英文長文読解 短期集中 個別指導 

分詞構文7  独立分詞構文1

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2025年7月1日






分詞構文7



2025年7月1日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1  advanced level  以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。

 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal  などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第7回目です。

British Council Learn English  Grammar C1  grammar  Participle  clauses

https://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses


『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心として

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。


https://ja.wikipedia.org/wiki/絶対奪格

https://en.wikipedia.org/wiki/Latin_syntax#Ablative_absolute


https://lingvanex.com/translation/english-to-latin






Understanding  "Weather Permitting": A Guide for English Learners

Speak  Fluent English Now  2024/02/15

https://youtu.be/1WgcO05L4dQ

定型句  Weather  Permitting の意味するところ、用法に付いて詳細に

解説して呉れます。





独立分詞構文  Absolute  participle  construction とは 1




*主文の主語と分詞利用表現側の主語が異なる場合には、分詞側の主語は略さずにそのまま置く必要があります。

*この様な形式の分詞構文を独立分詞構文  Absolute  participle  constructionと呼称します。Absolute phrases と呼ぶ場合もあります。

*英語の absolute には、complete 完全な、絶対的な、の意味も有りますが、ここでは free  from limitations, restrictions 制限を受けない、の意味であり、主文の主語の支配下からは独立した、との意味合いですね。

*従ってこの absolute を絶対と訳し当てるのは間違いになります。


*Absolute monarchy を絶対君主制と訳していますが、これも本来は独立君主制と訳すべきだったでしょうね。

*<絶対>を使うと、我が儘を全て押し通して神のような絶対的存在として君臨してOK、のイメージになってしまいます。

*実際のところ、そうでもあるのですが!

*絶対の言葉に対しては反対語は相対ですので、では相対君主制とはなんですか、ともなります。

*最初にこの訳語を当てた本邦の史学者が英語に弱かったと見えます。


*意味用法的には、一般的な分詞構文と何ら変わらず、副詞句として主文に様々な意味で修飾したり、疑似分子構文用法として情報を付け加えたりします。


*ただ、句側に別の主語が乗っかっているだけの違いになります。

*まぁ、偉くも何ともありません!

*こちらの分詞構文が寧ろ普通のものであり、主文と主語が共通している場合には、それを省いただけ、と考えるのが、近世分詞構文の成立の歴史を見ると正しい様にも見えます。


*一般的な分詞構文と同様に、non-fiction writing よりも  fiction  writing により多く利用されます。

*作り方は簡単で、副詞句とする側の文で接続詞を削除し、being,  having been を削除し、動詞を分詞にします。その後、主文とすべき文と繋ぐだけです。


In the middle of the speech, one contestant  came  running  to  the stage. His face was covered with sweat.

→ be 動詞を削除

In the middle of the speech, one contestant  came  running  to  the stage, (with) his face covered with sweat.

 スピーチの途中で、一人の出場者が汗まみれでステージに駆け寄った。


In the second meting, the atmosphere became  even  worse. The  managers argued and complained about each idea.

→ argued と complained を ing 形に

In the second meting, the atmosphere became  even  worse,  the  managers argueing and complaining about each idea.

 2回目のミーティングでは、雰囲気はさらに悪くなり、マネジャーたちは自分のアイデアを主張し、互いに不平を述べた。

*ここでは、argue =  to quarrel, fight 言い争う、論争する、のニュアンスが強いですね。



*付帯状況を表す独立分詞を主文の後ろに置くことも出来ますが、時や理由などを表す独立分詞部分は文頭に置きます。


*分詞側の主語が一般人 you, we などを指す場合には、主文と異なる主語であっても略されますが、これらは全て慣用的な短い定型句になります。

  (無人称独立分詞構文と呼称します、次回にて説明します)


