと発音の乖離が挙げられます。

 単語を字面のままに読んで発音すれば楽ですが、英語では母音或いは母音の塊、或いは子音、子音の塊に対して単語毎に異なる発音が割り当てられており、ある程度の発音の法則性は見られるものの、基本的に個々の単語の綴りとその発音をセットにして暗記する他はありません。面倒な言語ですね。

 綴りと発音との齟齬が発生する原因の1つは、文字が流布しない様な<野蛮な>層が使用する言語ほど方言化が進行し、文字で表記された単語と発音が乖離、多種の発音が派生します。その<野蛮人>の一派の内、主導権を握った者が、自分の言葉が本当の言葉だと主張し始める訳です。そこに<本来>の単語を後から割り当てれば、文字の綴りと実際の発音に大きな隔たりが生じているとの按配です。それら一派を束ねた主導者が、「国語」の改革に乗り出し、方言の統制 (北と南で言葉が通じなければ国に値しない)、発音と綴りの対応 (単語や文章の綴り方の決まりごとですが正書法と言う)を定めれば、少なくとも見栄えよろしく<国語>として体を為すに至ります。まぁ、中央集権化に伴う締め付けの1つでもありますね。何せ言葉が正しく通じなければ指揮命令が通達も出来ないのですから。皆が有り難がって自ら学習してくれる英語話者の国家は自国文化の優位性を実に上手く打ち立てたなぁとこの意味で感心させられます。流行っている神社の姿にも似ていますね。相手が感謝の言葉を口にしながらお賽銭まで投げ込んでくれるのです。尤も現在英語を公用語として現地語に加えて採択しているのは昔に後進国と呼ばれた国々になぜか留まっています。



 音素的正書法

 https://en.wikipedia.org/wiki/Phonemic_orthography

Ideal phonemic orthography

 In an ideal phonemic orthography, there would be a complete one-to-one correspondence (bijection)between the graphemes (letters) and  the phonemes of the language, and each phoneme would invariably berepresented by its corresponding grapheme. So the spelling of a word would unambiguously and transparentlyindicate its pronunciation, and conversely, a speaker knowing the pronunciation of a word would be  able toinfer its spelling without any doubt. That ideal situation is rare   but exists in a few languages.


理想的な音素的正書法に於いては、言葉の綴りと発音の間に完全な1対1の対応が成立する。綴りはそれに対応する音素を揺るぎなく表すのだ。それで、1つの単語の綴りは曖昧さなく透明にその発音を示し、逆に、単語の発音を知っている話し手はその綴りを疑いなく推測出来るのである。この理想的な状況は稀ではあるが、2,3の言語には存在する。




 ほぼ理想的な音素的正書法の言語の例としてウクライナ語が挙げられています。塾長はスラブ語系は形無しで早期に(3日?)挫折して学習を放棄してしまったのですが、子音部分を含めて文字通り、「文字通り」に発音でき綴れるのであれば最高ですね。日本語のひらがなとカタカナ表記に於いても発音と綴りはほぼ1対1に対応しています。


 実は英語も元々は綴りの通りに発音されていたのですが、西暦1400〜1700年に掛けてGreat Vowel Shift GVS 大母音推移 と呼称される母音発音の大きな変化が発生し、綴りはそのままでしたので発音との間に乖離が起きました。一説では、ペストの結果、北部イングランドの者が大量に東南部に移動してロンドンの発音を変えた、或いはフランス語を話す上流階級の特権意識また逆にフランスに対する敵愾心が、フランス語由来の単語 (1万語に及ぶ) の発音を過剰修正 hypercorrection した影響だろうとします。変化した発音に合わせて綴りを直せば良かったのですが、既に活版印刷も普及し始め、そのまま利用し続けた訳ですね。その綴りと発音の組み合わせをセットにして英語圏の子供達は学習を進める訳ですが、日本の子供達が、漢字とその読みを勉強して一個一個覚えていくのに類似していて面白く感じます。まぁ<つべこべ言わずに>覚えればそれまでですが。

 GVS の結果、綴りと読み、学習、それとGVS 以前に記録された英語の理解、のいずれもに支障を来すようになりました。この様な面への配慮なく GVS が進行したことは、綴られた文字には関与しないクラスの、「強烈な」方言を使う一派が流入或いは台頭し勢力を握ったのではないかと率直なところ塾長は感じます。昔の事に想いを寄せたりしない、知ったことではない、「今」を生きる者達、例えば商売人の流入・台頭を塾長は考えます。子供の時に話していたり耳にしていた発音が老人に達する頃には変化してしまっているスピードですから、近頃日本語が乱れている、けしからん、どころではありませんね。明治初期と現在 (150年の隔たりがあります) の日本語の、語彙ではなく言葉自体の発音が大きく違っているレベルですから、一体何が起きたのかと驚くばかりでしょう。


 オーストラリア人の英語の発音で、today をトゥデイではなくトゥダイと発音するなどと良く耳にしますが、これも特定の地域、時代の英語方言の話者が流入し(ロンドンの労働者階級で話されるコクニー訛り、映画 『マイ・フェア・レディ』 でヘプバーンが当初喋る英語)、その発音が主導権を握った結果なのでしょう。塾長は米南部のニューオリンズに学会で出かけたことがありますが、ニューヨークで耳にする様な強い r  の巻き舌音が幾らかマイルドになり、寧ろ聞きやすいと感じました。フランスの植民地だった(財政難のフランスがのちに米国に売却した) 影響もあるのかもしれませんね。挨拶の Hello! もヘロゥではなくハローと軽やかに聞こえました。


 フランス語では、単語のどの部分は読まない、と言う決まりが明確で、表記上の<旧仮名遣い>の綴りに対しても、どこは読まないとの明確性があり、その決まりを知った上で文章を読めば良いだけで、基本は綴りのままに読んで発音すればOKです。これは日本語の仮名も同じですね。英語に見られる様に、文字と読みが乖離していて同じ表音文字であるアルファベットの塊が別の何通りにも発音される言語は西欧語には寧ろ少ないかもしれません。初学者には壁となります。言葉の発音を知っていても綴れないのですから。

 本来、綴りと発音が揺るぎないセットとして揃っているのが<まとも>な言語ではと塾長は考えます。基地の街横須賀で育った塾長の母親から直接聞いたのですが、米国の水兵が給料などを貰うときに自分の名前が書けず、受領のサイン代わりに丸印を付けるシーンを何度も目撃したとのことです。米国人自体も発音と綴りの乖離が原因で文盲率が高かった(現況は知りませんが)のかと思います。日本人で自分の名前が書けない者は塾長は見た事がありませんが、子供の時に何らかの事情で学校に通えず、漢字の読み書きが出来ない者も僅かに存在し、配偶者にも自分が文字を読めないことを隠し通し、精神的にも苦しんでいると新聞記事で読んだことがあります。表音文字のアルファベットの綴りと発音が乖離した英語圏、また仮名表記と発音が一致していても漢字を音訓覚えねばならない日本の両者に於いては、どうやら最低でも寺子屋並の教育システムが必須の様ですね。


 日本国民を構成する和人以外の別の民族であるアイヌ民族はもともと文字を持たず、民話や神話などは全て代々口伝(くでん)で伝えてきました。大変残念ながら北海道のアイヌ語母語話者はほぼ消滅し千島及び樺太のアイヌ方言は絶滅しました。それ以前に東北地方のアイヌ語話者は18世紀には途絶えています。塾長は大学時代に日高の平取(びらとり)の民宿に泊まったことがあるのですがそこはKさんと言うアイヌのご夫婦が営む宿でした。生け捕りにしたヒグマが檻に入れられ玄関近くに展示されていたことが鮮明に思い出されます。地区のリーダー格らしきご主人は標準語を話しましたが、母親がアイヌ語が話せると言うので東大の学生が習うために通いに来ており塾長も当人に会いましたが現在何をしているのかと思います。話が脱線しましたが、現在、アイヌ語をどうやって表記しようか様々な試みが為されている様ですね。実はヨーロッパの多くの国でもオリジナルの文字を持たず、アルファベット文字を導入したりキリル文字を導入したところが大半です。和人も文字を持ちませんでしたが、中国より漢字を導入し万葉仮名として転用し、後に仮名文字の発明(と言うより実用新案?)へと繋りました。GVSの様な事態が起きない限り、当初に導入された表記法と発音が大きく離れる例は寧ろ少ないのではないかと思います。表記法からの縛りが発音の崩れを防止する効果もあるでしょう。








英語ではものの順序が訊けない



2019年10月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 構造的な英語の曖昧性、換言すれば英語の持つ非論理的側面について、今後数回に亘り扱う予定ですが、今回は、英語表現上の制約例を採り上げます。

 各所で指摘されることですが、英語はものの順序 (序数と言う) を尋ねる疑問詞を持ちません。

 例えば、日本語ではケネディ大統領は第何代目の米国大統領ですか、とダイレクトに質問できますが、英語では不可能です。how manyth (何番目の) などの便利に使える疑問詞が無いのです。

 英語で探りたいのであれば、下記の様に、

How many persons were inaugurated as President of the United States before J.F.Kennedy?

 ケネディの前に何人が米国大統領に就任したのですか、などと聞くしかありません。この場合、同一人物が仮に複数回大統領に就任していたならば、ケネディが第何代目なのかの正しい答えが得られません。そこで更に、同一人物で複数回大統領に就任した者はいますか、などと絞り込む質問が必要になってしまいます。その答えを貰い、頭の中で計算を終えたあとで、

So, I guess J.F.Kennedy was the 35th President of the United States, right ?

それではケネディは第35代大統領ですね? と確認する段取りです。

 その点日本語は、<何+助数詞+(目)+ですか?>の短い組み合わせで幾らでも数に関する疑問文が即座に作れてしまい(助数詞は数千存在する)、或る意味大変合理的で便利な言語です。安倍総理は、ええっと第90何代目でしたっけ?と数字の1桁目だけを問う疑問文も自由に作れてしまいますね。


 英語話者の間でもたびたびこの問題が持ち上がっている様です。

例えば、


https://english.stackexchange.com/questions/21876/how-to-ask-a-question-to-get-an-ordinal-number-answer

Question

How to phrase an asking sentence that must be answered with an ordinal number?

  Given that I want to know Barack Obama is the 44th President of U.S.A, how  can I  frame a question like: The how manyeth president is  Barack Obama?


質問

順番を尋ねるにはどうやって質問したらいいの?オバマ大統領が第44代と知りたいときに、how menyeth みたいな表現で文章を作りたいんだけどさ。


Anser

There is not a word specifically meaning "how manyth" that is in common usage  in   America. If you make it  clear you're asking for the  ordinal number by giving  context,  then "which one" is a common usage: Obamais  the 44th POTUS. Which  one was  Hoover? It gets clearer if  you ask which  number president is Obama?  but I   do  not like  how that  sounds because people generally take "number" to  mean a cardinal   number  (like 44)  not  an ordinal (like 44th). While you could ask  which  ordinal number president  is Obama? only amathematician  would  consider  that a reasonable phrasing and most  other people wouldn't  even understandit.  Because we  do  not have a word specifically  for it,  phrasing the question to get  the answer you wantin a way that is   unambiguous  and strictly grammatically  correct gets does get  somewhat  convoluted andsounds  awkward, but  since we  all know  there  isn't a better way to ask, we accept it.

Personally, when speaking informally, I'd ask like this:

   Me: Which president is Obama? He: The current one. Me: I mean   which  number?  Like the 40th orsomething?

When writing formally, I'd work around it with something like

   G. H. W. Bush was the 41st president, G. W. Bush was the 43rd   president, but  which  one was J. F.Kennedy?


答え

 米国で一般的に利用できる 「何番目 how manyth」 を意味するのに特化した表現はないねぇ。(中略) もし順序を聞きたいということを明確に伝えたいなら、which one を使うのが普通の用法だな。 Obama is the 44th POTUS (=President of  the United States). Which  one was Hoover? オバマは44代大統領だけどフーバーは? whichnumber  president is  Obama?にすればより明確になるだろう。でも number の語を使うと序数じゃあなくて基数(普通の数字のこと)をみな思う筈。 which ordinal number president is Obama?とも質問できるけど、数学者だけがその質問文は正しいとみなすだけで大多数の人はその意味さえ分からないだろう。我々はそれを問う単語を持っていないから、曖昧ではなく厳密に文法的に正しい答えを得る質問文は、入り組んで不器用に聞こえる様なものになる。でもそれよりいい方法が無いのは皆知ってるしそうするほかはないね。


個人的には、口語で話すとしたらこんな風に質問すると思う:

Which president is Obama? He: The current one. : I mean which number? Like the  40th  or something?

オバマはどっちの大統領? 今のだよ。何番目か訊きたいんだ、例えば第40代とか?

フォーマルに訊きたいならこんな風に:

G. H. W. Bush was the 41st president, G. W. Bush was the 43rd president, but  which  one  was J. F. Kennedy?

Bush父大統領は41代目で、息子ブッシュは43代目だったけど、ケネディ はどっちだったっけ? (塾長訳)



他にも、

https://forum.wordreference.com/threads/42nd-president-of-usa-how-to-ask-a-question-with-an-ordinal-answer.437586/


ここでもケンケンガクガクの討論が展開されますが、ここでは以下の例が挙げられています。


Where does Bill Clinton stand in the order of US presidents?

クリントンは米国大統領の順番ではどの位置に立ちますか?


How many Presidents were there before Mr. Sezer?

セゼール氏の前に大統領は何人居ますか?


How many Presidents came before her?"

彼女の前に何人の大統領が来ましたか?


 最初の問では、クリントン大統領の資質を問う意味にも取れますし、他は一人が複数回就任していた場合に正確な答えが出ません。いずれも曖昧性からは逃れていませんね。

Where does Bill Clinton stand in the historical order of US presidents?

クリントンは米国大統領の歴史的順番ではどの位置に立ちますか?

