英文長文読解 短期集中 個別指導 

KVC Tokyo  英語塾

                               





















































































































































































塾長のコラム 2019年6月5日  『句動詞の話







句動詞  phrasal verb  の話



2019年6月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 前々回、前回 と collocation と idiom について触れました。 今回は英語の大和言葉に相当する類いの平易な動詞(易しい動作表現の動詞)+(前置詞 or 副詞)の組み合わせからなる、句動詞 phrasal verb フレイザル・バーブを採り上げましょう。例えば、 (to  look after 〜 原義は〜の後ろを見る)は to minister, to take careof   〜の世話をする、の意味を持ちます。まぁ子供の時からこの様な平易な語の組み合わせに拠る、特定の具体的な意味を持つ表現を使い込んで来て、ほとんど直感的に理解出来る native speaker は別として、非英語話者がこの言葉を見ても、to  look after a  baby 赤ん坊の後ろを見るとはどういう意味なのかと却って首を傾げる可能性があります。ラテン語系などの難しい言葉を使っても全く構わないので、明確な意味を持つ言葉でキリっと表現して呉れた方が、非英語話者には寧ろ明快に理解が出来ると思いますし、実際塾長もその1人です。

 collocation、idiom、phrasal veb、 の内、formal な英文を書くには正しい collocation を使う事は必須ですが、イディオムと句動詞は寧ろ排除すべき、口語的性格の強い表現法になります。特に句動詞は、informal であって、子供が使うような低レベルの表現と思われることがありますので、formal  な表現には使うべきではありません。

 逆にイディオムと句動詞を知らないと、相手のレベルにも拠りますが、円滑な会話が困難にもなるでしょう。英文の哲学書は読めても、小学生の話す英語が理解できない事態となります。実際、高度な内容の英文を読み進めるには、これら2つは殆ど出て来ませんが、中程度のレベルの文を読み進めたり、簡単な英作文を書けとの課題に対しては、そこそこの数の句動詞は覚えてないと入試の点が取れません。人と人との会話に使われる表現ですから、実際にそれが利用されるシーンを見て覚えるのも一法です。映画などを教材として上手く活用するのも良いと思います。








 web 版のケンブリッジ辞典  https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/phrasal-verb  では、


phrasal verb 句動詞

a phrase that consists of a verb with a preposition or adverb or  both, the  meaning of which is different from the meaning of its  separate parts:

"Pay for", "work out", and "make up for" are all phrasal  verbs.


 前置詞或いは副詞或いは両者を伴う動詞からなる句。それを構成する個々の単語の意味とは異なる意味を持つ。pay for, work out, make up for は全て  pfrasal verb 句動詞である。


更に文法の説明では


Multi-word verbs are verbs which consist of a verb and one or two  particles or prepositions (e.g. up, over, in, down). There are three  types of  multi-word verbs: phrasal verbs, prepositional verbs and  phrasal-prepositional verbs. Sometimes, the name ‘phrasal verb’  is used to refer to all  three  types.


 複数語動詞は1つの動詞(+小詞)+前置詞(例えばup, over, in, down)から構成される動詞である。


phrasal verbs 句動詞、

prepositional verbs 前置詞動詞、及び

phrasal-prepositional verbs 句前置詞動詞 

 

 の3タイプがある。句動詞の用語でこれら3つ全てを差す事もある。



Multi-word verbs  複数語動詞 (広義の句動詞)


・Phrasal verbs have two parts: a main verb and an adverb  particle.

 (狭義の)句動詞とは2部分から成り、主動詞(他動詞 or 自動詞)+副詞である。

 (論文等の formal な文中では控える)

  (主動詞は基本的な頻用動詞、また副詞は up, down, off 等の短い頻用副詞、の組み合わせになります)


他動詞 +副詞の場合、代名詞が目的語になる時は、それは必ず動詞の直後に配置させます

 例えば、to give up something  〜 〜を止める (cease,stop)、では to give  it up となります。



・Prepositional verbs have two parts: a verb and apreposition  which cannot be separated from each other:

 前置詞句とは、2部分から成り、動詞(=自動詞)+前置詞の組み合わせだが、2つは分離出来ない

 (論文等の formal な文中で勿論使える)



Phrasal-prepositional verbs have three parts: a verb, a particle and a preposition. The particle and the preposition cannot be separated. Many of  these verbs are often used in informal contexts, and their meaning is difficult to guess from their individual parts.

