英文長文読解 短期集中 個別指導 

分詞構文3  副詞句として機能する分詞構文1  

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2025年6月10日






分詞構文3



2025年6月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1  advanced level  以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。

 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal  などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第3回目です。

British Council Learn English  Grammar C1  grammar  Participle  clauses

https://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses

https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/think-to-do-something


『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章 句を中心として

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。






“Having” + Past Participle | Advanced English Grammar

Adam’s English Lessons ・ engVid  2024/10/04

https://youtu.be/JsEAcLPnWso


主文の時制に対して1つ前の時制を表す時には完了形の分詞構文を使います。

意味としては、〜したあとで(時間)、〜したので(理由)になります。

動詞 finish には完了の意味が含まれていますので、わざわざ完了形にする必要

はありませんが、場合に拠っては完了形も利用出来ます。






A.従属接続詞の意味を含み、主文に対する副詞句として機能する分詞構文1




*時(同時性も含む)と理由を表す分詞構文としての利用が殆どであり、条件、譲歩の場合は半ば定型化しつある、或いは完全に定型句化された形で使用される例が大半になりますす。

*逆に言えば、我々が普段目にする(狭義の)分詞構文とは、<時と理由を併せた、固有の、或いは未分化な意味合いを持つ用法・表現>であると割り切るのも間違っては無さそうです。


*以下、5つの意味用法に分類しましたが、分詞構文は表現としての曖昧性を根源的に含みますので、常に明確な意味用法に分けられるとは言えず、複数の意味合いで解釈可能な場合も多いです。


*意味用法の明確な文に書き換えようとの意図がそもそも間違いであるとも言えそうです。


*以下の意味用法からの分類は、主語の一致する分詞構文、別の主語を抱く分詞構文(独立分詞構文、無人称独立分詞構文−主文と分詞構文側の主語が同じか違うのかの区分に過ぎない−)にもそのまま当てはめることが可能です。


*下記例文を見ればお判りかと思いますが、<分詞利用表現+主文の順序>となる例が大方になります。


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1.  時を表す分詞構文


(When) called by Josh, Diana was really  happy.

→When Diana was called by Josh, she was  really  happy.

→ ジョシュから電話が掛かってきた時にダイアナは本当に嬉しそうだった。

 (理由を表す分詞構文とも解釈出来ます)

→ As Diana was called by Josh, she was  really  happy.

 ジョシュから電話が掛かってきたのでダイアナは本当に嬉しそうだった。


*接続詞を表に出さず、下記の様に訳すのも寧ろ自然です。

 ジョシュから電話が入り、ダイアナは本当に嬉しそうだった。


Stepping on camera, I relaxed completely.

→ When I stepped on camera, I relaxed  completely.

カメラの前に立つと、私はすっかりリラックスした。

 (譲歩を表す分詞構文とも解釈出来ます)

→Though I stepped on camera, I relaxed  completely.

 カメラに映りながらも、私は完全にリラックスしていた。


Having lived through difficult times together, they  were  very close friends.

→After they Had lived through difficult times  together,  they  were very close friends.

 苦難の時期をともに過ごした後、二人はとても親しい友人となった。

 (この文は理由を表すとも解釈出来ます)

→As they had lived through difficult times  together,  they  were  very close friends.

 苦難の時期をともに過ごしたので、二人はとても親しい友人となった。


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*以下、従属接続詞 after, before (など)を用いて連続的な、時間差のある動作を行うことを単純に示す用法ですが、これら after, before などを従属接続詞とは見ずに単なる前置詞として扱うべきとも言えます。

*次回、疑似分詞構文の項にて、<結果の分詞構文>を解説しますが、それの兄弟の様な用法であり、「after, before などを従属接続詞と見做せば、<こちら側>に分類することも可能だ」、の灰色、中間的な性格のものになります。

*and (then) を使い、置き換え可能です。


Dragging the basket out of the fire and lifting the pekingese by the scruff, he kissed it full on its tiny, pink lips.

→ After he dragged the basket out of the fire and lifted the pekingese by the scruff, he kissed it full on its tiny, pink lips.

 籠を火から引きずり出し、ペキニーズのうなじを引っ張り上げると、彼はその小さなピンク色の唇にキスをした。

≒ He dragged the basket out of the fire and lifted the pekingese by the scruff, and then he kissed it full on its tiny, pink lips.