 これだと更に良いかもしれません。




他方フランス語ではどうかと言えば

https://fr.wiktionary.org/wiki/combientieme

 combientieme (最後の e  に弱音のアクセント記号が付きます)  コンビアンティエムと言う便利な言葉があります。これは combien (how much, how many ) に、〜番目を表す接尾語  ieme を付け加えただけの言葉ですが、無理遣り英語に置き換えれば howmanyth が相当語でしょうか。階級、番号の順序を問う際に利用される語です。formal な表現は  quantieme です。


疑問形容詞としての用法

 C'est la combientieme fois que je me retrouve dans son bureau depuis  la  rentree ?  Deux fois avecReinier,  le prof de math, une fois  avec Anconis, le prof d' allemand…  Mais c'est la premiere fois avec  Dubigny. -  (Bernard Friot, La fille  qui  rit, editions  Actes Sud, 2012)


 授業が始まってから彼の研究室に顔を出すのはこれで何回目かしら?数学教授のレニエとは2度、ドイツ語教授のアンコニとは1度来たわ。でもデュビニとはこれが最初だわ。『笑う娘』 (塾長訳)


疑問代名詞

 Un nouveau sevrage commence. Je ne sais meme pas le combientieme. Je suis   probablement lachampionne du  monde du sevrage. - (Kai Hermann et Horst Rieck,  Moi,  Christiane F., 13 ans, droguee,prostituee…, 1978,  traduit de l' allemand par Lea Marcou, 1981, page 282)

 新たな禁断症状が始まる。これで何度目かわかりゃないわ。わたしは多分禁断症状の世界チャンピオンだろうな。『わたし、クリスティアンヌ F、13歳、ヤクに溺れ、身体を売って・・・』 (塾長訳)


因みに、combientieme を web の仏英辞書に入れても答えが出ません。例えば、

https://www.collinsdictionary.com/spellcheck/french-english?q=combientieme

<Sorry, no results for "combientieme" in the French-English Dictionary.>と表示されます。相当する訳語が無いのです。


 英語に疑問序数詞が存在しない経緯についてご存知の方が居られましたら是非当塾塾長までご連絡下さい。



 英語の曖昧性を知ることは英文読解に、また、より良い英作文をモノにするにも勿論役立ちますが、現状日本語のみの方は、まずはじっくり英語に取り組んで一定レベル以上に勉強を進めてください。大学入学後に今度は別の言語を第2外国語として学習することになる筈ですが、その言語と英語とを対比することで言語としての英語への理解が更に深まり、最終的にはクールな視点で<言語としての英語>が理解できる様になるでしょう。その域に到達するまで(塾長はまだ道半ばですが)どうぞ頑張って下さい。









日本語には未来形がない



2019年9月20日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

  日本には未来がない、景気も良くならずに或る種の社会的閉塞状況にあり大変憂鬱だ、ではありませんので慌てないで下さいね。

 これまでのコラムで英語学習に対する一般的な取るべき姿勢或いはすぐに役に立つ実践的な暗記事項などについて述べてきましたが、<英語とは、言葉とはそもそもなんぞや>の話を交えて進めて行こうとの第3段となります。英語の背景を知って貰うことは英語学習にも利するところが大きい筈です。



 日本語の場合は、未来の日にちを付けても動詞は現在形のままですね。例えば、僕は明日は図書館に行く、で済まされます。僕は毎日ご飯を食べるけど明日はパンを食べるね、です。未来に行う事に関しては、現在形の動詞に未来であることを表す修飾句 (副詞句) を付随させて表すしかありません。誰かが、「僕はパンを食べるんだ」とボソっと言ったら、毎日食べてるのか或いはこれから食べるのか相手は状況を確認しなければならないのです。これが日本語には (明確な) 未来形が無いと言われる所以です。日本人は意識せずに話していますのであまりピンと来ないかもしれませんが。現在形と未来形が一緒だと言うので、過去形に対して 現在形を非過去形と呼称もします。


 尤も、辞書に掲載されている動詞は実は未来形であるとの主張もあります。僕はご飯を食べる、とはこれからご飯を食べるの意で、現在形は、僕はご飯を食べている、との主張です。しかし、例えば、魚は泳ぐ、では、魚は泳ぐ習性にある、で、これから(=未来に)泳ごうとしている訳ではありません。と言うことで、それが未来形だとの主張には世間の賛同は得られないでしょう。

 目の前の事象に対して、未来の時間に関する修飾句を伴わずに現在形で自己主張をすれば、相手側は、それはこれから何かをしようとしている、極く近い未来のことだな、と、どの国の人でも判断してくれるとは思います。しかしそれはその場に於いて現在形で未来形(or 未来表現)を代用しているに過ぎず、未来形やそれに相当する表現を別個に持つその言語に於いては本来の未来形ではありません。未来形を持たない日本語では 未来表現の基本は<未来を表す時間の副詞句+現在形の動詞>ですね。これは実は未来形を持たないフィンランド語やそれに近いエストニア語などでも同様です。


 中国語には過去形や未来形がないことは漢文を習った方なら、ああ、そう言えば、とお気づきになるでしょう。磁石を並べる様に漢字をぴたりとくっつけて配列しているだけで漢字自体に何らの活用形は有りません。基本は時間そのものや動作の進行具合を示す別の漢字をくっつけて過去の事か、現在か、未来の事かを判別させます。詰まりは中国語では時制 tense を、(動詞無変化形) + [(時間表現  mood   例:昨日、今、明日) and/ or  (動作の状況 aspect  例:既に、〜中だ、まだ)] で表現する構造ですね。


 それでは英語の場合はどうかと言うと、お分かりの様に英語には単語自体の未来形の活用は無く、動詞句 be going to(これから〜しに行くところだ) や助動詞 will  (〜して遣ろうか)を使います。英語はゲルマン祖語から派生した言語の1つですが、実は近代ゲルマン諸語(英語、スカンジナビア語、デンマーク語、オランダ語、ドイツ語、アイスランド語等)では複雑な時制が簡略化し、動詞の時制は基本は過去形と現在形の2つから構成される共通性があります。動詞の未来形の活用はありません。時を示す副詞句が添えられていなくても <動詞句 or 助動詞+:現在形動詞>が未来を示すシステムです。

 英語の未来表現には、主語の意志表明の濃淡も被さります。助動詞 shall を使うまでになると「(未来には) 必ずそうしてみせる」と最強の意志が盛り込まれます (但し英国英語ではshall は単なる未来を指す用法で使われます)。因みにたまたま塾長のメダル収集箱に収まっている米国の南北戦争代用貨 (愛国トークン) の一面に、 The Union Must and Shall Be Preserved  との文字が刻まれているのですが、これはユニオン (リンカーン側を支持する北部 20州)は必ず守られるぞ、いやきっと守ってみせる、とのスローガンになります。そう言えばマッカーサー司令官がフィリピン (当時は米国が植民地化していた) のミンダナオ島からの脱出を余儀なくされ、到着したオーストラリアで  I  shall  return. きっと戻ってみせる、と何度も口にしたのは有名です。日本軍に追い出され、悔しかったのでしょう。


 それがラテン語系のフランス語になると、動詞語尾が活用する形で明確な未来形が存在します。簡単に言うと、現在形の活用形に対して活用語尾に r の発音が挟まるだけなのですが。


 この様に、時制表現のあり方を考える事も、外国語そして日本語自体の理解を深めるのに役立ちますね。








lost in translation



2019年9月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

  『ロスト・イン・トランスレーション』 (Lost in Translation)は、コッポラ監督の娘、ソフィア・コッポラが監督と脚本を担当した 2003年製作の映画ですが、アカデミー脚本賞他、数多くの賞を受けています。映画自体は日常生活に起こる様なちょっとした出来事を軽妙に描写するもので、塾長には特に深い文学性や芸術性があるものとは思えません。公式ホームページは http://www.lost-in-translation.com/ ですが、この程度の英文が、時に知らない単語が混じる程度でスイスイ読めれば、英語の基礎力は出来ていると判定できます。戻ることなく、文章の順序のままに頭に入りますか?


  lost in translation とは、例えば日本に旅行に訪れた英語話者が、スマホのグーグル翻訳で対応している内に<茫然自失になり何がなんだか分からなくなった>との意味もあります(lost は迷子になった、自分の座標位置を見失ったの意で多用される)が、<翻訳でニュアンスが失われる> との意味にも使われます。明確な論理仕立ての文章、例えば自然科学分野の学術論文を翻訳する場合は兎も角として、言語固有の発音や個々の単語の抱える付帯的な情報は他言語に移し替えるのは困難です。その最たるものが詩の翻訳ですが、韻を踏んだものを他言語に置き換えようがありませんね。


上田  敏の 『海潮音』

https://www.aozora.gr.jp/cards/000235/files/2259_34474.html


の序文に、 「巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉利に四人、独逸に七人、プロヴァンスに一人、而して仏蘭西には十四人の多きに達し、曩 (さき) の高踏派と今の象徴派とに属する者その大部を占む。高踏派の壮麗体を訳すに当りて、多く所謂七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の幽婉体を翻するに多少の変格を敢てしたるは、その各の原調に適合せしめむが為なり。(中略) 訳述の法に就ては訳者自ら語るを好まず。只訳詩の覚悟に関して、ロセッティが伊太利古詩翻訳の序に述べたると同一の見を持したりと告白す。異邦の詩文の美を移植せむとする者は、既に成語に富みたる自国詩文の技巧の為め、清新の趣味を犠牲にする事あるべからず。しかも彼 (かの) 所謂逐語訳は必らずしも忠実訳にあらず。されば「東行西行雲眇眇 (びようびよう)。二月三月日遅遅」を 「とざまにゆき、かうざまに、くもはるばる。きさらぎ、やよひ、ひうらうら」 と訓み給ひけむ神託もさることながら、大江朝綱 (おおえのあさつな) が二条の家に物張の尼が 「月によつて長安百尺の楼に上る」と詠じたる例に従ひたる処多し。」

  とあり、翻訳者の苦労が偲ばれます。詩としての格調やそれが持つ香気を減ずることなく伝える為に、日本語の七五調を採用したり、また逐語訳は忠実訳ではないとして、漢語の詩歌を大和言葉に訳出した例を挙げていますが、それが 「訳詩の覚悟」だ、との主張ですね。

  『海潮音』 にはボードレールの詩 5篇が訳出されていますが、もう少し散文的な訳でも良かったのかとも感じますが、正しい訳であると同時に詩の香りが保たれていると感じます。 


そう言えばと、堀口大學が翻訳した Jean Cocteau コクトーの有名な詩 (訳詩集  『月下の一群』 に収載される) を調べてみました。

 Poesies <最初のeの上にアクセント記号がつきます>(1917-1920)  Cannes X

 Mon oreille est un coquillage モン ノレイユ エタン コキヤージュ

 Qui aime le bruit de la mer.  キエム ル ブリュウィ ドラメール

 私の耳は 貝のから

 海の響を なつかしむ


 短詩集 (1917-1920) 「カンヌ」 の第5篇にある僅か2行の詩文ですが、仏語サイトで検索を掛けてみましたが、この詩に関する記述が殆ど見付かりませんでした。フランスではまともな詩歌扱いされていないのかとちょっとビックリしましたが、只の短い散文詩めいた詩ですので当たり前の事を表現しただけと評価されないのかもしれません。金持ちのぼんぼんのなんでも屋のコクトーがまた何か書いているぞ、でしょうか。貝殻を耳に当てるとすーすー音が聞こえる、との事象に着想を得て、僕の耳 (耳は解剖学用語で耳介=耳の貝)は貝殻なんだ、それでざぶんざぶんと打ち寄せる潮騒の音が好きなのかぁ、の意味です。

 僕の耳は貝殻さ

 海のざぶんが大好きだ

(塾長訳)


  カンヌの地中海を目にし、海辺で過ごした子供の頃を遠い目で見るように思い出しながら、茶目っ気で書いたのかもしれませんね。ここら辺のところは日本の仏文学関係者の見解を聞きたいところですが (知り合いに早稲田の仏文を中退した奴がいたのですが現在消息不明・・・)、この詩を紹介した国内サイトはごまんと存在しますが、本国での扱いを含めて突っ込みがありません。ブログ記事を書く時に国内の他人のページを参考にするだけで、大方はフランス語での検索も掛けていない様にも見えます。今回概観していて気がつきましたが、oreille を oteille と誤記したものがあり、それを使い回しているサイトが皆その誤った綴りとなっていましたが、詩を語るもっともらしい体裁を保っていても他人の褌を借りているだけの残念なサイトだなぁと直ぐに判明した次第です。勿論例外はあって優れて深い考察を行っているサイトも存在します。

  話を戻しますが、このコクトーの詩は堀口の訳で本邦だけで有名になっている詩なのかも知れません。これが事実であれば、散文詩に、七五調に加え<響き><なつかしむ>の語を与え、詩の香りを幾らか盛り過ぎた可能性もあり、 lost   in  translation  ではなく、 added  in  translation  の例と言えるのかもしれませんね。








ゲシュタルト崩壊



2019年9月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 前回までの主語の概念またそれに続き動詞型について一連の記事をしたためましたが、相当の長丁場でも有り、みなさんはちょっと疲れを覚えられたかもしれませんね。季節も秋めいて来ましたのでちょっとばかり一服しましょうか。

 言葉を分析的に捉えていくと、ゲシュタルト崩壊と言う心理的現象を惹き起こすことがあります。頭脳、特に前頭葉の疲労が原因で統合的にモノを考える機能が瓦解するのか、一種、自己のこれまでの世界認識の統一観が失われるとの恐怖にも似た精神状態でしょうか。今回は英語学習からは離れたおまけの内容になります。まぁ、文法絡みの鹿爪話が続きましたが、幕間の息抜きとお考え下さい。



 日本心理学会

 https://psych.or.jp/interest/ff-34/

 漢字のゲシュタルト崩壊現象とは何でしょうか?


