英文長文読解 短期集中 個別指導 

分詞構文10 前置詞独立分詞構文 懸垂分詞  

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2025年7月15日






分詞構文10



2025年7月15日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1  advanced level  以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。

 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal  などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第10回目です。

British Council Learn English  Grammar C1  grammar  Participle  clauses

https://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses


『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心として

 ここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。






Participial  Constructions // English Grammar  Lessons

Comprehensively  English  2023/11/02

https://youtu.be/gxBZec48Sx8

再掲しますが、20:03 からは with/without を用いた独立分詞構文、即ち前置詞

独立分詞構文について説明されます。





Prepositional  absolute  participle  construction

前置詞独立分詞構文




*with/without +主語名詞+<現在分詞、過去分詞、形容詞(句)>で、<付帯状況>、即ち  event の同時発生を表しますが、この主語名詞は主文とは異なる主語になります。

*この構文を、前置詞独立分詞構文 Prepositional  absolute  participle  construction と呼称もします。


独立分詞構文に、with/without を 冠して、それが付帯状況を述べるものであることを明示する表現(副詞句)になります。

*これらの with, without を添えなくても、同じ文意のものが作成出来ますが、with を付けた方が自然に聞こえる場合が殆どでしょう。。

*付帯状況の明示を行うことで、主文に対する従属性をやや弱め逆に等位性を強めます。

*従って、別文に仕立てて等位接続詞 and  や but で繋ぐ事が出来る場合もありますし、主文側を従属節に仕立てて主客転倒させても意味がほぼ変わらない場合もあります。


*単なる付帯状況、即ち事象の同時並立性を示すだけに留まらず、他の分詞構文同様に、理由、譲歩、条件などのニュアンスを含む事があります。


*with 以下が名詞を修飾する形容詞句として働く場合も見られますが、この場合、with/without 以下は形容詞句になります。


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*非分詞構文化する際の表現方法を覚えて下さい。

*それが和訳のコツにもなります。


He sat in the chair with his mouth (being) open.

 彼は口を開けたまま椅子に座った。

→ When he sat on the chair, his mouth was  open.

 彼が椅子に座った時、彼の口は開いていた。

 (主節を従属節扱いに転じても文意は殆ど変わりません。)

→ He sat on the chair, and his mouth was  open. (等位接続詞 and で繋いでも同時性を表せます)


I went to bed with the window (being) open.

 窓を開けたままベッドに入った。

→ When I went to bed, I left the window open.


She stood there with her face turned away  from  us. (being が省略されています)

 彼女は私たちから顔をそむけたまま立っていた。

→ While she stood there, she kept her face  turned  away  from us.

 彼女はそこに立っている間、私たちから顔をそむけたままだった。


We walked on without a single word  spoken.

 私たちは一言も話さずに歩いた。

→While we walked on, we spoke no sigle  word.

 歩いている間、私たちは一言も話さなかった。


The boy with his hands in his pocket is my  brother. (形容詞句として機能しています)

 ポケットに手を入れている少年は私の兄です。

→The boy whose hands are in his pocket is my  brother.


I am sitting under tall trees, with a great wind  boiling  like  surf about the tops of them, so that their living load of leaves rocks and roars insomething that is at once exultation and agony.  (G.K.Chesterton)

 私が高い木の下に座っていると、木々の梢の辺りでは強風が押し寄せる波のように沸き立っている。そんな風にして、重々しいまでの青葉が、同時に歓喜でもあり苦悩でもある様な姿で、揺れ動き吠え立てるのである。

I am sitting under tall trees, with a great wind  boiling...

→ When I am sitting under tall trees, a great wind  boils...


The cat set still, with its eyes fixed on what was  invisible  to  a human being.

 猫はじっと、人間には見えないものを見つめていた。


Without a word said to the present company,  Tom  stood  up  anf left the room.

 居合わせる仲間に何も言わず、トムは立ち上がり部屋を出て行った。


With her heart beating fast, Jane threw t he  door  open.

 ドキドキしながらジェーンはドアを開けた。


There was a road paved with white stone running on  the  outer  brink of the fosse. Along this they went westward, with the city ever climbing  like  a green cloud upon their left.

 掘り割りの外縁には白い石が敷き詰められた道があった。彼らが道に沿い西に向かうと左手には緑色の雲の如くに街並みがぬっと立ち上がった。


cf. ever 強意語、訳しにくい語ですが、文脈に合わせて適宜言い換えます。


With lights (being) down, it seemed easier to say the truth.

 明かりを落としていると、本当のことを言い易くなる様に思える。


Without any acquaintances present at the party, Ioannis  felt  like  a fish.out of a water.