*主文と主語が異なるのに、分詞表現側で勝手に主語を省略するケースが散見されますが、(意味は通じますが)完全な文法的誤用であり嫌われます。

*この様な分詞は懸垂分詞と呼称されます。これも後ほど解説します。

*動作主、詰まりは主語主体が何であるのかに常に留意する英語に於いて、別モノの主語を削除する行為は英語成立の根幹を揺るがすケシカラン行為となるのでしょう。


*逆に、長い従属節の主語を残して動詞を分詞化して繋げる遣り方では、短縮化してキビキビした雰囲気をもたらすとの分詞構文化の意義が失せてしまいます。

*まぁ、意味を持たない分詞構文化と言う次第ですが、元々短めの従節を更に分詞構文にするのが正しいと言う事になります。


*付帯状況を表す独立分詞構文を和訳するには、単純に2文に分けるだけでも良いのですが、いずれかの文に、while, when を添えて訳すのも手です。

*適宜、同時性を強調する文言を添えるのも良いでしょう。

*付帯状況を表す独立分詞構文を和訳するには、主文の前に従属接続詞を置いて従属節化し、分詞側を主節に直した方が意味が鮮明になるケースも多いです。

*詰まりは、付帯状況を表す独立分詞構文に於いては、文構成上の主従の上下関係が弱く、対等な同時性を示す表現に近いものである、即ち等位接続詞で繋げられる文のニュアンスが強いことを意味します






Simple  French prepositions

The  perfect  French with Dylane 2024年4月23日

https://www.youtube.com/shorts/g-4759YMyNQ

durant = 仏語動詞 durer の現在分詞形 = 英語動詞 dure (続く、耐える)の

現在分詞 = during

仏語のderant, 英語のduring ともに、元々現在分詞として独立分詞構文に利用

されましたがそれが転じて前置詞になりました。


これら仏語の前置詞は初級者でもすぐにさま覚えるべき言葉です。





独立分詞構文の起源は何処にあるのか?


以下に興味深い事が記されています:

https://ja.wikipedia.org/wiki/絶対奪格


  「ablativus absolutus アブラーティーウス・アプソルートゥス)または独立奪格は、ラテン語の文法用語で、奪格(ablativus)名詞句が副詞句的に時・理由などを表す用法を指す。(中略)名詞の奪格がそれを修飾する語(分詞や形容詞、名詞など)の奪格を伴って、それぞれ主語と述語の関係をなし、主文(主節)の状況を示す副文(副詞節)のように用いられる。副詞節の働きをするものの接続詞なしに用いられるため、理由、時、条件、譲歩などのうちどれを意味するかは文脈に依存する。(中略)カエサルの著作では、絶対奪格はしばしば文頭に置かれた。さらに多くは段落の冒頭に置かれ、その区切りを意識して使用されていたと考えられている。主要な情報と副次的な情報を区分して、前者を主文の構文に任せて後者を担い、情報伝達を明確にする役割および、 文(段落)と文(段落)を深く確実に連結する語用論的役割を持っていた。 (中略)ラテン語の絶対奪格はヨーロッパの近代諸言語において、格の融合と縮退や分詞構文の発達形成に影響を及ぼした。」

 (Wikipedia contributors. "絶対奪格." Wikipedia.  Wikipedia, 18 Dec. 2022. Web. 17 Mar. 2025. )


*absolutus を絶対と訳すのは誤りで、独立と訳さねばなりません。


*これは、英語に於ける独立分詞構文そのものにほぼ該当する内容となっています。

*但しカエサル(英語読みでシーザー)の著作では、重要な情報(主文)とそうで無い情報(分詞側)を区別し、また新たな段落の開始を示すマーカーとして利用したとされ、漫然と分詞表現を垂れ流す様な英語での実態とは異なり、分詞を利用しながらも、それが明確な目的の下に利用されていたことが分かります。

*まぁ、流石のラテン語です!



以下、挙げられているラテン語の例文の一部 (以下母音の上の長音記号は表現出来ず、ここでは止む方無く削除しています)、及び塾長に拠る英訳です:


Matre repugnante, filia sic fecit.

 母親が反対しているのに、娘はそのようにした。

= Mother resisting, her daughter did so.

→ Although the mother resisted, her daughter did so. (譲歩)


Urbe capta, Aeneas fugit.

 都市が攻め落とされるとアエネーアースは逃走した。

= The city captured, Aeneas flee.

→After the city was captured, Aeneas fled. (時)

→As the city was captured, Aeneas fled.  (理由)


Nostris visis, hostes fugerunt.

 我が軍を見ると、敵は逃げた。(我が軍が見られると、敵が逃げた。)

= Seeing our own men, the enemy fled.

→When the enemy saw our men, they fled. (時)

→Since the enemy saw our men, they fled. (理由)

 (いずれの意味にも取れます)


Ovidio exule Musae planguntur.

 ムーサはオウィディウスが流されて嘆いた。

= Ovid  exiled, Muses mourned.