 同じ漢字を長い間,あるいは繰り返し見続けていると,漢字としての形態的なまとまりがなくなって,各部分がバラバラに知覚されたり,その漢字がいったいどんな漢字であったかわからなくなってしまうといった経験をしたことのある人は少なくないと思います。この現象は,一般的に漢字のゲシュタルト崩壊現象と呼ばれています。




 塾長の高校の時の漢文のT先生も授業中に同じ体験を仰っていました。


 中島敦の 『文字禍』  の中にもゲシュタルト崩壊について触れていると思われる箇所があります。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/622_14497.html 青空文庫


 以下、ナブ・アヘ・エリバ博士にまつわる内容ですが、確かにゲシュタルト崩壊と判断して間違いではなさそうです。



「実際、もう大分前から、文字の霊がある恐しい病を老博士の上に齎 (もたら) していたのである。それは彼が文字の霊の存在を確かめるために、一つの字を幾日もじっと睨み暮した時以来のことである。その時、今まで一定の意味と音とを有っていたはずの字が、忽然と分解して、単なる直線どもの集りになってしまったことは前に言った通りだが、それ以来、それと同じような現象が、文字以外のあらゆるものについても起るようになった。彼が一軒の家をじっと見ている中に、その家は、彼の眼と頭の中で、木材と石と煉瓦と漆喰との意味もない集合に化けてしまう。これがどうして人間の住む所でなければならぬか、判らなくなる。人間の身体を見ても、その通り。みんな意味の無い奇怪な形をした部分部分に分析されてしまう。どうして、こんな恰好をしたものが、人間として通っているのか、まるで理解できなくなる。眼に見えるものばかりではない。人間の日常の営み、すべての習慣が、同じ奇体な分析病のために、全然今までの意味を失ってしまった。もはや、人間生活のすべての根柢が疑わしいものに見える。」



 英語の 「文法」 と言っても、基本的には英語圏に住んでいて英語を母語とする者 (現地では「国語」)が <英語頭> でまとめ上げた英語の法則性であって、主語の概念からしてまるで違っている <日本語頭> でまとめ上げたものではありません。日本語話者が完全に、また直感的に理解できるものとは違うと言えるかもしれません。但し、前に触れましたが、英語の5文型の概念は日本発との説も存在します。膠着語話者がゲルマン語の語順の重きに<打たれ>、現地人には当たり前すぎて気が付かないでいた法則性を<発見>した可能性もありそうですが。

 いずれにしても、英語を理解せんと英文を分析的に睨み過ぎてゲシュタルト崩壊を来す前に、英語とはこんなもんだと<割り切りをして片付ける>のも手かもしれませんね。所詮は人間が話す言葉であり、言葉とは基本は慣用的表現であるcollocation の集積から成立するもので、当該言語の話者が互いに意思疎通出来れば足りるとされる程度の道具なのですから。








動詞型G (誰々に)+that 節を取る動詞



2019年9月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、下記英国ケンブリッジ大学の文法サイトを参考に動詞型の話をしましょう。

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-that-clause


 今回、後ろに (誰々に)+ that 節を取り得る動詞について採り上げます。 (誰々に)の箇所は、間接目的語 indirect object を取る場合、また to などの前置詞+目的語 (前置詞句 prepositional  phrase と言う) を取る場合があり、動詞毎にそれが決まっています。不要であれば(誰々に)の箇所は無しでもOKの動詞もあればと、必ず(誰々に)を必要とする動詞もありますのでご留意ください。では用例を見ていきましょう。




Verbs followed by an indirect object and a that-clause

 間接目的語 IO +that 節を従える動詞

Some verbs (generally those connected with reporting) can be followed by an indirect object plus a that-clause acting as the direct object:

以下の動詞 (大方はモノを報告する動詞) は<間接目的語+that 節>を従える事が出来ます:


advice, assure, convince, inform, persuade, promise,  remind, tell, warn




advice

to give recommendations to someone about a decision or course of action

 行動の決定や採るべき方向について人に勧める

〔+that〕〈…するように〉忠告する

I advice that you (should)  leave here at once.

直ちにここを立ち去るのがいいと思うよ。

〔someone +that〕〈人に〉〈…するように〉忠告する.通告する

I adviced him that he (should)  stay.

私は彼にとどまるように忠告した。

We were adviced that they  could not accept our offer.

我々の申し出を受けかねると彼らに通告された。


assure

to inform positively, as to  remove doubt

疑念を除去すべく肯定的に知らせる

 to cause to feel sure

 確かだと思わせる

〔someone +(that)〕〈人に〉〈…だと〉保証する,納得させる

I can assure you that he's  sincere.

彼が誠実なことはあなたに請け合うよ

= I can assure you of his  sincerity.

I was unable to assure her  that I loved her.

私が彼女を愛していることを彼女に納得させることはできなかった。


convince

to bring by the use of argument or evidence to firm belief or a course of action

討論や証拠を通じて信念や行動の方向性を固めさせる

〔someone +that〕〈人に〉〈…ということを〉確信させる,納得させる

He tried to convince me that  he was innocent.

彼は自分が無罪であることを私に納得させようと努めた。

= He tried to convince me of  his innocence.


inform

to impart information to; make aware of something

〔someone +(that)〕〈人に〉〈…ということを〉知らせる.

She informed her parents  that she had arrived safely.

彼女は両親に無事到着したことを知らせた。

= She informed her parents  of her safe arrival.


cf. notify 

*inform に比べると畏まった状況で利用されます

to tell someone officially about something

〔someone +(that), of + something〕〈人に〉〈…ということを〉公的に通知する

The school is required to notify parents if their children fail to come to school.

 学校は子供達が登校して来ない場合に親に通知する様に要請されている。

Has everyone been notified of the decision?

 皆さん、その決定について通知されましたか?

We notified the police that the bicycle had been stolen.

 我々は自転車が盗まれたと警察に届け出た。

If you have any complaints, please notify the manager.

 ご不満な点がございましたら, どうぞ支配人にお申し出ください.

He was notified to appear in court.

 彼は出廷するように通知を受けた.


persuade

to influence or move another to do or accept something

〔someone +that〕〈人に〉〈…ということを〉確信[納得]させる.

I couldn't persuade him that  she was a sincere lady.

彼女が誠実な女性だということを彼にわかってもらえなかった。

= I couldn't persuade him of  her sincerity.


〔persuade oneself  of〕 確信する

〔be persuaded of 〕 確信している

I persuaded myself of his  innocence.

彼が無罪なのを確信した。

I was persuaded of his  innocence.

彼が無罪なのを確信していた。


promise

to make a declaration assuring that something will or will not be done

 何かが起きる起きないと請負い宣言する

〔(someone)+that〕〈人に〉〈…ということを〉約束する.

They promised (us) that the work should be done before Saturday.

彼らは(私たちに)仕事は土曜前までに終わらせると請け合った.


remind

to cause to remember; put in mind

〔someone +that〕〈人に〉〈…ということを〉思い出させる,注意する.

Don't forget to remind him that tomorrow is a holiday.

あすは休みだということを忘れずに彼に注意してください。

〔someone of 〕〈人に〉〔…のことを〕思い起こさせる, 気づかせる

You remind me of your father. 君を見ると君のおとうさんを思い出す。


tell

to put into words

to make aware or cognizant of something

何かを気が付かせる、知らせる

〔someone (+that)〕〈人に〉〈…と〉言う

He told me that he liked baseball. (間接話法)

彼は野球が好きだと私に言った。

×He told that he liked baseball. の表現は誤りで必ずIO を伴う。

= He said to me, “I like baseball." (直接話法)

= I was told  (by him) that he liked baseball.


[can,could などを伴って]〈…を〉知る,わかる.

One can tell (that) she's intelligent.

彼女が聡明であるということはだれが見てもわかる。


warn

to make aware in advance of actual or potential harm, danger, or evil

 実際の、或いは潜んでいる害や危険性、悪巧みについて前もって気が付かせる

〔(someone)+that〕〈人に〉〈…だと〉警告する,注意する.

I warn (you) that it's dangerous.

(君に)警告するがそれは危険だ。

= I warned you of its dangerousness.

He warned me that they were planning something against me.

彼は彼らが私に悪だくみを企てていることを私に知らせてくれた。

= He warned me of their plans against me.


cf.

〔+目的語+to do〕〈人に〉〈…するように〉警告する,注意する.

The teacher warned Tom to be more punctual [not to cheat].

先生はトムにもっと時間を守るように[カンニングをしないように]と注意した.




  S+V+IO+that clause の文型ゆえthat 節はDO直接目的語ですが、

DOが節(=文)ではない名詞の場合は、


  S+V+IO+of +DO の様に of が入る例が見られます。

共に意味上はS+V+IO+DO の第四文型相当です。


 動詞の用例は個々に覚えるしか無く、これを踏まえて言うと、5つの文型なるものは<意味上>の把握の仕方に留まるものである事がご理解戴けると思います。動詞が、用例に拠っては前置詞 of を意味的に含んでいたり、含んでいなかったりと揺れ動く訳で、非英語話者を戸惑わせることになります。

 この点、膠着語である日本語は、<間接目的とする語 + に>+<直接目的とする語+(〜であること)を>+動詞であり、単純明快で合理性を有しています。


 that は省略可能です。




Verbs followed by a prepositional phrase and a that-clause


前置詞句+that 節を従える動詞


Some verbs can be followed by a prepositional phrase  and a that-clause acting as the  direct object

以下の動詞は<前置詞句+that 節>を従える事が出来ます:


admit, complain, explain, mention, point out, prove, recommend, say, state,  suggest


<だれだれに>を目的語ではなく、<to+ 目的語>として取る動詞です。



admit

to recognize or regard (often reluctantly) as being valid or true

 価値や真実であると(いやいや)認める

〔(to someone)+that〕〈…だと〉認める

He admitted to the court that he had lied.

嘘をついていたことを彼は法廷に対し認めた。


complain

to express or feel  dissatisfaction or resentment

〔(to someone)+that〕〔…に〕〈…だと〉不平を言う,苦情を言う.

She complained (to me) that her husband drank too much. 彼女は(私に)夫が飲み過ぎるとぐちをこぼした。

We complained to the committee that they had not kept us informed.

情報が常に知らされていた訳では無かったと我々は委員会に対して苦情を言った。


explain

to offer reasons for or a cause of

〔(to someone)+that〕〔人に〕〈…ということを〉説明する.

I explained (to them) that we could stay no longer.

(彼らに)これ以上滞在できない訳を説明した。

〔(to someone)+wh.節 / +wh.節+to do〕〔人に〕〈…かを〉説明する.

He explained (to us) what we were expected to do.

彼は我々にどんな期待がかけられているかを(我々に)説明した。


mention

to refer to something briefly  or casually

手短に、或いは気軽に言う

〔(to someone)+(that)〕〔人に〕〈…と〉ちょっと言っておく.

She mentioned (to me) that she knew you.

彼女は(私に)あなたを知っていると言った。

= She mentioned knowing you.


point out

to bring (something)  to notice 

 気が付かせる、意識に上らせる

〔(to someone)+(that)〕〔人に〕〈…ということを〉指摘する

I pointed out (to them) that the account had still not been settled. 勘定がまだすんでいないことを彼らに指摘した.

I’d like to point out to everyone that it will be expensive to hire a concert hall.

コンサートホールを借りるのはお金が掛かりすぎるだろうことを皆さんに指摘しておきたいと思います。


prove

to establish the truth or validity of by presentation of argument or evidence

討論や証拠の提示に拠り真実性や価値を確立する

〔(to someone)+that〕〔…に〕〈…ということを〉証明する.

These papers will prove (to you) that he is innocent.

これらの書類は彼の潔白を君に証明するだろう

= These papers will prove (to you) him (to be) innocent.


recommend

to praise or commend (one) to another as being worthy or desirable

 価値がある、望ましいとあるものを人に賞賛する

〔(to someone) +that〕〔人に〕〈…するように〉勧告する,勧める.

The committee has recommended to the Prime Minister that the consumption tax  (should) be abolished.

委員会は消費税を撤廃するよう首相に勧告した.


cf.〔人に〕〈人・ものを〉推薦する.

Can you recommend me a good doctor?=Can you recommend a good doctor to me?

いいお医者さんを推薦してくれませんか。


say

to express in words:

〔(to someone) +(that)〕〈…と〉言う

(この表現は一般的ではなく、tell someone that が普通)

She said to me that she lived alone with her mother.

→She told me that she lived alone with her mother.

= She said to me, "I 'm living alone with my mother."

彼女は母親と二人だけで暮らしていると言った。


state

to set forth in words; declare

〔(to someone) +that〕〈…ということを〉述べる,明言する; 言う.

He stated (to us )that the negotiations would continue.

交渉は継続されるであろうと彼は述べた.


suggest

to offer for consideration or action

〔(to someone) +that〕〔人に〕〈…することを〉提案する.

I suggested (to him) that the sum should be paid immediately.

その金はさっそく支払ってはどうかと(彼に)持ちかけた.

= I suggested (his) paying the sum immediately

She suggested (to me) that we should go to the theater.

= She suggested going to the theater.

彼女は劇を見に行ってはと言い出した。


cf.

to make evident indirectly

〔+that〕〈…ということを〉暗示する、示唆する

Those seagulls suggest that land is not distant.

カモメが飛んでいるから陸地が遠くないことがわかる.




 全て日常会話でも頻用される基本的な動詞です。例の如くで丸暗記して下さい。今回で動詞型についての話は終わりとします。この先に知らない動詞が出て来た時には、辞書などで用例を確認することは勿論必要ですが、それができない場合は動詞の性格から用例を類推してみて下さい。基本を押さえていれば大きく外れることもないのではと思います。

 次回からは暫くの間(年末までを予定しています)、言語としての英語、即ち英語学的な内容のコラムに入ります。英語の特徴を幅広い観点から掘り下げようとの試みになります。どうぞご期待ください!その間にこれまでコラムで触れた内容について復習も進めて下さい!








動詞型F that 節を取る動詞U



2019年8月20日

皆様、KVC Tokyo 練馬英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、下記英国ケンブリッジ大学の文法サイトを参考に that 節を取る動詞 の用例を解説します。


https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-that-clause


 今回ご紹介する動詞も 広義のreporting verbs  と言えますが、頭に浮かんだ或いは認知・考察した精神作用の果実に対し、動作を与える動詞群です。但し、前回扱った動詞群に比べると、第三者に対して意思内容をそのまま内容を伝達する色彩は弱まり、that 節の内容に対する動作性(加工性)が強くなります。

 後ろに that 節を従えるときは、その動詞の意味が限定され、或いは特定の意味を持つ場合が有ります。例えば、hear は<耳で音声が聞こえる>のが原義ですが、to hear that では、<話の内容を聞いて理解している>の意味になります。余談ですが、Listen to  me carefully !  私が話すことを良く聞いて頂戴、ですが似た様な感じです。



約束する 忘れる 覚えている  promise, forget, remember

見つける 知る discover, find out, know, understand,

感じる 聞く ,気が付く  feel, hear, notice, see



promise

 to commit oneself by a promise to  do or give

[that 節の内容を]するぞと自分に断言する:〜を約束する

They promised (us) that the work  should be done before Saturday.

彼らは(私たちに)仕事は土曜前までに終わらせると請け合った。


forget

 to fail to care for or give  proper  attention to

[that 節の内容に]注意を払うのにしくじる:〜するのを忘れる

I quite forgot (that) you were  coming.

あなたが来ることをすっかり忘れていました。


remember

 to recall to the mind; think  of  again

[that 節の内容を]心に想い起こす:〜を思い出す

I remembered that I had a lot  of  things to do.

仕事がたくさんあることを思い出した。


discover

 to obtain knowledge of, as  through observation or study

[that 節の内容を]観察や研究を通じて知る:〜であることに気づく

I discovered that he was  unreliable.

彼が当てにならぬ人間だと気づいた。


find out

 to discover or ascertain through  observation, experience, or study

[that 節の内容を]実験や研究を通じて発見する:〜と言う事を知る

I found out that there's going  to  be a sale next week.

来週特売があることを知った。


know

 to perceive and recognize  the  meaning of

[that 節の内容の]意味が分かっている:〜であることを知っている

Did you know that she was  once a  singer?