 イオアニスはパーティーで知り合いが一人もおらず、まるで水から上がった魚のようだった。

→ Without any acquaintances (being) present at the party....


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前置詞独立分詞構文の和訳の1例


In short, to promote individual success, greater  equality  of  opportunity,  and a healthier society, we need a major shift in social policy  toward  early intervention,with later interventions  designed  to  reinforce  those  early efforts.


 手短に言えば、個人の成功、機会均衡の拡大、より健全な社会を促進するためには、<それらの早期介入を補強するべく 後の介入が伴われて>我々は社会政策を早期介入へと大きく転換させる必要がある。

*これだと何を言いたいのか日本語では直感的に把握出来ません。


*with later interventions (being)  designed to  reinforce  those  early efforts

  この付帯状況の分詞構文が訳しにくいです。そこで with 以下を切り離して別文(S+V構造)に仕立てて、主文の動詞 need を使い回しします。

→ and later interventions needs to be designed  to  reinforce  those early efforts.

  それら早期介入を補強するべく、後期介入が計画される必要があるのだ。

 主文同様に能動態に直して

→  and we also need to design later  interventions  to  reinforce  those early efforts.

  そして我々はそれら早期介入を補強するべく、後期介入を計画する必要もあるのだ。


和訳完成形

 手短に言えば、個人の成功、機会均衡の拡大、より健全な社会を促進するためには、我々は社会政策を早期介入の方向に大きく転換させる必要があり、また、それら早期介入を補強するべく、後期介入を計画する必要もあるのだ。


*(need)early intervention  vs.later invention の対比から、後の文をフルに組み立てます。


*<with + 名詞+過去分詞>の意味の取れない語句の組み合わせを見つけたら、<取り敢えず> being を補って<with + 名詞+being+ 過去分詞>に直し、更には適宜能動態に書き換えて、文として独立させる、のが1つのコツですね。


*この様な技法を心得ると入試問題の和訳もだいぶラクになる様に思います。






Excuse  Me!  Your  Participle Is Dangling | Comma Queen | The New  Yorker

The New Yorker  2016/06/20

https://youtu.be/DDrsHgl-OGw

懸垂分詞  Dangling  participle の使用は絶対にマズいですよと学校では習っても

native  の世間一般では普通に観察される文法ミスになります。



Simone  Biles  DOMINATES Core Hydration Classic in first meet of  Olympic  cycle

| NBC Sports  2024/05/19  https://youtu.be/sZuVQzbIjuc

Simone  Biles  opened the Olympic season with a statement victory at  the 2024

Core Hydration Classic.

シモーネ・バイルズの圧巻のパーフォーマンスに鳥肌が立ちますね。同じ人類のワザとは

とても信じられません。一体幾つの金メダルを獲れば気が済むのか・・・。解説の元女性選手

の強烈な巻き舌北米英語のヒアリングの練習にどうぞ。





懸垂分詞 Dangling  participle




*この用語をチラとでも耳にした方は少なくは無いのではと思います。

*dangle = to hang or swing loosely だらりとぶら下がる、の意味ですから、上下にアップダウンする動作をイメージする懸垂の語は不適ですね。

*ふら下がり分詞、と素直に和訳すれば良かった筈ですが。


*要は、<分詞構文作成時に主文と分詞側の主語が一致しない場合は、分詞側の主語を省略してはならない>、との厳しい決まりがあるのですが、この掟破りを行うに際して、<分詞の主が不明となり、空中にぶら下がっている、足が地に着いていない>、との意味になります。

*まぁ、言うなれば、家無き子の分詞を指します。


英語なる言語は、動詞の行為者が誰で有るのかを常に厳しく問う言語であることを理解すれば、英文法家のこの件に関する神経質振りも分かるでしょう。


*独立分詞構文に仕立てあげるべきが、分詞側の主語を落としてしまう文法ミスですね。

*文法遵守派はこれを許しませんが、言いたいことの意味は話の文脈、流れからほぼ間違いなく相手に伝わります。

*但し、<この人、言葉の使用にぞんざいなところがあって注意力散漫タイプかも>、とインテリ上流階級からは勘ぐられてしまいます。


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改訂例


以下は体操の選手である Biles を巡る記事を書いた或るスポーツライターの記事からのものですが、

Excuse  Me!  Your  Participle Is  Dangling  |  Comma  Queen| The New Yorker

The New Yorker  2016/06/20 https://youtu.be/DDrsHgl-OGw

 この動画の内容を利用させて戴いています。



1.文法面の修正


Seeing Biles next to her competition at Pacific  Rims,  it  seemed as if Isaac newton had written a different set of law on her behalf.