→ As Ovid were exiled, Muses mourned. (理由)


Patre vivo, puella beata erat.

 父が生きている間は、少女は幸せだった。

Her father living, she was a happy girl.

→While her father lived she was a happy girl. (時)


Ira calefacta, sapientia dormit.

 怒りに火がつけば知恵は眠り去る。

= Anger fired, wisdom falls asleep.

→ If anger  fired, wisdom falls asleep. (条件)


Domino absente, fenestram penetravit.

 家主がいないときに彼は窓から侵入した。

= The master absent, he penetrated the window.

→ When the master was absent, he penetrated  the  window. (時)

→ As the master was absent, he penetrated the  window.  (理由)


---------------------------------


cf. 前置詞 during の起源


Oxford dictionary 2nd ed. の during の項に、

during  = enduring, lasting, continuing, was used  in  Fr. and Eng. in a construction derived from the Latin 'ablative absolute'; thus L. vita  durante,   OF. vie durant, Eng. life during, while life endured  or  endures.


 during = 耐える、持続する、継続する、 の語は、ラテン語の' ablative  absolute' (独立奪格) から派生した構文に於いてフランス語と英語では使われた;  L.  vita durante,  OF. vie durant, Eng. life during,  while  life  endured  or  endures の用例である。

 とされ、1440年以降1542年までの用例が掲載されています。


*life during は独立分詞構文であり、while life  endured  or  endures 人生(命)が続く間は、の意味とされます。


1440 Jacob's Well (E.E.T.S.) 271 Sche was comoun  to  alle ゙ at wolde haue here, xv. _ere durynge.

1480 Caxton Chron. Eng. lxxxviii. 72 She neuer  was  seyn  among  folke hir lyf durynge.

1523 Ld. Berners Froiss. I. xxxviii. 52 This sege  durynge,  ther  were many skirmysshes.

1542-5 Brinklow Lament. lf. 12, I..will continuallye,  my  lyfe  duringe, praye vnto the euerlyuinge God.


The participle also often stood before the n., e.g.  L.  durante  bello, F. durant la guerre, Eng. during the war; in which construction during came in  the modern langs. to be treated as


2. prep. Throughout the whole continuance of;  hence,  in  the  course of, in the time of.


 この分詞はまた、L. durante bello,  F.  duran t la  guerre,  Eng. during  the  war のように、しばしば名詞の前に置かれ、この構造の内に於いて during は近代英語では、全過程を通じて、の意味の前置詞、に、斯くして、その過程で、その期間の、の意味を持つようになった。

 とされ、以下、1385年以降の用例が列挙されています。


c1385 Chaucer L.G.W. Prol. 283 (MS. Gg. 4. 27)  Stedefaste  wedewys durynge alle here lyuys.

a1400-50 Alexander 1118 In damaging of Darius  durand  [Dublin endurand] his lyfe.

14.. Epiph. in Tundale's Vis. 103 This contynued  duryng  mony a yere.

1548 Hall Chron., Edw. IV, 221 An annuitie of an. C. l. [」100]  duryng his lyfe.

1585 T. Washington tr. Nicholay's Voy. i. xxii. 29  Al that which  during our voyage was happened unto us.

1648 Bury Wills (Camden) 203 Dureing the terme  of her  naturall life.

1670 J. Smith Eng. Improv. Reviv'd 77 Trees may  live  during  the world.

1678 Lady Chaworth in 12th Rep. Hist. MSS. Comm.  App. v. 49 Judge North, who supplies the Lord Chancelors place during his being sicke.

1754 Hume Hist. Eng. (1812) I. iv. 281 During the  course  of  seven hundred years.

1860 Tyndall Glac. i. xxiii. 161 During the night the rain  changed to snow.

1885 Act 48 & 49 Vict. c. 58 ss.2 The hours during  which  the offices..shall be open.


*ラテン語の短い文言、vita durante= life during (=命が続く限りは)の独立分詞構文として英仏に導入されたものが、位置が逆転して during が名詞の前に立つに至り、即ち、少なくとも14世紀には前置詞化していたと言うことになります。


*durant =仏語動詞 durer の現在分詞形 = 英語動詞 dure (続く、耐える)の現在分詞形 = during

*仏語の durant, 英語の during ともに、元々現在分詞として独立分詞構文に利用され、それらが転じて各々の言語で前置詞になった訳です。

*発音も、仏語が デュロン、英語が デュアリング、と良く似ています。