彼女がかつては歌手だったことは知っていましたか。

I don't know that で] 《口語》〈…だと〉思えない.

I don't know that I can attend the party. パーティーに出席できないと思う。


cf. recognize

 to perceive or show acceptance  of the validity or reality of

[that 節の内容の]価値や真実性を受け入れる、感じる:〜だと言う事を認める、認識する

He refuses to recognize  (that) he's wrong.

彼は自分が間違っていることを認めようとしない。


understand

 to perceive and recognize the  meaning of

[that 節の内容の]意味が分かっている:〜だと判断する、解釈する

Are we to understand that you will  not cooperate?

我々はあなたが協力してくれないものと考えてよろしいのですか。

《あなたは協力しないとおっしゃるのですか》.


feel

 to be intuitively aware of

[that 節の内容を]直感的に気づいている:〜だという感じがする;

I feel that some disaster is  impending.

何か災難が迫っているような予感がする。


hear

 to learn by hearing;

[that 節の内容を]聞いて知っている:〜と(うわさに)聞いている

I'm sorry to hear  [I hear with  regret] that your mother is ill.

お母様がご病気だそうでお気の毒に存じます。


notice

 to become aware of something  not previously known

[that 節の内容に]以前知らなかったことを知る:〜ということに気が付く

When he took off his hat, I noticed  that he was completely bald.

彼が帽子を脱いだ時つるつるにはげているのに気がついた。


see

 to perceive and recognize the  meaning of

 to make sure,take care

[that 節の内容の]意味が分かっている:〜だと知っている

[that 節の内容を]確実に行う、留意する:〜をしかと遣らせる

I see that you have given up  smoking.

たばこをやめたようですね。

See that it gets done right  away.

それを直ちに終えさせて下さい。

See that he does it properly.

彼にそれをきちんとさせなさい。




確認する check, confirm

決める decide

振りをする pretend

示す prove, show, suggest

説明する explain




check

 to inspect so as to determine accuracy, quality, or other condition

[that 節の内容が]正確かどうか探る:〜を点検する.

You should check that the  fire is  out

火が消えているかを点検してください。


confirm

 to assure the certainty or  validity of

[that 節の内容が]正確だ/価値があると認める:〜を確証する

The candidate's disclaimers confirm that we were right in our  estimation.

その候補者の責任放棄は我々の判断が正しかったことを立証した。

 (=責任放棄する様な候補者に投票しなくて正解だった)


decide

 to settle conclusively all  contention or uncertainty about

[that 節の内容で]決着を付ける:〜と決める

He decided that he'd postpone his departure. 彼は出発を延ばすことに決めた。

= He decided to postpone his departure. (この用法は人物主語のみ可能)

It has been decided that the conference shall be held next month.

会議は来月開催することに決定された.


pretend

 to give the false  appearance of

[that 節の内容を]嘘で示す:〜だと装う、ふりをする

He pretended that he was  sick.

彼は病気のふりをした。

= He pretended to be sick.


prove

 to establish the truth or validity of by presentation of argument or  evidence

[that 節の内容を]議論や証拠を元にその真実性を確立する:〜だと証明する

These papers will prove that  he is innocent.

これらの書類は彼が潔白であることを証明するだあろう。

= These papers will prove him  (to be) innocent.


show

 to demonstrate by  reasoning or  procedure:

[that 節の内容を]理由や手続きにより提示する:〜だと明らかにする、証明する

We showed that the  hypothesis  was wrong.

 我々はその仮説が間違っていることを明らかに。


He showed that the man was  innocent.

 彼はその男が潔白だということを証明した。

= He showed the man to be  innocent.


I'll show you that it is very  foolish.

 それが非常にばかげたものであることをこれから明らかにします。


The altimeter showed that  the  plane was descending.

 高度計は飛行機が降下していることを示していた。

= The altimeter showed the  plane  descending

(to show someone or something  doing でのみ SVOC 型を取り得る)


The photo shows them  sitting  on a bench.

 その写真には彼らがベンチに座っているところが写っている.


suggest

 to make evident indirectly;  intimate or imply

[that 節の内容を]間接的に明らかにする:〜であることを示唆する、ほのめかす

Those seagulls suggest that  land  is not distant.

 カモメが飛んでいるから陸地が遠くないことがわかる。


Are you suggesting that he  is  guilty?

 君は彼が有罪だとほのめかしているのか。


 to offer for consideration or  action

[that 節の内容を]提案する:〜したらどうかと言う

I suggested (to him) that the sum (should) be paid immediately.

 その金はさっそく支払ってはどうかと(彼に)持ちかけた。


explain

 to offer reasons for or a  cause  of

[that 節の内容について]理由或いは原因を提示する:〜のわけを説明する

We explained (to him) that  we  could stay no longer.

 我々がこれ以上滞在できない訳を(彼に)話した。


cf. He explained (to us) what  we  were expected to do.

 彼は我々にどんな期待がかけられているかを(我々に)説明した。




 that 節の中身は直接目的語で名詞扱いですから、意味が直感的に分からなくなったら that 節を代名詞 it に置き換えて考えます。そして次に it を「それであること」に置き換えて考えると意味が通り易いのではないでしょうか?

 大方の動詞は人間の脳の営為を表すものゆえ、無生物主語は取りえませんが、confirm 並びに最後の4つの動詞、prove,show, suggest, explain は証拠、状況などを根拠に記述 された前文を、it やthis 或いは these  findigs などに置き換えて主語とする事もできます。この表現は学術論文などでは寧ろ多用される表現です。この内の  suggest は直接的な理由や証拠を与えずに傍証で示すことから「示唆する」とでも訳せばよろしいでしょう。弱含みの推論ですね。更に、証拠や根拠無しでものを言う、考えを述べる時には speculateを使います。全て証拠で固めてモノを言う科学論文の世界では、結論の最後などに、思いついたこと(=科学的な証拠を(ほとんど)与えていないこと)を、これは speculation であるがと断った上で、考えをチラと述べる場合もあります。まぁ、将来の研究の糸口を開陳するような「含み」ですね。

 上記例、Those seagulls suggest  that  land is not distant.

カメモが飛んでいるから陸地が近いだろう、ではカモメは傍証です。


 伊豆大島が見えたので新島は近い、であれば伊豆大島は直接の証拠ですので、show を使って文章が書けるでしょう。例えば、

The close sight of Izu Oshima Island showed that we were navigating  about  seventy  miles north to NiijamaIsland.

伊豆大島が近くに見えたので、我々は新島の北70マイル近くを航行中と分かった。

と言う具合です。

 that 節の代わりに what, where, how などで始まる疑問節を取ることの出来る動詞が上に含まれていますが、用例についてはまた後日纏めて触れたいと思います。








動詞型E that 節を取る動詞T



2019年8月15日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、下記英国ケンブリッジ大学の文法サイトを参考に動詞型の話をしましょう。


https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-that-clause


 that clause (that 節)は皆さんご存知の筈ですが、節、詰まりは主語と述語から成る完成された文章を、新たな文章の中の1つの部品(名詞相当)として扱うべく、その先頭に目印としての that (=それ)を付ける仕組みです。日本語でも言葉が出ないときに、アレですねぇ、などと言っておいてから、次にその中身を話す時がありますが、その構造に似ていますね。


 今回と次回の2回に亘り、後ろに that 節を取り得る動詞について採り上げます。この that は特に口語ではしばしば省略されます(zero-that. と呼ばれる時もあります)。これは guess, think, hope,reckon:のあとでは特に一般的です。



Verbs + that-clause

Reporting verbs + that-clause

that 節を従える報告動詞


 Some verbs connected with reporting can be followed by a that-clause  acting as thedirect object

 物事の報告に関与する以下の動詞は、直接目的語としてのthat 節を取る事が出来ます。


accept, admit, agree, announce, assume, believe, claim, comment,  complain, consider,doubt, expect, explain, guess, hope, imagine, insist,mean, mention,  realise, reckon, remark,repeat,  reply, say, state,  suppose, think


 これらの動詞は  reporting verbs  と言いますが、頭に浮かんだ或いは認知・考察した精神作用の果実に対し、思う、表明する、疑う、などの動作を与える動詞群ですね。以下例文を挙げていきます。いずれも日常生活で極めて普通に利用される動詞です。勿論、that 節を取る動詞は他にもありますが、大方は上記動詞の(似た様な性格の)類義語となります。

 お気づきと思いますが、一部を除いて殆どの動詞はthat 節を取る時には人間を主語に取り、無生物主語は取れません。

 SVOの文型であり、受け身形は O is Ved by S ですが、Oが頭でっかちになりますので、

  It is Ved (by S) O. とするのが普通です。



言う announce, mention, reply, say, state, repeat

文句を付ける claim,  comment, complain

主張する insist

意味する mean




announce

to make one's thoughts, motives, or intentions known

[that 節の内容を]知らせしむ:〜を周知する、発表する

It has been announced that the astronaut will visit this country in  September.

その宇宙飛行士が 9 月にこの国を訪問すると発表されている.


mention

to make a comment or  remark about (observation).

[that 節の内容を](ついでながら)一言述べる:〜だとちょこっと述べる

She mentioned (to me) that  she knew you.

彼女は(私に)あなたのことを知っていると言った。


reply

to answer in response to  something

[that 節の内容を]返答する:〜と答える

He replied that his mind  was made up.

彼は決心がついたと答えた。


say

to express in words

[that 節の内容を]言葉で表現する:〜と言う、〜と書いてある

She said that she lived alone  with her mother.

彼女は母親と二人だけで暮らしていると言った。

The letter says that her  mother is seriously ill.

その手紙には彼女の母親が重病だと(言葉で表現してある)書いてある。


state

to set forth in words

to proclaim one's choice, opinion, or resolution

[that 節の内容を]言葉に出す:〜と述べる、明言する

He stated that the  negotiations would continue.

交渉は継続されるだろうと彼は述べた.


repeat

to say again

[that 節の内容を]繰り返し言う:〜と繰り返す

I repeat that this must not  happen again.

繰り返して言うがこのようなことは二度と再びあってはならない。


claim

to state to be true, especially when open to question

[that 節の内容を](疑わしいと思われている事を)正しいと主張する,言い張る.

cf. be open to question  疑わしい、疑問視される

(質問に対して開かれている、などと訳すと意味不明になりますのでご注意を)

He claimed (that) his hypothesis of continental drift was correct.

彼は自分の大陸移動説が正しいと主張した.

〔+to do〕〈…すると〉主張する.

Peary claimed to have  reached the North Pole.

ピアリーは北極点に到達したと主張した.


comment

to make a comment or  remark about (observation)

[that 節の内容を]見たこと聞いたことに対し(手短に)意見を述べる,〈…であると〉(論)評する.

He commented that prospects for the firm look good.

彼は会社の展望は明るいと述べた.


complain

to express or feel  dissatisfaction or resentment

[that 節の内容を]〈…だと〉不平を言う、憤り、恨みを口にする.

She complained (to me) that  her husband drank too much.

彼女は(私に)夫が飲み過ぎるとぐちをこぼした.


insist

to take and maintain a stand  obstinately

[that 節の内容を]反対されても〈…と〉言い張る、頑強に主張する.

She insisted that he (should)  be invited to the party.

彼女は彼をパーティーに招待すべきだと主張した.

cf. She insisted on his  invitation to the party.


mean

 to act as a symbol of;  signify or represent

[that 節の内容を]示す、〜と言う意味だ

This sign means that cars  must stop.

この標識は車を停止させろと言う意味だ。


cf. The wrinkles on his face signified that he had lived a hard life.

彼の顔のしわは彼がつらい生活をしてきたことを物語っていた.




思う assume, consider, think, guess, imagine, reckon, remark, suppose

期待する expect, hope

信じる 疑う believe, doubt

認める 同意する accept, admit, realize, agree




assume

to take for granted; suppose

[that 節の内容を]当たり前と捉える、前提とする:〜とまず考える

I assumed that he would  forgive me.

私は彼が私を許してくれるものと思い込んでた。

Assuming that it is true, what  should we do about it?

もしそれが本当だとしたら, そのことについてどうしたらいいのだろう。


consider

to think carefully about

[that 節の内容を]注意深く考える:〜と考える

Do you consider that he  behaved properly?

彼がきちんとふるまったと思いますか。


think

to have or formulate in the  mind

[that 節の内容を]心に持つ:〜と思う

Do you think (that) she'll come?

彼女が来ると思いますか。


[I think that] 〈…しよう〉かな.

I think I'll go to bed early  tonight. 今夜は早く寝ようかな。


否定・疑問文で〈…ということを〉予期する

Little did she think that she would become the Princess of Wales. 彼女は自分が(英国の)皇太子妃になるだろうなどとは夢にも思っていなかった.


guess

to predict (a result or an event) without sufficient information

[that 節の内容を]十分な情報無く予想する:〜ではないかと思う

I guessed that he was an ex‐serviceman.

彼は退役軍人ではないかと思った。

I guess I'll go to bed. 寝ようかな。(口語表現)

= I think I'll go to bed.


imagine

to form a mental picture or  image of

[that 節の内容を]心に思い描く:〜を想像する

Imagine that you're Gulliver  among the Lilliputians.

君がリリパット人に囲まれたガリバーだと想像してみたまえ。

She imagines (that) he doesn't love her. 彼女は彼が自分を愛してくれていないものと証拠も無く思っている。(口語表現)


reckon

Informal. To think or assume

[that 節の内容を]思う(口語表現):〜思う、推測する

I reckon he's over sixty.

彼は 60 歳を超えていると思う。


remark

to express briefly and  casually as a comment

[that 節の内容を]気軽な気持で述べる:〜とさらっと言う

She remarked that it was  time to leave.

彼女はもう出かける時間だと言った。


suppose

to assume to be true or real for the sake of argument or  explanation:

to believe, especially on uncertain or tentative grounds:

to consider to be probable or  likely:

[that 節の内容を]不確かな証拠ではあるが信じる:〜多分と思う

{that 節の内容を]議論や説明の為に真実と考える:〜と仮定する(命令形のみ)

I suppose you're right.

多分君の言うとおりだろう。

I suppose it will rain. 多分雨が降るんじゃないかと思う。

Scientists supposed that large dinosaurs lived in swamps.

科学者らは大きな恐竜は沼に住んでいたと思っている。

They supposed that I knew all about it.

= They supposed me to know all  about it.

彼らは私がそのことをすべて知っていると思った。

Suppose (that) we win the lottery. What shall we do then?

もし宝くじが当たったらどうしようか。


(I don't suppose that 婉曲な依頼)

I don't suppose you can  [could] lend me some money.

あなたが私にお金を貸すことなんてありえないですよね?


expect

to look forward to as a probable occurrence

[that 節の内容が]起こりそうだと楽しみにする:〜であることを期待する

 (that 節内は未来時制)

I expect that you will forgive  her.