 パシフィック・リムズでバイルズの競技を間近で見ていると、まるでアイザック・ニュートンが彼女の為に別の法則を書いたかのようだった。


*seeing の主語はこの文の書き手、或いは世間一般人を指すものと思われますが、主文の主語 it と一致していません。


*以下の様に主語を一致させると文法的に正しい文に生まれ変わります。

Seeing Biles next to her competition at Pacific  Rims,  I  felt  as  if Isaac newton had written a different set of law on her behalf.

 パシフィック・リムズでバイルズの競技を間近で見ていると、まるでアイザック・ニュートンが彼女の為に別の法則を書いたかのように私は感じた。

  (重力の法則が彼女には通じない)



また次の文

Spending times with Biles - I've rarely seen such  excitement  as  when  she hopped around her living room after her mother gave her  permission  to attend a G-Eazy concert - it  became clear  that  her  intense  focus  on the beam was more force than the giggling.


 パイルと時を過ごして−母親からヒップホップ歌手のGイージーのコンサートに行く許可をもらった後で彼女がリビングルームを飛び回った時ほどの彼女の興奮を私が目にする事は滅多に無かったのだが−彼女の平均台への強い集中力が、くすくす笑いの笑顔よりも大きな力を持っていることを私は知ったのだった。


*spending の主語と、it が一致していません。


*以下の様に主語を一致させると文法的に正しい文に生まれ変わります。

*今度は主文の方を直さずに、分詞構文スタイルを止めて、副節に直します。これで主語一致の呪縛からは解放されますね。

After I spent time with Biles - I've rarely seen  such  excitement  as  when she hopped around her living room after her mother gave her  permission to attend a G-Eazy concert - it became clear that  her  intense  focus on the beam was more force than the giggling.


 パイルと時を過ごしたあとで−母親からヒップホップ歌手のGイージーのコンサートに行く許可をもらった後で彼女がリビングルームを飛び回った時ほどの彼女の興奮を私が目にする事は滅多に無かったのだが−彼女の平均台への強い集中力が、その時の彼女のくすくす笑いの笑顔よりも大きな力を持っていることを私は知ったのだった。



2.表現の改訂


*懸垂分詞を直したにしても、<彼女のくすくす笑い(への集中力)>を<彼女の平均台への集中力>と比較している、分かったような分からない様な、意味の明確性に欠ける似非文学的な文章ですね。

*この文章の書き手は、懸垂分詞を平然と利用する事も含め、正確に対比して文章をモノする能力に欠けていることが良く分かります。


以下の様に書き換えます:

*her  intense  focus on the beam →  her passion  for  the  balance beam 彼女の平均台に掛ける情熱

*the giggling.→ the degree of excitement then / her  greatest joy at the time.その時の最高の興奮ぶり

2つの感情である passion と joy を対比させます

it became clear that her passion for the balance  beam  was  more than her greatest joy at the time.

 彼女の平均台に掛ける情熱が、その時の最大の喜び以上のものであることが明らかになった。


→パイルが最高に興奮してリビングを飛び回ったのは、母親からGイージーのコンサートに行く許可をもらった時ぐらいのものだったが、彼女と過ごす内に、私は彼女の平均台に掛ける情熱が、その時の最大の喜び以上のものであることを知ったのだった。


*まぁ、寸足らずな比較表現−そのままでは比較できないもの同士を比較する−は止めて明確に表現して貰いたいところです。


*この手の比較や比喩表現は時々見ますが、そのままでは日本人には理解不可能です。

*和訳時に一番時間を喰われるのがこの手の表現になりますが、勿論歓迎できません!

*元々の英文が半端なレベルのものを日本人側がまともな英語に仕立て直してから和訳するのも奇妙ですし、その<ありのまま>の日本語を見て、こなれていない、けしからんなどと宣うのは英語の実態を知らない初心者の言動ですね。

*元の英語が良くないと言う話です。


*英語圏の通俗記事、文章などを見ると、気分で逃げる様な寸足らずの文学じみた表現、文法ミス、或いは推敲不足の悪文が多く、初学者がアタマを抱える事態を招くことが多いです。

*まぁ、こちらも気分で分かったように読み捨てすれば、実際はそれで十分なのですが。


*逆に言えば、社会的評価を受け、時代を生き残って来た優れた英文学作品、評論を選んで読解力を鍛えていくことには一定の合理性が確実にあります。

*これは、日本の国語の授業時に、スポーツ新聞の三文記事などを教材に使う事が無いのと同様です。

*当たり前のことなのですが、学習者に合わせて教材は選ばねばなりません。