英文長文読解 短期集中 個別指導 

KVC Tokyo  英語塾

                               





















































































































































































































































































































塾長のコラム 2020年1月15日  入試英文を添削するB







入試英文を添削するB



2020年1月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 普段一般的な英語の文章を多読している塾長からすると、大学入試の英語文に触れてギョッとなることがそこそこあります。入試英文も一つの英語の文章として、公平な観点から見てみようとのコラムの第3回目です。

 以下、過去問となりますが具体例を挙げながら入試英文を<添削>して参りましょう。最終的には改訂した英文を掲載しますが、そこに至る塾長の考え方、迷い?など思考のプロセスをご覧ください。他ではちょっと見られない企画だろうと思います。


以下参考辞書サイト:

https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/






M

迷い道・・渡辺真知子

2014/07/12  naomi1996naomidegu

https://youtu.be/7UTVYMrHNa4


現在、過去、未来との有名な歌い出しです。このコラムからは直接は再生できません

ので画面内の下線部をクリックして直接 youtube にてご覧下さい。これぞ歌手との

圧倒的な迫力ですね。ポビュラーミュージックの醍醐味が味わえます。






Yet, somehow, historians or political  scientists  studying  our  own age must  try to identify the landmarks that lead to  the  present. They must select  from the  countless  events  of  recent history those which seem the most  important and  which  provide some clue to the mysteries of  modern  history.  For only some understanding of the past enables us to  know   where we are and  provides some paths  through  the  forests in the future.

(青山学院大、問題文の後半部分)


 「それにも関わらず、我々自身の時代を研究している歴史家或いは政治学者は、現在に通じる道しるべが何かを何とかして見い出そうと努めねばならない。近世史の数え切れない事象の中から、最も重要であり且つ近代史の秘密解明に何らかの手掛かりを備えるそれらを選び取らねばならないのだ。なぜなら、過去の何らかの理解のみが我々が何処に立っているのかを知らしめて呉れ、未来の森を抜ける幾本の小道を備えるからである。」


 構文的には大した難解性は無く、基本的に伸びやかな英文です。所々をカッコで括って読解を進めるのみです。しかしながら、当たり前すぎる様な内容を、もって回ったような表現でごてごてと述べ立ててあり、その意味に於いては悪文の類いと感じます。文意は、<現在を知るには過去を理解するキーとなる事象を探し出す必要があり、それはまた未来を理解する手掛かりにもなろう>、との最後の一文に全て集約されています。まぁ、文意を4文字で要約せよと言われれば只の<温故知新>ですね。



 カッコで文章の構成要素を適宜括れば、

Yet, somehow, (historians or political  scientists  studying  our own age)  must try to identify the landmarks that lead to  the  present. They must  select (from the  countless  events  of recent history) those { (which seem  the most important)  and  (which provide some  clue to the mysteries  of  modern  history)}. For (only some  understanding of the  past) {  (enables us   to know where we are)  and  (provides  some  paths  through the forests in  the future).}


 となります。出題文を読みながらさっさかカッコで括り、頭の中の思考を視覚化すると英文解釈がとてもラクになります。これが出来れば問題は7割方解けた様なものです。


ざっと手直しすると、


Yet, historians or political scientists  studying  our  age  must try somehow to identify the landmarks that lead to the  present. They must select from the countless  events  of  recent history those which seem the most important and  provide some clue to the mysteries of modern history.  Just  understanding  the past enables us to know where we are  and  give any paths through the forests in the  future.


 とでもしましょうか。



identify

To establish the identity of.  独自性、唯一性、主体性を確立する、他に、同一視する、の意味もありますがここでは以下の意味になります。

To ascertain the origin, nature, or definitive,  characteristics  of

 〜の起源、性質、定義、特徴を(誰だと)確認する、(見分けて本質を)突き止める、見分ける


cf. be identified with = be equal to 〜と一致する、同一視される、等しい


 上記では、現在へと通じる道しるべとなるものを様々な事象の中から見分けて突き止める、即ち<見つけ出して他とは区別する>の意味ですが、<見つけ出す>こととは他のモノとは違うとレッテルを貼る意味も含んでいますので単に<見つけ出す>で良いと思います。identify の意味が不明でも、次の文で select  from  <〜の中から選択する>、と言い換えが為されています。



 最初の somehow  (なんとかして)、以外に some が3個次々と出現しますが、最初の2つは単数形名詞を修飾しますので certain 詰まりは<或る、何らかの>の意味であり、最後は複数形名詞に係りますので、<幾つかの>の意味ですね。英語は同じ単語が続く冗語性を嫌いますので、感心した記述ではありません。誰でも文章を書くときは頭の中に前の文章で使用した語句が残り、どうしても同じ語句を繰り返し使いがちになります。これを推敲して別の表現に体裁を整えるのが肝要です。