*上の Dragging ...の文は、<火から籠を引きずり出しながらキスをし得る訳が無い>ので、厳密な同時進行性を表す付帯状況の分詞構文では無いのが明らかですが、だったら紛らわしい書き方をせずに、文頭に最初から時間差を表す語 After を添えるべきものです。


*この手の<締まりの無い>記述の分詞構文は世にごまんとあり、或る native 自身が上の例文を、動作の同時進行であり連続では無いと強弁をしている事例を、塾長は実際に文法質疑応答サイト−native が回答するからと言って、寄せられた回答全てが正しいとも言い切れませんが−にて見て居ます。

< at the same time 同時に>の幅の捉え方が各人に拠り異なっており、それを元に各人が、これは時間差の少しある連続動作だ、同時の付帯状況だと自説を唱えているのが現状に見えます。

*分詞利用の構文は、native 自体が意味用法を峻別すること無く、曖昧性を排除しないままに、<ざっくばらん>に利用している事が逆に良く分かります。

*この曖昧性そのものが分詞構文の特性を良く物語っているといえましょう。


*これを通じて<連中>の事象の捉え方のクセが分かります。

*この様なちょっとした事象の把握の仕方の根源的な違いが、日本人が英語になじめない大きな理由である様にも塾長は感じますね。

*英語の<同じ穴の狢>である欧米人が英語を簡単に習得でき、なぜ日本人は英語が話せないんだと問う姿勢自体が、彼らは自分達が<井の中の、いや、同じ池の中の蛙>と言う事が分かって居ない、狭い理解力の持ち主であると言う事を示している訳ですね。


*塾長は上の例文は<同時性>を認めない立場ですが、皆さんも賛同して戴けるのではないとか考えて居ます。



別の例

Before starting to work, she had written a letter to  Mr.Kelly. (ここは接続詞 before を取ると意味が掴めにくくなくなるので残します)

→ Before she started to work, she had written a letter  to  Mr.Kelly.

 彼女は仕事を始める前に、ケリー氏に手紙を書いた。

≒ She had written a letter to Mr.Kelly. and then started to work.


She started to work after having written a letter  to  Mr.Kelly. (ここは接続詞 after を取ると意味が掴めなくなるので残します)

→She started to work after she had written a  letter  to  Mr.Kelly.

 彼女はケリー氏に手紙を書いてから仕事を始めた。

≒ She had written a letter to Mr.Kelly. and then started to work.

 (before/after + doing とした時点で、前置詞+動名詞の組み合わせと考える事も出来ます)






How  to  use  participle  clauses - improve your grammar with English Masterclass from the BBC

BBC  Learning English  2017/01/23

https://youtu.be/H8E5EF0IEN0

近頃では、分詞構文 Participle construction の名を用いず、分詞の利用形態を包括的な視点

から解説するものが多くなり、いわゆる古典的な、狭い意味での分詞構文の解説を行っている動画

やサイトは、大方日本語、中国語、韓国語、ロシア語のものばかりとなっています。塾長はこの包括

的な participle  clauses  の考え方全てには賛成は出来ませんが、一定の合理性は認めます。まぁ、

英語初心者向けの casual 英文法でもあるな、と感じますね。participle  clauses の考え方と従来

の分詞構文の考え方との異なる視点については本シリーズの最終回にて採りあげます。





2.理由を表す分詞構文


*理由の分詞利用表現は、文頭、文中、文尾に置くことが可能です。


They applied for the job, not having any money.

→They applied for the job, because they didn't  have  any  money.

 彼らはお金がなかったので、この仕事に応募した。


Being a child, I couldn't understand what my  mother  said.

→ As/Since I was a child, I couldn't understand  what  my  mother said.

 子供だった私は、母が何を言っているのか理解できなかった。

  (時の分詞構文とも解釈可能です。when...)


Shocked at the sight, I did not know what to do. 

 (過去分詞との組み合わせの場合、文頭の Being は省略されるのが普通です)

→As I was shocked at the sight, I did not  know  what  to do.

 その光景にショックを受け、私はどうして良いか分からなかった。

 (時の分詞構文とも解釈可能です。when...)


Filmed inside, the footage was too dark to  use.

→As the footage was filmed inside, it was too  dark  to  use.

 室内で撮影したため、その動画は暗くて使えなかった。

cf. footage 映像


(Being) A kind and clever man, Tom was liked by all the villagers.