君が彼女を許してくれるものと思っています。


hope

to look forward to with  confidence or expectation:

[that 節の内容を]自信や期待をもって楽しみにする:〜となることを待ち望む、見込む

We hope that our children will carry on our family traditions.

子供達が我々家族の伝統を継いで呉れることを待ち望んでいる。

I hope that she will soon be  well again.

彼女はじきまたよくなると僕は見込んでいる。


believe

to accept as true or real

[that 節の内容を]真実だと受け入れる:〜だと信じる、だと思う

I believe (that) he is honest. (口語的)

彼は正直だと思う。

= I belive him to be honest. (硬い表現)


doubt

to tend to disbelieve

to regard as unlikely

[that 節の内容が](否定文で):〜に疑いはない

[that 節の内容が](肯定文で)起こらないのではと考える:〜はなさそうだ

I don't doubt that he means  well.

彼が善意を抱いていることに疑いはない。

I doubt that we'll arrive on  time.

我々が時間通りに到着することは無さそうだ。

= It is unlikely that we'll arrive on time.


〔+whether [if]〕〈…かどうかを〉疑う.

I doubt whether [if] she will  be present.

彼女が出席するかどうか疑問だ。


cf. suspect

to surmise to be true or  probable

[that 節の内容を](良くない内容が)真実だろうと推測する,うすうす気づく.

I suspected that an accident had happened.

何か事故でも起こったのではないかと感じた。

事故でも起きたんじゃあないかと思った。


cf. wonder

to feel curiosity or be in doubt about

[that 節の内容に] 驚く  that は普通省略される

I wonder (that) he didn't get killed.

(あんな危険なことをして)よくもまあ彼は死ななかったものだ

I wonder what happened. 何が起こったのかな.


wonder if

 if 以下の内容(肯定的、否定的を問わず)に対する疑いの気持を表明する

  〜ではないかと心配する、〜を怪しむ

I wonder if I'm going to die.

オレってマジに死ぬの?

I wonder if this book will sell.

この本は売れるかしら?


accept

to take (something given or offered) willingly

to respond affirmatively

[that 節の内容を]喜んで受け入れる:〜を認める、肯定的に受け入れる

I accept that the evidence is unsatisfactory.

証拠が不十分なことは認めます。


admit

to recognize or regard (often reluctantly) as being valid or true

[that 節の内容が]正しいと認める:〜としぶしぶ認める

He admitted that he had stolen the money.

彼はその金を盗んだと白状した。


realize

to perceive and recognize the meaning of

[that 節の内容の]意味をが分かっている:〜であると認識している、理解する.

I didn't realize (that) she was so ill.

彼女がそんなにひどい病気だとはわからなかった.


agree

to respond affirmatively

[that 節の内容に]肯定的に反応する:〜に同意する、〜に意見が一致する

He agreed that my plan was better. 彼は私の案のほうがよいことを認めた.

We agreed [It was agreed] that we should travel first‐class.

ファーストクラスで旅行しようと意見が一致した.


〔+with+(代)名詞+that〕〈…ということで〉〔人と〕意見が一致する.

I agreed with him that some active measure should be adopted.

何か積極的な措置を講ずるべきであるという点で彼と意見が一致した.




 that 節の中身は直接目的語で名詞扱いですから、意味が直感的に分からなくなったらthat 節を代名詞 it に置き換えて考えます。そして次に it を「それであること」に置き換えて考えると意味が通り易いのではないでしょうか?

  動詞claimですが日本語では〜にクレームを付ける、〜と言う事実に対して文句を唱える、の意味で使われますが、(反対意見はあっても)〜が正しいと主張する、の意味ですのでご留意下さい。

 また動詞suspectは that 節内の<良くないできごと>が頭に思い浮かぶ、との意味です。


 (次回に続きます)








動詞型D  感覚動詞と使役動詞



2019年8月10日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-infinitive-or-verb-ing


 今回は、いわゆる感覚動詞並びに使役動詞について上記サイト掲載の用例を加味した上で採り上げます。以前に登場した動詞が再び出ても来ますが、復習がてら学習を進めて下さい。



Verbs followed by -ing or an  infinitive without to

ing 型或いはto 無しの不定詞を従える動詞


感覚動詞(感覚、聴覚、視覚の動詞)

feel, notice, see, hear, overhear, watch


  When they are used with -ing, these verbs emphasise the action or event in  progress. When they areused  with an infinitive without to, they emphasise the action or event seen as a whole, or as completed.


  ing 型の動詞を使う時は動作や出来事が今進行中である事を強調し、to 無しの不定詞を使う時は動作や出来事を丸ごと或いは終わったものとして見ることを強調します。全てSVOC の文型となります。(無理遣り)受け身形にすると、O is Ved C by S の形となります。



hear

   She  heard  people shouting in the street below and looked out  of  the window. (emphasises that the  shouting probably continued  or  was repeated)

 彼女は人々が下の通りで叫んでいるのを聞き、窓から外を見た(叫びがおそらく継続し或いは繰り返されていることを強調する)

   I heard someone shout ‘Help!’, so I ran to the river. (emphasises  the whole event: the person probably  shouted only  once)

 誰かが助けてと叫ぶのを聞いたので川に駆け寄った(出来事全体のことを強調する、誰かはおそらく只1度だけ叫んだのだろう)


see

   A police officer saw him running along the street. (emphasises  the running as it was happening)

 警官は彼が通りに沿って逃げるのを見た(事が起きている時に彼が走っていることを強調する)


   Emily saw Philip run out of Sandra’s office. (emphasises the  whole event  from start to finish)

 エミリーはフィリップがサンドラのオフィスから逃げ出すのを見た(最初から最後に至る出来事全体を強調)


feel

I felt my heart beat violently. 心臓が激しく鼓動するのを感じた.

= My heart is felt to beat violently. (受身では to 不定詞に)

I (can) feel something  crawling up my leg.

何かが脚をはい上がっているのがわかる.

feel oneself + past particle 過去分詞 〈自分が〉〈…されるのを〉感じる.

He felt himself lifted up. 彼は体が持ち上げられるのを感じた.


overhear

〈人が〉〈…言うのを〉ふと聞く.、たまたま耳にする、仄聞する

to happen to hear,  to hear by chance

I overheard my wife make an  appointment with him.

私は妻が彼と会う約束をするのをふと耳にした.

He overheard her saying she was  quitting her job.

彼は彼女が仕事をやめるつもりだと言っているのをふと聞いた.


watch

I sat there, watching  the  moon come up.

私はそこに座って月が昇るのを見ていた.

She stood watching  the  people passing by.

彼女は人々が通り過ぎていくのを立って見つめていた.

for + (someone, something) + to do〕  〔…が〕〈…するのを〉待ち構える.

I stood watching for the  signal to change to green.

そこに立って信号が青に変わるのを待ち構えていた.

〔+to do〕〈…しようと〉待ち構える.

She watched to see who  would come out of the house.

彼女はだれがその家から出てくるか見てやろうと待ち構えた.


notice

〈…が〉〈…するのに〉気がつく.

Did you notice anyone  trespass the garden?

だれか庭に勝手に入るのに気がつきましたか.

I noticed a strange man  prowling around.

見知らぬ男がそのあたりをうろうろしているのに気がついた.

He was noticed breaking open the window.

彼は窓をこじ開けているところを見られた

She noticed him paying so much attention to another girl.

彼女は彼が他の女の子をとても気にしているのに気がついた


 ing 型ではまさに出来事の瞬間の情景を感知しているのに対し、to 無しの不定詞の場合、情景、シーンとして感知・理解していると言うことですね。



Verbs followed by an  infinitive without to

to 無しの不定詞を従える動詞


使役動詞

let, make, have, get


 主語の意志で第三者に何かをさせる、して貰う時にはいわゆる使役動詞  causative verbs (その状態を起こさせる、発起、発揮させる意味の動詞)を使用します。

 その場合、第三者の意思に構わず何かをさせる(殆ど命令)、説得してさせる、相手の善意に頼り、或いは対価の供与として手助けをしてもらう、相手が何かを自発的に遣りたがっているのを任せる(許可、放任)、に至るグラデーションが存在します。


 まぁ簡単に言えば

make 無理にでもさせる > get  働きかけてさせる > have 頼んですんなりしてもらう > let 自発的にさせておく、の順番で強制力が失せる代わりに相手の自発性が強くなる、と思えば分かり易いでしょう。


 do (someone or something) (do, done) の形を取りますが、get のみ  get  him to do と to 不定詞を取ります。意味的にはSVOC であり、O does C の意味であれば C は動詞原形、O is (done) C の意味であれば C を過去分詞或いは形容詞にするだけです。



let

(自発的に〜させる、意志を解き放つ)

     Let me show you this  DVD I’ve got.

  僕の持ってるこのDVDを君に見せてやるよ。

  He won't let anyone  enter  his room.

  彼はだれひとり自室に入れさせて呉れない。

  Just let him try to stop  me!

  やれるもんなら奴に俺止めさせてみやがれ.

  Don't let that dog loose. その犬を放すな.(loose は叙述の形容詞で補語)


make

(有無を言わせず〜させる)

   They made us wait while  they checked our documents.

  書類をチェックする間、連中は我々を待たせた。

cf. We were obliged to wait while they checked our documents

 連中が書類をチェックする間、我々は待機せざるを得なくなった

(相手は自分たちに待てと命じたかは不明で、状況からして待つことになった)。

  The hot bath made  me feel  so good.

   熱い風呂はとても気持ちが良かった

   My mother made me feel guilty for weeks about having lied to her.

   母にうそをついたことで母は僕に何週間も罪悪感を感じさせた

   In junior high we were made to run a marathon every morning.

   中学校では我々は毎朝マラソンをさせられた(受身では be made to do となる)  

   I made myself understood in English. 英語で自分の意志を通じさせた.


get

 頼んで (人に) 〈…して〉 もらう.

  I got my smartphone repaired. スマホを修理してもらった。

  I got my hair cut. 髪を切ってもらった

  Get your friends to help you. 友達に頼んでに助けてもらいなさい.


 (自分で) 〈…して〉 しまう.

 I want to get this job  finished by noon.

 この仕事を正午までにやってしまいたい.

 I got the computer started. コンピュータを起動させた

 cf. I got my arm broken. 腕を折っちまった。

   (一種の経験受身、勿論使役の意味はない)

 (骨折したとの単なる事実ではなく、骨折したとの経験を強調する)


have

 (粛々と)〜してもらう

  We should have him  report. 彼に報告させよう.

    will,would を伴って〈…して〉もらいたいと思う.

  What would you have me do? 私はどうすればよいのですか

  When did you have  your  hair cut?

 = When did you have the  hairdresser cut your hair?

 (その理容師に)髪を刈ってもらったのはいつですか.

cf. 経験受身

 He had his wallet stolen. 彼は財布を盗まれた.

(単純に盗まれた事実ではなく、その経験、<〜されてしまった>を強調する)

  cf. His wallet was stolen.


 get + O + 過去分詞の場合ですが、第三者にやって貰ったのか自前で片付けたのかは状況で判断することになりますね。




Verbs followed by an  infinitive without to

to 無しの不定詞を従える動詞


(お助け動詞)

help


   She helped me find a  direction in life.

 彼女は私が人生の進路を見つけるのを手伝って呉れた。


 His recommendation helped  me get the job.

 彼の推薦(状)が私の就職に役立った.


cf. help (to) do 〜するのを手伝う、役立つ、協力する、助長する(悪い意味でも使う)

 The language lab will help (to) improve your understanding of  spoken English.

 LL教室は口語英語の理解力を向上させるのに役立つだろう.

Everyone can help (to) reduce carbon emissions by using public  transport.

 皆は公共交通を利用することで炭素排出削減に協力出来る。


*reduce の意味上の主語は Everyone ですが、この文章では目的達成のために必要な援助をするとの心の志向を動詞 helpが添えます。



  他にも例示すべき動詞が幾つかあるのですが、全ては網羅出来ませんでした。新たな動詞に巡り会った際には、その動詞がどの様な<作用>を持つのか、その性格を理解した上で動詞型を当てはめてみるのも良いでしょう。

 皆さんもこの先に知らない動詞(知っている動詞でも)が現れる度に、その動詞がどの様な用例を取り得るのか、さっと辞書で確認する習慣にすると大きな力になる筈です。これまでに紹介した動詞型の基本ワクを押さえておくだけでも英語力は飛躍的に伸びると思います。

 動詞型の話はまだまだ続きます・・・。









詞型C  to 不定詞と ing 型で意味が異なる動詞



2019年8月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-infinitive-or-verb-ing


 上記サイトに掲載の動詞の大方は既に@〜Bにて扱いましたが、今回及び次回の2回では残りの動詞について触れ、またこのサイトに記述されている用例が優れていますのでそのまま大方紹介します。以前に登場した動詞が再び出ても来ますが、復習がてら目を進めて下さい。



Verbs followed by a to-infinitive or -ing


to 不定詞またはing 型動詞を従える動詞の内、意味の違いが軽度に留まる4つの動詞

(好き嫌い動詞)

hate, like, love, prefer

Hate, like, love and prefer can be followed either by -ing or a to-infinitive. The  difference in meaning isoften  small. The -ing form emphasises the verb itself. The to-infinitive puts the emphasis  more  on thepreference  for, or the results of, the action.


hate, like, love and prefer はing 型動詞或いはto 不定詞のどちらも従える事が出来ます。意味の違いはほとんど無いのですが、ing 型は動詞それ自体を強調し、to 不定詞は行為に対する好み(どうする方が好きなのか)、或いは行為の結果を強調します。


 ちょっと分かり難い表現ですが、

だだもう「ジュースを呑む」のが好きなら

 like drinking juice となり、

朝に「ジュースを呑む」のが好きなら

 like to drink juice in the  morning と言う意味です。

 like (to dink juice in the morning) 「朝にジュースを呑む行為」が好き、と考えてもよいでしょう。



love like

  I love cooking Indian food. (emphasis on the process itself and  enjoyment of it)

 私は印度料理を作るのが好きです(印度料理を作る過程そのもの及びそれが楽しいことに強調が置かれる)。

  I like to drink juice in the morning, and tea at lunchtime. (emphasis  more on the  preference or habit)

 朝はジュースを飲むのが好きだけどランチタイムはお茶がいい(行為への嗜好や習慣そのものに強調が置かれる)。


hate

  She hates cleaning her room. (emphasis on the process itself  and  no  enjoyment ofit)

 彼女は自室を掃除するのが嫌なんだ(掃除をする過程そのもの及びそれが全然楽しくないことを強調)

  I hate to be the only person to disagree. (emphasis more on the  result: I  wouldprefer not to be in that  situation.)