 最後の文の初頭に For が立ちますが、for は前置詞として多様な意味を持ち、詰まりは意味が曖昧性を抱えます。接続詞としての for は理由を表す用法があり、理由を示す従属節の先頭に貼り付けて用います。例えば、as, since, because などと同様に。但し、従属節ですから、疑問文で理由を尋ねられた時の答えに、Since ----. 〜の理由からだ、との用法では単独で利用する事は出来ますが、上記文の場合は単に従属節を独立文としているので適当ではありません。経験しない表現でギョッとしました。文章の流れとしては  For   only 〜で、只〜の者に対しては、と文が展開すると思いきやそうではないので、なんだこれはとなった訳です。文章の最後でキモとなる理由を述べる大切な箇所ですので、曖昧性を含んだ用法ではなく、というのは〜だからであると、どうせなら明確な表現に改めるべきです。




書き換えの要点


*yet は複数の意味を持ちますので、despite that の意味を明確に示すために however, nevertheless, nonetheless に置き換えます。

*somehow try to do 何とかして〜しようとする

→ manage to do 何とか実現する、の意味になります。try  to  do の表現だと、しようとする、ですが、それが実現し得たのかは不明です。


*for → This is because なぜなら、と続けるまでもなく、次の文を続ければ理由を述べることが分かりますので省いて良いでしょう。


*only some は only が some に掛かる様に誤解(ホンのちょっとだけの意味)を与えますので some は削除します。

*only は〜だけと心情的に訴える色が濃くなります。理性的な判断を述べたいのであれば solely か just に換えます。

*関係代名詞の多用は文がゴテゴテして重くなりますので数を減らします。日本語で言うと、〜するところの〜、となりますが、文章がごつごつしますね。



以上から

Rewrite:

Nonetheless, historians or political  scientists  studying  our age should manage to identify the landmarks leading to the  present. They must select from the  countless  events  of  recent history those which seem to be most important and  help  provide some clue to the mysteries of  modern  history.  Just understanding the past enables us to know where we  are and can give any paths through the forests  in  the  future.


 「それにも関わらず、我々自身の時代を研究している歴史家或いは政治学者は、現在に通じる道しるべが何かを何とかして見い出す必要がある。近世史の数え切れない事象の中から、最も重要であり且つ近代史の秘密の解明に何らかの手掛かりを与える助けとなる道しるべを選び取らねばならないのだ。過去への理解のみが我々が現在何処に立っているのかを知らしめて呉れ、未来の森を抜ける何らかの小道を与え得る。」


 ごてごてした表記を、意味内容を変えること無く、より簡潔明快に書き換えが出来ました。


cf.

countless

数え切れない、無数の

priceless  

きわめて貴重な、値段の付けられない、(口語)とてもおもしろい




 「以下の英文を院生に頼んで入試問題用に試作させたのだが、根拠を示しつつ適宜改訂せよ」 などの入試問題が登場したら傑作ですね。


 「文章は訳さなくて良いので適宜カッコで括り、文章の構造を明確にしなさい」 なども面白ろそうです。









 元々の英語が曖昧性を含んでいて優れた表記ではない文章に対し、それを英語を取り巻く情報、常識を元に上手く訳すまでに到達しないと入試英語への回答としては駄目だと宣う英語指導者も散見しますが、それは間違いです。native が書いた文章が、或いは入試問題が絶対である様な態度は良くありません。native であっても普段から明確な表現を心がけて英文をモノする修練をしている者もいれば、内輪でしか理解出来ない表記のままにしておく者も居ます。

 塾長も生物学徒として英文の論文を週に2本ずつは一通り目通しする習慣にしていますが、簡潔且つ見事な表現の論文もあれば、多義に取れる明確性の低い論文(非英語圏からの投稿が多い)も目にします。基本は書かれた文字の通りに解釈するのが論文の読解ですので、読み手側がウラまで斟酌して遣る必要はありませんし、行間を読むなどと悠長なことをする必要もありません。相手との明確な意思疎通を図る道具としての英語の語学学習と、英文学(もどき)の勉強とを混ぜてしまってはいけません

 入試の英文を見ても然りですが、評論文であれば、余計な修辞や冗長な表現を避け、読者に誤解の発生しないように明確なテキパキした表現を行うべきが、多義性を含んだ曖昧な語句を採用したり、突拍子も無い稚拙な構文を出してきたりで大変驚かされる時がそこそこあります。駄目な英文を受験生側が補ってまで解釈して遣る必要は全くありませんが、文意が通らないまでの非道い文章はさすがに入試には出題されないとは思います。

 まぁ、語句をカッコで括って倒置を理解するなどの解読技法を一定程度身に付け、あとは単語や熟語の用法を覚えていけば英文読解力自体は短期間でも相当の伸びが期待できます。英語とはなんと単純な学習方法で足りる科目なのでしょうか困っている方は当塾の指導を是非一度受けてみたら如何ですか?弱点を見抜きオーダーメードの徹底的な指導を行いますが、成績は指導を受けただけ確実に底上げが図れます。