 句前置詞動詞は、3つの部分から成る動詞である。動詞+小詞+前置詞から成る。小詞+前置詞は分離し得ない。この動詞の多くは informal な文の中でしばしば使われ、個々の構成から全体の意味を推測するのは困難である。

 (論文等の formal な文中では控える)


句前置詞動詞 は、構成される単語から全体の意味を推測出来ないことが多く、これは詰まり、 ほぼ完全に idiom 化している訳ですね。







250 PHRASAL VERBS IN ENGLISH with examples - most common English

phrasal verbs. English course English Professionally - phrasal verbs in English,

English grammar lessons and English words English with Alexander

https://youtu.be/oUWTubehtE0


3時間22分の長丁場ですが、大変分かり易く 句動詞の

表現を教示して呉れます。





 相当前の話となりますが、塾長が学生の時分には、一橋大教授の岩田一男先生と言う有名な英文学者が居られました。ジキル博士とハイド氏の作者のスティーブンソンの研究家であり、また塾長の愛読している作家の中島 敦とは横浜の女学校で一時期同僚でもあった方です。当時英語にまつわる各種の本を多数著作されており、塾長も数冊は買い込みました。その中でタイトルを忘れてしまったのですが、get,  take,  go  などの基本的な動詞を使った表現を覚えて英語をモノにしようと主張する内容の本がありました。しかしそれらの句動詞は、単純に動作にバリエーションを付ける表現であると同時に、精神的な働きを意味する別の意味を二重に併せ持つものであり、初学者には却って覚えられないところがあるなぁと感じました。

例えば、


自動詞 look +前置詞


to look over  〜の上越しに見る    

→ ざっと調べる to examine briefly


to look after 〜のあとを視線で追う  

→ 世話をする to  minister to, to take care of


to look for  〜に向けて目で追う 

→ 探し求める to  seek; 期待する to  anticipate

 

to look into 〜の中をのぞき込む  

→ 調べる to inquire into、 調査する to  investigate

 

動詞+小詞+前置詞

to look forward to 〜 〜の前方を見る、

→ 〜を楽しみに待つ  to be pleased or excited to meet,  experience, hear, etc.


*I look forward to hearing from you soon.

 すぐにお返事戴ければ嬉しいです。

 (これは3語からなる句前置詞動詞ですが、formal な手紙の最後に使う事が出来ます)


 いずれの句動詞も、動作そのものの原義並びに、抽象化した精神的動作の二重の意味を持ちますので、口語的表現である理由以外にも論文や公的な文章中では利用は控えるべき用法です。正直なところ、塾長にしても to look over よりは最初から to  examine briefly と言って貰った方が一瞬で理解が出来でラクです。ある程度の句動詞の意味は知っておく必要は受験対策上当然ありますが、上記例で下の行に記した明確性の高い単語(いずれも一定の知的水準にある英語話者が極く普通に使う語です)等に常に置き換えられる様にしてください。まぁ、上の行の表現は小学生の作文表現の様なものかもしれません。そのレベルを 100万パターン覚えたとしても、英会話には役立っても、第三者から敬意を持って迎えられる、品格有る英文はモノ出来ないのは確かです。350語で英語が喋れるなどを謳う書籍が現在でも売られていますが、どの程度の知的階層との会話を成立させるのか、明確性を出していないのはどうかと感じますね。学校の先生 (おそらく一部エリート校の先生方は除く)  はこの辺のことを明確には教えてくれないのではないかと思います。明確且つ品性のある formal とされる表現と、簡単な単語を組み合わせた多義性を持つ  informal な表現とを状況に応じ適宜区別して使うことが肝要です。

 idiom の場合と同じく、phrasal verb も 短い、明確な意味表現で置き換えながら覚えると、暗記が捗ると同時に英語力も一段と up すると思います。句動詞を羅列した参考書に、英英辞典(の同義語辞典)を用いて検索した言い換えの語を、自分で書き込むのも良いと思います。