 自分が同意しない唯一の者になるなんて嫌だ(結果を強調、その様な立場、結果になろうことを嫌がる)


prefer

  Most people prefer watching a film at the cinema rather than on  TV. (emphasis on the process itself and  enjoyment of it)

殆どの人はT映画をVで見るより映画館で見る方を好む(過程そのもの及びそれを楽しむことを強調)


  We prefer to drive during the day whenever we can. (emphasis  more on the resultand on the habit or  preference. The speaker  doesn’t  necessarily enjoy the process of driving at any time of day.)

 日中はどこに行こうともドライブする方が好きだ(結果並びに習慣、嗜好に強調を置く、話し手は必ずしも一日のどの時間にもドライブするのを楽しむとは限らない)


 詰まりはing 型の方(動名詞)は、時・所・状況などに拘わらず行為そのものが好きか嫌いを示し、to 不定詞は時・所・状況に応じ、その行為が好きか嫌いかの気持が起きる、と言うことですね。

 to 不定詞の方は、未来に向かっての、そうなるとイイとかイヤだの気持が入る(to 不定詞の未来指向性)と考えても良いでしょう。





hate, like, love, prefer with  would or should

助動詞 would should と共に使う時はto不定詞のみ使われます

  She’d love to get a job  nearer home.

 彼女は自宅により近いところで職を得られればと思っている。

  Would you like to have  dinner with us on Friday?

 金曜日に我々と共にディナーは如何ですか?


 would や should は、<もし可能であれば>との婉曲の感情を込めた表現ですので、相手には丁寧な印象を与える表現となります。まぁ、英語の丁寧語ですね。当然、未来に於いてそうなるといいなとの気持ですのでto 不定詞が付きます。



Verbs followed by a to-infinitive or -ing

to 不定詞またはing 型動詞を従える動詞の内、意味が異なって来る8つの動詞

go on, mean, need, regret, remember, stop, try, want



go on

  He went on singing after everyone else had finished. (He  continued  singing without  stopping.)

 他の皆が歌い終えた後も彼は歌い続けた(中断することなく歌い続けた)

  She recited a poem, then went on to sing a lovely folk song. (She  recited the poem  first, then she sangthe  song.)

 彼女は詩を朗読し、それから愛らしい民謡を歌った(最初に詩を朗読しそれから歌った)


mean

  Working in London means leaving home at 6.30. (Because I work  in London, this is  the result or  consequence.)

ロンドンで働くと言う事は家を朝の6時半に出ることになる(ロンドンで働くが故にその結果として)。

  I didn’t mean to make you cry. (I didn’t intend to make you cry.)

君を泣かせるつもりではなかった(君を泣かせようと意図したのではない)


need  want

She wants me to go to Paris  with  her.

彼女は私に一緒にパリに行ってもらいたがっている.

I need to be back in Tokyo  as  soon as possible.

= It's  necessory for me to be back in Tokyo as soon as possible.

出来るだけ早く東京に戻る必要がある。

(英国口語表現)

My smart phone wants repairing. 僕のスマホは修理が必要だ。

(米国口語表現)

My smart phone needs repairing. 僕のスマホは修理が必要だ。

=It's necessory for me to have my smart phone repaired.

=I need to have my smart  phone repaired.

= My smart phone needs to  be  repaired.

*need,want + doing は非常に informal ゆえ、使用は控えた方が良いでしょう。


regret

I regret being unable to help  you.

= I'm sorry that I am unable  to help you.

残念ですがお手伝いできません. (現在の状況)

I regret having been unable  to help you.

= I'm sorry that I was unable  to help you.

お手伝いできなかったのは残念でした (過去の状況)

regret to do の用法は以下の定型的表現のみ

I (We) regret to say (inform, tell) you that …お伝えするのは残念ですが

We regret to inform you that your application has not been  successful.

遺憾ながら貴下のご出願は受理されませんでした

《不合格通知などの決まり文句》.

= I'm sorry to tell you that you failed to pass the entrance  examination. 言いたかないけど君は入試に落ちたよ。

(会話表現)


remember

 Remember to save your work often, just in case your computer  crashes.

= Do not  forget to save your work often, just in case your  computer crashes.

 まさにPCが壊れた時に備えて仕事内容はちょくちょく保存するのを忘れずに。

  I remember meeting her once. It must have been about five years  ago.

=  I have a memory of meeting her once. It must have been about   five years ago.

 彼女には一度会った覚えがある。5年前の事に違いない。

cf. remember someone to (〜のことを)〜によろしく伝える

 Remember me to your  parents when you see them.

= I ask you to give regards to your parents when you see them.

 ご両親にお会いした時にはよろしくお伝えください。


stop

  She stopped crying as soon as she saw her mother. (She was crying, and  then she  didn’t cry anymore.)

 母親を目にするやいなや彼女は泣くのを止めた(彼女は泣いていたがそれ以上泣かなかった)

  We stopped to buy some water at the motorway service area. (We were  travelling  and we stopped for a  short time in order to buy  some water.)

 我々は高速のSAで水を買おうと停車した(我々は旅行していたが水を買うために短時間立ち止まった)


try

  I tried searching the web and finally found an address for him. (I  searched the web  to see what  information  I could find.)

 インターネットの検索をやってみて遂に彼のアドレスを見つけた(どういう情報が得られるのか知るべく、私は実際にインターネットを検索した)

  I tried to email Simon but it bounced back. (I attempted to email him but I did  not succeed.)

 私はサイモンにメールしようと試みたが、不達で戻って来た(彼にメールしようとしたが上手く行かなかった)



 授業や一般の参考書、web での解説記事で扱われる馴染んだ動詞は別として、自分としてはこの様な用法があるとは知らず、盲点だった、との動詞もあろうかと思います。これまでの解説の中からその様な動詞の用例のみ抜き出して覚えるのも手ですね。

 一般化した話となりますが、ing 型動詞では、<その行為・動作が塊としてパッケージされて目の前に有る>詰まりは名詞に接近しているのに対し、to 不定詞では、<その先、未来に於いて〜するに至る>ことが頭に浮かんでいる、動作性が強い、の違いがあります。動詞によってはこの2つの中で表現が揺れ動くものもありますが、この様な基本的な性格の違いを頭に入れておくと良いでしょう。

 動詞型の話があと4回続きますが、英文理解の為の基本中の基本ですので、辛抱しつつ丸暗記して下さい。信じる者は救われるかも?










動詞型B someone + to 不定詞型を取る動詞



2019年7月20日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 引き続き、

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-infinitive-or-verb-ing

  ここに掲載されている


Verbs followed by a direct object and a to-infinitive

  即ち、広義のS+V+O (意味上の主語 someone or something) +C (叙述語 to do) の形を取る、

以下の22動詞

 advise, ask, challenge, choose, forbid, hate, help, instruct,

intend, invite, like, love, need, order, persuade, prefer, recommend,

remind, request, teach, tell,  want,


  について例文を作りましたのでご参考までに。一部動詞は Cとして ing :型も併せて取り得ます。動詞型 @ Aで採り上げた動詞も混じっていますが、復習がてらここで再確認して下さい。尚、上記で動詞 advise の綴りとなっていますが、これは参照 webサイトが英国ケンブリッジ大学の辞書である為で、米国式には advice の綴りとなります。ここでは米国式綴りに直して扱います。



advice

〔advice someone to do [doing]〕 ((人)に〜するよう助言する

I adviced him to get a job as  soon  as  possible.

I adviced him getting a job immediately.

出来るだけ早く職に就く様、彼に助言した。


ask

〔someone + to do〕〈人に〉〈…するように〉頼む、誘う

The judge asked us to leave the court. 裁判官は我々に退廷するよう求めた.

He asked me to dine with him at his club. 彼は私をクラブでの食事に招いた.


challenge  

to confront boldly and courageously 大胆に勇敢に立ち向かう

to be in opposition to 正反対の立場にある

〔someone + to do〕〈人に〉〈…、競う、勝負せよと〉挑む、課題となる

He challenged anyone to beat him.

誰でも俺を打ち倒してみやがれと彼は挑発した。

The problem challenges me to prove my theory right.

その問題で自分の理論が正しいのかを証明せねばならなくなった。

(=その問題は、<私が自分の理論が正しいことを証明する>様に、挑んでいる)

    (=その問題は、私の理論に対立している)


choose

〔someone + to do〕〈人を〉選んで〈…〉させる

We chose J.F.Kennedy to represent USA.

我々はケネディを合衆国の代表に選んだ


forbid

〔someone + to do〕 〈人が〉〈…することを〉許さない,禁止する.

Her father forbade her to  marry the man.

= Her father forbade her marrying the man. (her は目的格 or 所有格)

彼女の父は彼女にその男と結婚してはならないと言った.

SVOO 〈人に〉〈…を〉禁じる,許さない

His doctor forbade him  smoking.

=Smoking was forbidden  (to)  him by his doctor.

医者は彼に喫煙を禁じた.


hate

〔hate (for) A to do [doing]〕((人)に絶対に…してほしくない

 I'd hate (for) my husband to  know about this secret.

  夫にこの秘密だけは知られたくない

She hated her husband to  use such vulgar language.

彼女は夫にそんな野卑な言葉を使ってもらいたくないと思った.

I hate anyone using my pen.

  人にペンを使われるのはいやだ。


help

〔someone + to do( do) 〈人が〉〈…するのを〉手伝う

〈…が〉〈…するのを〉促進する,助長する

His recommendation helped  me (to) get the job.

彼の推薦(状)が私の就職に役立った.

I help my father (to) water the crops. 父が作物に水をやるのを手伝います.


instruct

〔someone + to do〕〈人に〉〈…するように〉(細かな点まで)指示する,命じる.

The teacher instructed the  pupils to remove their shoes.

先生は生徒達に靴を脱ぐよう指図した

The doctor instructed the  patient to cut down on salt.

医者は患者に減塩するよう指示した


intend

〔someone + to do〕 〈…が〉〈…するように〉意図する.

I intend my son to take over  the business.

私は息子にこの商売を任せるつもりでいる。


invite

〔someone + to do〕〈人に〉〈…するよう〉(正式に)勧める,要請する

The Democratic Party invited J.F.Kennedy to run for President of USA.

民主党はケネディに大統領選に立候補するよう要請した。.


like

〔someone or something to do〕〈…が〉〈…するのを〉好む、して欲しい

I like people to be cheerful. 人は陽気なのが私は好きだ.

I'd like you to do it for me. 私の代わりにそれをやってほしいのですが。

〔+目的格[所有格]+doing〕〈人が…するのが〉好きだ.

I don't like you [your] going  out alone at night.

あなたが夜一人歩きをするのを好みません.


love

〔someone + to do〕〈…が〉〈…するのを〉好む.

I love you to make up your face. 君には化粧して貰いたいなぁ。

She'll love for you to come with her.  《for を添えるのは米口語》

彼女はあなたが一緒に来てくれれば喜ぶだろう.


need

〔someone + to do〕〈人に〉〈…してもらう〉必要がある.

I need you to carry my bag. 鞄を運んでちょうだい。

助動詞 need only, need all …しさえすれば良い

You need only follow  his  direction.

= All you need is to follow  his  direction.

彼の指図に従えさえすればよいのだ。


order

〔someone + to do〕 〈人に〉〈…するように〉命じる.

He ordered his men to volley  gunshots at the enemy

= He ordered that his men (should) volley gunshots at the enemy.

彼は部下に敵を一斉射撃せよと命じた。


persuade

〔someone + (not) to do〕 〜する(しない)よう説得する〈 (⇔dissuade).

She persuaded me to stay. 彼女は私にとどまるよう説得した.

The police persuaded a hijacker to stop useless resistance and surrender.

警察は乗っ取り犯に無駄な抵抗は止めて投降するよう説得した。

We persuaded him not to  resign the position.

彼にその地位を手放すなと説得した。

persuade someone into doing 〜を説得して実際に〜させる

He persuaded his daughter into going to the party with him.

彼は娘を説得してパーティーに同行させた。


prefer

〔someone + to do〕〈…に〉〈…して〉もらいたい.

We'd prefer you to  participate in the discussion.

君に討論に加わってもらうと有り難いんだが。


recommend

〔someone + to do〕 〈人に〉〈…するように〉勧める.

She recommended me to try  this tonic for hair restortion.

彼女は私にこの育毛トニックを試してみるよう勧めた.

The doctor recommended me to go to the country for a change of air

医者は私に田舎に転地して気分でも変えたらどうかと勧めた。


remind

〔someone + to do〕 〈人に〉〈…するよう〉思い出させる,注意する.

= to make someone think of

Remind me to take medicin before  meals.

食前に服薬するのを忘れないよう注意してください.

Remind me to email Tony today; otherwise I’ll probably forget.

今日トニーにメールよう私に注意して。そうじゃないと多分忘れてしまうから。

remind oneself to do 〈…することを〉思い出す.

I reminded myself to return  this money to him.

私はこの金を彼に返すことを思い出した.

cf. I have to remember  to return this money to him.

この金を彼に返すのを忘れない様にしないと。


cf. remind someone of  (人)に〜を思い出させる

That song always reminds me of the time I fell in love with an Italian girl.

 その曲を聴くとイタリアの少女と恋に落ちた時のことを毎度思い出す。

Jason reminded me of my father. They had the same eyes and the same  way of talking.

ジェイソンを見ると父さんを思い出したよ。同じ目をしていて同じ喋り方をするんだ。


request

〔someone + to do〕〈人に〉〈…するように〉頼む,要請する.

Visitors are requested not to  touch the exhibits.

見学者は展示物に手を触れないでください 《博物館などの掲示の文句》.

The government requested tourists to cancel the visit to the nation.

政府は旅行者にその国への訪問を止めるよう要請した。

request +O +O 文型

The nation requested Japan hundreds of tons of rice in assistance.

その国は日本に数百トンのコメ支援を要請した。


teach

〔someone + to do〕〈人に〉〈…するように[するしかたを]〉教える.

She has taught her dog to do  a handstand walking.

彼女は自分の犬に逆立ち歩きを教えた。


tell

〔someone + to do〕 〈人に〉〈…するように〉命じる

He told me not to drink too  much.

= He said to me, “Don't drink  too much."

彼は私に呑みすぎるなと言った。


want

〔someone + to do〕 〈人に〉〈…して〉ほしいと思う.

She wants me to go to Paris  with her.