→Since Tom was a kind and clever man, he was  liked  by  all  the  villagers.

 トムは親切で賢い男だったので、村人全員に好かれていた。


Having done all I could, I felt no regret.

→As I had done all I could, I felt no regret.

 やれることはすべてやったので、後悔はしていない。

 (時の分詞構文とも解釈可能です。after...)


Not wanting to hurt his feelings, I avoided the  question.

→As I didn't want to hurt his feelings, I avoided the  question.

 彼の気持ちを傷つけたくなかったので、私はその質問を避けた。


Educated in America, he had a good command of  English.

→Because he was Educated in America, he had a  good  command  of English.

 彼はアメリカで教育を受けたため、英語が堪能だった。


Not knowing what to do, I stood in silence.

→Since I didn't knowing what to do, I stood in silence.

 どうしたらいいのか分からず、私は黙って立っていた。

  (時の分詞構文とも解釈可能です。when...)



Naturally quick-tempered, he fought against his  tendency  to  explosive speech, and instantly regretted having given way to it.

 元来短気な性格だったので、彼は爆発的に話しがちな自身の性格と闘い、そしてそれに屈してしまったことを即座に後悔する、の繰り返しであった。

*Naturally quick-tempered = As he was naturally  quick-tempered 副詞句として主文の全体に掛かることに留意します。

*過去形は、過去に於ける習慣を記述することが出来ます。これは現在形が現在の習慣、習性を記述出来るのと同様です。

*性格についての記述ですので、過去にその習性が繰り返された、と解釈します。

*ここの do A and do B は同時性ではなく、後ろの動作 B が時間的に後に続くことを示しています。


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3. 条件を表す分詞構文


*あまり用いられません。

*短く半ば定型的な表現、動詞との組み合わせとして使用される場面が殆どです。

*条件を表す分詞構文としては過去分詞が利用される場合が多いものの、現在分詞の記述も実際に存在します。


Turning left at the next corner, you will find the post  office.

→If you turn left at the next corner, you will find the  post  office.

 次の角を左に曲がると郵便局があります。

*これは、When you turn left at the next corner, you  will  find  the post office.

 とほぼ同値で、軽い意味での条件を述べます。

命令文 Turn left at the next corner, and you will  find  the post office.

 とも同値です。


If posted right now, the letter will arive tomorrow. (if を残しています)

→If the letter is posted right now, it will arive  tomorrow.

 今すぐ投函すれば明日には届く。


Driving with the utmost care, you may avoid an  accident.

→If you drive with the utmost care, you may avoid  an  accident.

 細心の注意を払って運転すれば、事故を回避できる。


Looked after carefully, these boots will last for many  years.

→ These boots will last for many years if they are  looked  after  carefully,

  丁寧に手入れをすれば、このブーツは何年も長持ちするでしょう。


Social education, well attended to, can always draw  out  of  a soul, whatever it may be, the usefulness that it contains.  

 社会教育は、もし十分に配慮が為されるならば、それがどのようなものであろうとも、内包する有用性を人から引き出すことができる。

→  Social education, if it is well attended to, can always draw  (out  of  a soul), whatever it may be, the usefulness that it contains.  


cf, attend to = to deal with 取り扱う、to care for 面倒を見る、配慮する

*a soul ≒ a person

*挿入句を多用する持って回った様な口幅ったい悪文だと塾長は正直感じました。

*この様な英文−パズル英語−を和訳させられる受験生も堪ったものではないでしょうね。

Whatever social education can bring out the inherent usefulness in people if it is given due consideration.

 (whatever = all the/ any)

*この様にストレートに表現した方がカッコいいと感じますが。


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4. 譲歩を表す分詞構文


*あまり用いられません。

*半ば定型的な表現、動詞との組み合わせとして使用される場面が殆どです。

*主文に対する対立的な文内容から譲歩表現であると判断が出来ます。

*定型的表現の項にて後に説明します。


Admitting what you say, I still think you are wrong.

→Although I admit what you say, I still think you  are  wrong.

 あなたの言うことは認めるが、それでも私はあなたが間違っていると思う。

  (Admitting... は定型的且つ頻用表現になります)


Wounded and tired, he continued to work.

→ Though he was wounded and tired, he continued  to  work.

  傷つき、疲れながらも、彼は仕事を続けた。


 (つづく)