彼女は私に一緒にパリに行ってもらいたがっている。




 文型の構造上は別として、意味的に SVOC を取り得る動詞 (Oは目的格 or 所有格、Cは ing 型 or to 不定詞、to 無しの不定詞)の内、本項ではto 不定詞を C として従えるものを採り上げました。お気づきかと思いますが、O が C となることを、主語主体が、求める、望む(嫌う)、し向ける意味を含んだ動詞(=意志作用の動詞)ばかりですね。to を利用していることから、〜の方に(これから)向かうといいなぁ、の気持を含んでいると考えても良いでしょう。前置詞の to だろうが、不定詞を作る to だろうが、英語話者には to は時間や位置への先、未来性を示す言葉であり、 to 以上でも以下でもありません。

 文意が直感的に理解が出来ないときは、まずはO+Cを独立した1つの文章として思い浮かべ、そしてそれが意味する内容に対して最初の動詞Vが何を望んでいるのか、を考えると良いでしょう。逆に作文する時も、O+Cを考えてから、適当な動詞V を添える遣り方でも悪くは無いと思います。

 いずれも極めて基本的な動詞ばかりですので、全て丸暗記して下さい。お経のように何度も唱えるの良いですし、ボイスレコーダー等に自分の声で録音するのも頭に残る方法だと思います。










動詞型A ing 型のみを取る動詞




2019年7月15日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 動詞型の違いは SVO のO、或いは SVOC のCに該当する動詞に関して、ing 型を取るのか、to 不定詞を取るのか、to 無しの不定詞(要するに原形)を取るのか、のパターンを頭に入れれば大方それで終わります(この場合、O は Cの意味上の主語になります)。今回は、後ろに ing 型の動詞(これらは名詞扱いの動詞、即ち動名詞、或いは現在分詞です)のみを取る動詞について扱います。

Verb patterns: verb  + -ing

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-infinitive-or-verb-ing


  ここに掲載されている20個の動詞

admit, avoid, consider, deny, dislike, enjoy, fancy, feel like,

finish, give up,  (can’t) help, imagine, involve, keep (on), mind,

miss, practise, put off, risk,  (can’t) stand


 これらの動詞は ing 型のみを従え、to 不定詞は取りません。以下例文を作りましたのでご参考までに。



admit

to recognize or regard (often reluctantly) as being valid or true

価値や真実性を(しぶしぶ)認める

admit doing  〈…する [した] ことを〉認める.

He admitted having cheated  in the examination.

彼はテストでカンニングしたと白状した.


avoid

to get or keep away from 避ける

avoid doing

She tried to avoid meeting him because he alway made her feel  gloomy.

彼と居ると暗い気持ちになるので彼女は彼と会わないようにした


consider

to think carefully about. 注意深く考える

to think or deem to be;  regard as 〜であるとみなす

consider doing 〈…することを〉よく考える

I considered sending mail to her, but then decided to see her.

彼女にメールしようかと思っていたが、会うことに決めた。.

consider someone to have done 〈…を〉〈…したと〉考える

We consider him to have  done  a good  job.

彼は良い仕事をしたと我々は思う。

consider someone (to be) 〈…を〉〈…だと〉みなす,考える

English people consider Shakespeare to be a great poet.

= English people consider  Shakespeare as a great poet.

英国人はシェイクスピアを大詩人とみなしている.


deny

to refuse to admit the truth, reality, value, or worth of

価値や事実、真実性を認めることを拒否する

deny doing  〈…する[した]ことを〉否定する

He denied having stolen  the  money.

彼はその金を盗んだ覚えはないと言った.


dislike

to have or express an unfavorable opinion  

dislike doing 〈…することを〉嫌う,いやがる

I dislike living in the countryside.

田舎に住むなんていやだねぇ。


enjoy

to receive pleasure or satisfaction from 楽しむ、享受する

We enjoyed taking a seven-day cruise in the Mediterranean.

私たちは地中海で7日間のクルージングを楽しみました。


fancy

to visualize; imagine

fancy doing 〈…することを〉考えてもごらん.

Fancy  playing with a  cellphone all day long.

一日中スマホをいじっているなんて.

fancy someone doing  

〔目的格[所有格]+doing〕〈人が…するのを〉考えてもごらん.

Fancy him [his] having told  a  lie!

まさか, 彼がうそをついたなんて!


feel like(口語表現)

to have an inclination or desire for: ちょっと〜してみたい、〜の気がする

feel like doing

I feel like throwing up. 何だか吐きそうだ。

I feel like going for a walk. ちょっと散歩に出たいや。

I don't feel like eating sushi. 寿司は食べる気がしない。


finish

to bring or come to an end

finish doing  〔+doing〕〈…し〉終える

He finished drawing a picture.

彼は絵を一枚描き終えた.


give up

to put an end to what one is doing  

give up doing  〈努力・考え、希望、習慣などを〉やめる、断念する

He finally gave up stalking his  divorced wife.

彼は別れた女房を追い回すのを遂に諦めた。


(can't) help 

not to refrain from; not to avoid or resist 〈…せざるを〉得ない、抵抗出来ない

I can't help worrying about my daughter.

=I can't help but (to) worry about my daughter.

娘の事が心配で仕方が無い。


imagine 

to form a mental picture or image of 心の中で思い描く

imagine doing  〈…することを〉想像する

I could not imagine winning in a lottery .

クジに当たるとは思いもよらなかった。

imagine someone doing  〈…が…するのを〉想像する

Can you imagine him (his)  getting married with Mary?

彼がメアリーと結婚するなんて想像できますか.


involve

to contain as a part; include. 一部として含む

to have as a necessary feature or consequence 必然的に〜と言う結果になる

to connect closely, implicate 密接に関与する

involve doing  〈…することを〉(必然的結果として)伴う.含む

English rewriting involves checking grammar,  word spellings, and  collocation of  the sentence.

(当たり前の話ですが)英文の校閲は文法、スペリング、コロケーションのチェックを含みます。

Overseas business trip will involve living abroard away from  Japan.

海外出張すれば日本を離れて生活することになる訳だ。


keep (on) 〈…し〉続ける

keep (on) doing    on が入ると強調的で反復, しばしば執拗さを暗示する

She kept on making the same mistake. 彼女は同じ間違いをし続けた.


mind

to care about; be concerned about. to object to; dislike

気掛かりだ、嫌だ

mind doing   〔+doing / +目的格[所有格]+doing〕〈…することを〉迷惑がる; いやがる

I don't mind him (his) smoking. 彼が喫煙するのは気にならない。

I don’t mind making a meal if you can go and purchase  ingredients.

食材を買いに出て呉れるなら夕飯を作ってもいいよ。

Do you mind the door being  opened?

ドアを開けっ放しでもいいですか.


miss

to escape or avoid,

miss doing  〈…することを〉逃す,〈…し〉そこなう、免れる

I missed watching the TV show last niggt. そのTV番組を昨晩見損ねた。

= I failed to watch the TV show last night.

He barely missed going to  juvenile prison.

= He barely escaped being jailed to  juvenile prison

彼は少年刑務所送りを辛うじて免れた。

cf. I miss you badly. 君が居なくてとても寂しいよ。(日常的口語表現)


practice (これは米語綴り、英国は practise)

to do or perform habitually  or  customarily; make a habit of

practice doing  〈…することを〉練習する.

School children must practice swimming  fully-clothed.

学童は必ず着衣泳の練習をしなければならない.


put off

to delay until a future time

put off doing 〈…することを〉延期する

Don't put off answering  his  letter  any longer.

=You must not postpone answering his letter any longer.

彼の手紙の返事をそれ以上遅らせてはいけない.


risk

to expose to a chance of loss or damage; hazard. 危険に身をさらす

risk doing   あえて〈…〉する. 〜する(〜の)リスクを負う

I'm willing to risk  losing all my  money on that investment

その投資で喜んで全財産失ってやろうじゃないか。

I am reluctant to risk  losing all my  money on that investment

その投資で全財産失うなんて気が進まないよ。

I'm unwilling to risk  losing all my  money on that investment

その投資で全財産失うなんて絶対にいやだ。


(can't) stand (口語表現)

not to continue to be in a place 同じ場所に立てない、我慢できない

(can't) stand doing 〈…することに〉耐えられない

I can't stand watching you. お前のことは見てられねぇ。



 動詞+ ing 型動詞の組み合わせですが、上記 20個の動詞は ing 型動詞に替えてもちろん他の一般の名詞を取る事が出来ます。まぁ、他動詞には違いありません。他動詞+ing 型の動詞ですので、ing 型の動詞は、〜すること、を表す動詞が名詞化したもの、即ち動名詞扱いになります。

 しかしながら、上記例文

Can you imagine him (his)  getting married with Mary?

彼がメアリーと結婚するなんて想像できますか.

= Can you imagine that he will get (or is getting )married with  Mary?


 にて、意味上の主語を 目的格の him とするならば、次の getting は動詞の現在分詞扱いに、一方、所有格の his とすれば、次の getting は動名詞扱いになります。英語話者は、文法上の位置づけなど考えず、この様に揺れ動く表現を使っていることになります。SVOC 文型とSVO 文型との間の揺れ動きですね。日本語でも「このスマホは凄いいいね」などと普通に表現しますが、「このスマホは凄くいいね」の方が まだしも formal ですが、この様な揺れ動きが積み重なって言語が徐々に変化していくのでしょう。文型の構造上は別として、意味的に SVOC を取り得る動詞 (Oは目的格 or 所有格、Cは ing 型 or to 不定詞、to 無しの不定詞)についてはまた別項で纏めたいと思います。この様な 広義のSVOC 表現を許容する動詞を頭に叩き込んでおくのが、動詞遣いのキモともなる筈です。









動詞型@  to 不定詞 を取る動詞




2019年7月10日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 英語の文型とは動詞使用の実例パターン詰まりは動詞型を簡略に纏めたものに他ならない、と前回述べました。要は、結局のところ、個々の動詞について慣用的な使用法即ち collocation を覚えるしか無いとの結論です。尤も、日常生活で利用される基本的な動詞についての collocation を頭に入れれば足りてしまいます。米国でも3億人の老若男女が普通に喋っている言葉ですので、優秀な皆さんならすぐにも覚えることが出来るでしょう。動詞型の違いは SVO のO、或いは SVOC のCに該当する動詞に関して、ing 型を取るのか、to 不定詞を取るのか、to 無しの不定詞(要するに原形)を取るのか、のパターンを頭に入れれば大方それで終わります(この場合、O は Cの意味上の主語になります)。あとはその動詞が文型的に SVOO を取り得るかどうか、ですね。

Verb patterns: verb + infinitive or verb + -ing?

https://dictionary.cambridge.org/ja/grammar/british-grammar/verb-patterns/verb-patterns-verb-infinitive-or-verb-ing


  ここに掲載されている30個の動詞


afford, agree, ask, arrange, begin, choose, continue, decide, fail, forget,

hate, help, hope, intend, learn, like, love, manage, mean (=intend), need,

offer, plan, prefer, pretend, promise, refuse, remember, start, try, want


  について、以下例文を作りましたのでご参考までに。



afford to do

(原義 to put forwad  <商いの話を>前に進める)

to be able to bear the expense of  〜の出費に耐えられる

to have enough money to do something 〜をするお金を持っている


We can't afford to buy such an expensive car.

=We don't have enough money to buy such  an  expensive car.

=We can't afford such  an  expensive car.

そんな高い車を買う余裕はない。


agree to do  〈…することに〉同意する

to give consent to doing

to assent to doing

He agreed to succeed to the  Imperial Throne

彼は皇位を継承することに同意した。.


arrange to do  〈…するように〉準備する、段取りをつける

to place things in order

Can you arrange to be here  in  three days?

3日後にここに来ていただけますでしょうか.

I arranged to meet her at  seven o'clock.

僕は7時に彼女に会うように段取りした。


arrange for someone/ something to do

〔人・ものが〕〈…するように〉準備する,手配する.

I'll arrange for my son  to  pick  you up at the station.

駅で君を拾うよう息子に手配しよう.


ask to do 自分に〈…させてくれと〉(人に)頼む.

to make a request to alow

He asked to play the violin.

そのバイオリンを弾かせてくれないかと彼は頼んだ


ask someone to do 〈人に〉〈…するように〉頼む.

The police asked a crowd of curious onlookers to leave the scene.

警察は野次馬に現場から退去するよう求めた.


begin to do/ doing 〈…し〉始める,〈…し〉だす

It has begun to snow. 雪が降りだした.


cannot begin to do とても出来そうにない

I cannot begin to imagine how terrible the nuclear war is.

核戦争がどれほど恐ろしいものか私にはまったく想像もできない

I can't begin to tell you how much I appreciate your support.

あなたからのご支援にはどんなに感謝しているかお礼の言いようもありません.


choose to do  〈…することに〉決める、決心する

to prefer or decide to do

The boy chose to stay with  his father.

少年は父と一緒にいる事に決めた。

=He decided to stay with  his  father.


continue to do  断続的・習慣的に〈…し〉続ける

to go on after suspension or interruption

He continued to climb mountaines even after the accident.

彼は事故後も山に登り続けた。.


continue doing ある動作を〈…し〉続ける、(中断後に)〈…することを〉続ける.

He continued playing  the game  into the night. 彼は夜中までゲームし続けた.

=He kept on playing  the game  into the night.

He continued painting her  portrail after dinner.

彼は夕食後もまた彼女の肖像画を描き続けた。


decide to do 〈人が〉〈…しようと〉決心する,決意する

to come to conclusion

He decided to divorce his  wife.

彼は離婚することに決めた


fail to do 期待されていることができない,〈…し〉損なう

to be unsuccessful in the  performance or completion of

He failed to marry that beautiful girl. 彼はその綺麗な娘と結婚し損ねた。.


not fail to do 必ず〈…〉する.

Don't fail to send an e-mail  to me.

= Make sure to send an e-mail to me.

=Send an e-mail to me  without fail.

必ずメールしてくれ。


forget to do 〈…するのを〉忘れる

Don't forget to take the  medicine.

その薬を呑むのを忘れるな。


not forget doing〈…したことを〉忘れない

I shall never forget having a  plesant time with her.

彼女と楽しい時を過ごしたことは決して忘れないだろう.


hate to do/ doing〈…するのが〉嫌だ、残念に思う.

I hate to disturb you. おじゃまして誠に恐縮です.

I hate not to hear [not  hearing] from you any more.

もうお便りできないのは残念です.


hate someone to do が〜するのが残念だ、止めて欲しい

She hated her son to do  such low behavior.

彼女は息子の粗野な振る舞いを止めて欲しかった。


help (to) do手助けする

to give aid

He helped (to) earn money. 彼は金を稼ぐ手伝いをした.


help someone (to) do

He helped me (to) move to a  new  house.

彼は僕が引っ越しするのを手伝った。


hope to do  〈…したいと〉思う,〈…であればよいと〉思う.

to look forward to with desire

We hope to see  you again soon. またじきにお目にかかりたいと思います.

=We look forward to seeing  you again soon.


intend to do 意図する,〈…する〉つもりだ

mean to do (こっちは less  formal)

I intend to leave tomorrow. 私は明日出発するつもりです.


intend someone to do 〈…に〉させるつもりだ、もくろんでいる

I intend my son to take over  the  business.

私は息子にこの商売を引き継いでもらおうと思っている.


learn to do  〈…〉できる[する]ようになる.

He has finally learned to  communicate in french.

彼はついにフランス語でコミニュケーションが出来るようになった。.


like to do/ doing

I like to play [playing]  the piano. ピアノを弾くのが好きだ.


not like to do/ doing 〈…し〉たくない; 〈…するのが〉嫌いだ.

I don't like to sleep alone.

独り寝はいやだ。.


like someone to do 〈…が〉〈…するのを〉好む.

I like her to play the piano.僕は彼女がピアノを弾くのが好きだ.


love to do/ doing〈…するのが〉(大)好きである

She loves to be [loves being]  admired by young men.

彼女は若い男にちやほやされるのが好きだ.


love (for) someone to do/ doing 〈…が〉〈…するのを〉好む.

I love you to play the piano.

君がピアノを弾くのが私は好きだ.

She'll love for you to come with her. (for を付けるのは米口語)

彼女はあなたが一緒に来てくれれば喜ぶだろう.


manage to do 困難を乗り越えどうにかして〈…〉する

to bring about or succeed in accomplishing, sometimes despite difficulty or  hardship

I managed to get out of the  forest.

やっとこさ森から抜けられた。


mean doing 〈…するに〉等しい

Success does not mean  merely  becoming  rich.

成功とは単に金持ちになることではない.

= Success is not eaqual to  merely becoming rich.


mean doing 〈…することを〉引き起こす,〈…することに〉なる.

Missing the train will mean having to spend a night in a hotel.

列車に乗り遅れると 1 晩ホテルに泊まらなければならなくなるだろう.

=Missing train will cause as an inevitable result our spending a night in a hotel.

=If we miss the train, we will be obliged to spend a night in a hotel.

もしその列車を逃すと、ホテルで一晩過ごさざるをえなくなる。


mean to do 〈事が〉〈…することに〉等しい.

Alcoholic means to depend  on liquors.

アル中とは酒に依存すると言う事だ。.


mean to do〈…する〉つもりである、目論んでいる  

《=intend to do》 (やや口語的表現)

She means to be a veterinary doctor. 彼女は獣医師になろうと思っている。.

I've been meaning to see that new movie everyone is talking about.

皆が話している新作映画を見に行こうとずっと目論んでいる。


mean for someone to do 〈…に〉させるつもりだ、もくろんでいる

John meant for Jane to do the dishes.

ジョンはジェーンに食事の支度をさせるつもりだった。

=John intended Jane to do the  dishes.


be meant to do〈…するために/ であるべく〉作られている, 意図されている

This food is not meant  to be  taken  by  Muslim.

この食べものはイスラム教徒向けではありません。

She was meant to be a nurse.

= She was made to be a nurse.

彼女は看護師になるべく生まれついた。天性の看護師だった。


need to do 〈…する〉必要がある.

I need to be back in Tokyo as soon as possible.

出来るだけ早く東京に戻る必要がある。

= It's  necessory for me to be back in Tokyo as soon as possible.


need doing〈人・ものが〉〈…することを〉必要とする (米国口語表現)

My smart phone needs repairing. 僕のスマホは修理が必要だ。

=It's necessory for me to have my smart phone repaired.

=I need to have my smart  phone repaired.

=My smart phone needs to be repaired


offer to do〈…しようと〉申し出る,〈…してもいいと〉言う.

I offered to rewrite his paper  as a native English speaker.

英語話者として彼の論文を手直ししようと申し出た。


plan to do 〈…しようと〉計画する

I'm planning to submit a paper during the summer vacation.

夏休み中に論文を1本投稿する予定です。.


prefer doing A to doing B

prefer to do  A rather than to do B

prefer to do A instead of doing B 〔Bするよりも〕〈Aする方が〉好きだ.

Most people prefer living in a city  to living in the country

Most  people prefer to live in a city rather than to live in the country.

Most people prefer to live in a city instead of living in the country .

大多数の人は田舎に住むよりも都会に住みたいと思っている。


prefer someone to do  どちらかと言えば〈…に〉〈…して〉もらいたい.

We'd prefer you to take part  in the discussion.

(できれば)君にも討論に加わってもらいたい.

I prefer my wife to leave me  alone.

妻には私を一人にして貰いたいと思っている。


pretent to do ふりをする; 〈…すると〉うそぶく.

He pretended not to see, and kept on getting public assistance.

彼は見えないふりをして、社会保障を受給し続けた。。

The boys pretended to be Indians. 少年たちはインディアンごっこをした.


not pretend to do 〈…する〉気持になれない

Frankly speaking, I cannot pretend to support your hypothesis on the human  evolution.

率直に言うが、君の人類進化の仮説を支持しようとの気にはなれない.


promise to do〈…することを〉約束する.

promise (someone) to do(に)〈…することを〉約束する.

He promised (me) to continue to work for the company until the end of the  year.

彼は(私に)年末まで会社で働き続けると約束した。


refuse to do  〔…する依頼を〕拒否する、どうしてもしない

She refused to accept his proposal. 彼女は彼の結婚の申し出を断った。

SVOO 文型有り


remember to do 忘れずにこれから〈…〉する

I'll remember to mail. 忘れずに手紙を投函します。

remember doing  〈…したことを〉覚えている

I remember (him/ his) mailing. (彼が)投函したことを覚えている。


start to do/ doing〈…し〉始める

The dog began howling at sundown. 日没になり、イヌが遠吠えを始めた。.

The train was already starting to move. 列車は既に動き始めていた。.


start someone doing 〈人に〉〈…し〉始めさせる.

That scene started him looking back on his student days.

その光景は彼に学生時代を想い起こさせた。


try to do 〈…しようと〉ためしてみる.挑もうとする

I tryed to climb Mount Fuji, but the bad weather prevented me from doing so.

富士山に登ろうとしたが悪天候で果たせなかった。


try doing ためしに実際にやってみる

I tried climbing Mount Fuji and found it easier than I had expected.

富士山にためしに登ったが思ったよりラクだった。.


want to do〈…〉したい(と思う).

I want to go to France. 私はフランスへ行きたい.

want to do  〈…〉したほうがいい.(口語)

You want to see a doctor at once. すぐ医者に見てもらった方がいい。

=You should consult a doctor  immediately.

 直ちに医師の診断を受けなさい (こちらは formal な表現)


want someone to do〈人に〉〈…して〉ほしいと思う

She wants me to work harder.

彼女は私にもっと熱心に働いて欲しいと思っている。.


not want someone doing

I don't want others  trespassing my garden.

他人には勝手に庭に入らないで貰いたい。


want someone/ something done/ adjective

〈人が〉〈…が〉〈…されること/の状態にあることを〉望む.

I want the room cleaned at once. 部屋を直ちに掃除してもらいたい.

I want my sake (to be ) very hot, please. お酒は熱燗にしてください.


want doing 〈 人・ものが〉〈…することを〉必要とする (英国口語表現)

My smart phone wants repairing. 僕のスマホは修理が必要だ。

=My smart phone needs repairing. (米国表現)




 動詞+動詞 (現在分詞 ing、to 不定詞、to 無し不定詞)のパターンを概観しましたが、勿論、これら以外の用法や意味もこれら30個の動詞は持ち合わせています。

 不定詞の to は前置詞の to と同じ同じ発音綴りですが、基本は方向性、<これから〜に向かう>と言う未来性、動作性を持つ表現であり、基本的に、〜しようと・・・する、意味合いを持ちます。これに対し現在分詞の ing 型は、動名詞の ing 型と同じで、<既に出来上がったこと、名詞性>を表すニュアンスを持っています。これを理解すると違いが覚えやすくなるでしょう。上記用例、例文は1つ残らず丸暗記して下さい。

 例えば、動詞 mean は「意味する」の和訳が当てられていますが、普段日本人は「意味する」との表現は使わず(そもそも日常会話で<意味する>などと使いますか?)、その様な訳語を当てると「意味」がぼやけて語感が直感的に理解できず、英語学習上の妨げになります。「〜と言う意味です」は「〜に等しい」と置き換えて間違いはありません。SVO でしたら「〜するつもり、目論む」、SVC でしたら「〜に等しい」「〜と言う事だ」 とさっと脳内変換してしまうと良いと思います。おそらく、同時通訳者は単語の基本的意味を理解していて、臨機応変にふさわしい日本語を当てはめていくのでしょうね。まぁ、通訳者とまでは行かないまでにしても、英和辞典のだらだらした記述に惑わされずに、mean ならば、目論む、等しい、の2義をぱっと思い浮かべる様にするといいでしょう。同様のことを他の単語にも当てはめて、日々、訳出のヤイバを研いでおくといいと思います。

  SVOC 相当の文型を取る動詞の場合、OCは主語+述語の関係になりますが、 to 不定詞の意味上の主語であるOに対しては、for を付ける場合、付けない場合、またこの2つの間で表現が揺れ動いている場合もあります。これは非英語話者には分からず、<意味上の主語だから for を兎に角添えれば良い>、は許されません。

  ing 型の場合、意味上の主語が取れる場合は目的格或いは所有格になりますが、これにも揺れ動きがあります。目的格+ing :型の場合は ing 型は現在分詞扱いに、一方、所有格+ing 型では ing 型動詞は動名詞扱いとなり、文型の分類が厳密には変わりますが、英語話者は ing 型の文法上の意義を何ら区別することもなく使用していることになりますね。意味的にはSVOCのままです。

 上記例文をまずはそのまま頭に叩き込んでください。また否定の意味を加えるには2番目の動詞 or to 不定詞の直前に not を加えればOKですが、最初の動詞の前に not を持ってくる方が慣用的である場合もあります。分かり易い例で言えば、I wantnot  to go to  France. フランスに行かない事を望む、とは言わず、I don't want to go to France. フランスには行きたくない、ですね。










文型 と 動詞型



2019年7月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 一般的には日本語の基本構造はSOV だと考えられていますね。詰まりは、主語−目的語−述語の順です(例:ワタシwa−スシwo−タベル)。これに対し、SVO 構造に従うのが英語(例: I -eat-sushi.)であると、中学の英語授業の最初の頃に教わったのではと思います。英語の主語について触れたコラムにて、この2つの言語は全く異なる遣り方で機能するものゆえ、この様な英語の文型の概念で日本語を捉えようとするアプローチがそもそも間違いで殆ど意味を持たないとの web 上の記事を引用しました。まぁ、英語は、主語−動詞−目的語(動詞+目的語は叙述語と考えても良い)が直線的に配列し、その周りに付帯状況を説明する修飾語句がちりばめられる構造に対し、日本語は、動詞(or 叙述語)が饅頭の餡子の様に中心にドカッと配置し、その周囲に主体を含めた様々な修飾要素がウニのトゲのように配列する構造との按配です。リニアー(直線的)な配列で捉えるべき言語体系では無いとの指摘です。

 勿論、英語に於いては、その表現の法体系、即ち英文法の規則性を合理的に理解する方途として、この様な語順に注目する捉え方は相当程度に有効なのは確かです。

 今回はこの様な、語順に注目する英文法、詰まりは文型とはそもそも何なのかについて探っていきましょう。

 英語の文型 sentence patterns は基本5文型に加え、それに2つを加えて7文型とする主張もありますが、実は、特定の動詞と取り得る特定の文型とが決まっていて、要は、動詞の取り得る形式、即ち動詞型 verb patterns を簡略化して纏めたものがいわゆる文型であることが理解戴けると思います。

 各動詞についてどのパターンが許容され得るのかを知識として貯える他はありません。これは一種の慣用的な表現法collocation であり、他言語話者が口を挟む余地はありませんが、法則性はあります。例えば皆さんご存じの様に、知覚に関する動詞の場合 SVOC 型を取れるなどです(例:I  heard the baby crying.  I saw a sloth swim in the  river. ここに、C は〜ing 或いはto のない不定詞)。

 個々の動詞について、取り得る(広義の)型を表にしたものが、英英辞典の巻末などに付録として添えられていることがありますので、迷ったらさっと参照すると英語の力が付きます。

 英語の文型と動詞型についての面白い論文が見付かりましたのでご紹介しましょう。



文型と動詞型との関係について

日塔 悦夫 Etsuo Nitto 雑誌名dialogos vol. 11, 2011-03:239-255

http://id.nii.ac.jp/1060/00005062/  (無料で入手出来ます)


 「過去には、安井稔は文法用語「5文型」がT.Onionsの「述部の五形式」から「5」を借り、さらにPalmerの「動詞型」から「型」を借り、そして我が国でそれら二つが「5文型」に新配合して成立したと定義した。これに対し著者は、英語の文型概念が大正10年頃の日本語教育から発し、それが Palmer と Hornby の動詞型に受け継がれ、戦後に英語の5文型となった。Palmer の27動詞型は本邦に於ける英語教育並びに日本語教育の中から生み出された文法用語の「文型」から考案されたもので、1938年にA   Grammar of  English Words として出版された」、と論考します。


 詰まりは、それまで英語圏には文型の概念も無かった訳で、日本人がその基礎を作ったとの説になります。英語話者にとっては、自分たちの語順が当たり前すぎて意識もしなかったのかもしれません。個々の単語(動詞)に関しては子供の頃からの会話を通じ  collocation を覚えて利用するに留まり、特に意識して数個の類型に分類しようとの気持がなかったのかと思います。逆に日本人は、漢文を読む時に返り点を打ったりしますが、その影響で他言語の語順に対する意識を鋭く持っていたとも言えそうです。

 因みに塾長が手持ちの、Cambridge University Press 発行の English Grammar Today なる文法書(初学者〜中級者向けの解説本)にも、Sentence Patterns の項目は無く、代わりに様々な動詞についてそれが取り得るパターンを類型化した内容の記述が続くだけです。5つの文型パターンは法律で言えば憲法の様なもので、実用面では法律としての個々の動詞の使い方詰まりは動詞型を把握するしかないだろう、と思います。

 まぁ、言うなれば、非英語話者が英語を学習する際に便利な様に、動詞を中心とする類型パターンを極くおおざっぱに纏めたものが、文型であるとも言えますね。ひょっとすると、文型だと騒いでいるのは日本人だけなのかもしれません。

 次回からは、

 https://dictionary.cambridge.org/

 に掲載の個々の動詞について、その用法・用例を採り上げながら、文型も絡めつつ解説を加えて行きたいと思います。