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その他の<構文>1 |
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2025年7月205日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第1回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20CRID 1050282677802137472, NII論文ID 120005994600,ISSN 13417509Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976年 10 巻 p. 33-39https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_pdf/-char/jaDOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33 |
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能格構文と能格動詞 Ergative construction andverbs 1能格構文と能格動詞 Ergative construction andverbs*英語の文法用語自体が必ずしも言葉の明確な意味合いを根拠に命名されている訳では無く、更にそれに対して無理遣り!和訳名を付けた結果、何を意味しているのか全く理解出来なくなるケースは多々あります。*この<能格>が何を意味するのか、説明を見ない限り一般人は見当も付けられないのが正直なところでしょう。*<他動詞の目的語となる語を文頭に置いて主語として用い、元の他動詞を自動詞として置く>ことが可能な形式の構文を能格構文 Ergative(アーガティブと発音)construction、 またその動詞を能格動詞 Ergative verb, Labile_ verbsと呼称します。*ここに於いて最初の他動詞の主語は消失します。*しかし、用語 <能格>を使う事に対しては反対意見も存在します。また文法学者に拠り定義の揺らぎも見られます。*ここではその内の1つの定義に基づいて解説を行います。*ここで利用される自動詞は意味合いに於いては一見、行為者(=主語)の存在を消した他動詞の受動態に相当します。be + 他動詞過去分詞型の組み合わせであるべきが、自動詞化させた他動詞1語で充当させる形式と言えなくもありません。*但し、受動態に相当するとは言っても、何か動作が〜される、の<行為受け身>の意味合いは薄くなり、能動態と受動態の中間の様な態になります。*これ故、この構文を中間構文 Middle construction、使われる動詞を中間動詞 Middle verb として扱う者も居ます。*文法学者に拠っては、更にこの内の、事象、事物の状態の推移(単なる状態では無く変化)を表すものを能格構文またその動詞を能格動詞と置き、他方、事物の状態を記述するものを中間構文、中間動詞と区別する者も居ます。*広義の中間動詞=狭義の能格動詞+狭義の中間動詞、の考え方になりますが、本コラムもこの考え方を採用して話を進めますね。*他動詞と自動詞の両者として機能するが、受動態を取れない動詞(例えば動詞 have)を中間動詞として定義する文法学者も存在し、特に<中間動詞>は用語としての定義が確立が為されていない模様です。斯かる定義の入り乱れ状態では、学校英語で扱い様が無いのが首肯出来ますね。cf. Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39*まぁ、要は、いずれも日本語で言うところの他動詞、また自動詞としての両者として機能します。*本来の他動詞が目的語をアタマの中に抱えたまま記述しないで済ませる場合があり、これは一見自動詞に見えますが、それとは異なりますのでご注意下さい。*他動詞、自動詞のどちらが先に存在したのか、にまつわる大きな議論のベースともなる動詞群になりますね。He opened the door widely. 彼はドアを大きく開けた。 (能動態)The door was widely opened. ドアは大きく開かれた。 (受動態→元の文の主語・行為者が隠される)The door opened widely by itself. ドアは自ずと大きく開いた。(能格構文→元の文の主語が消失、動作の記述を行っている)→動詞 open は能格動詞と言える。The door opens easily. そのドアは簡単に開く。→そのドアの性状を示しているので中間動詞だ!He explained his reasons. (能動態)His reason was explained. (受動態)×His reasons explained. (能格構文不成立)→動詞 explain は単なる他動詞だ!*能格動詞は、日常生活に頻用する基本的な動詞に多く見られます。*これ以降扱う、特殊に輪を掛けた構文に於いても、英語での大和言葉に相当する、短めの基本的な動詞に関連するものが大半になります。*ラテン語由来の<高級>動詞の世界のウラに棲息する、一種隠花植物の様な存在にも見えます。*これらは、原英語の持つ性質を垣間見せている用法だ、とも言えるでしょう。*ここに再び強調しておきますが、能格動詞とは言っても目的語の取り方からは他動詞と自動詞用法のいずれかしかありません。*要は動詞型に基づく分類に帰結します。make を使役動詞、hear を感覚動詞、think を想念動詞、report を報告動詞、be を連繋動詞(主語と補語を繋ぐ)、want を連鎖動詞(後ろに別の動詞を to 不定詞、動名詞、或いは動詞原型で繋げる)、understand を状態動詞、find を動作動詞などと名付け、それら固有の使い方がある、と分類するのと同じです。*そもそも他動詞、自動詞などと区別するのも立派な動詞の分け方ですね。*動詞 make は、SVOを採る他動詞であり、動作動詞であり、SVOCを採る使役動詞であり、SVOOを採る二重目的語動詞だ、と言う塩梅で、1つの動詞は多くの語で形容もされ得ます。*英語なる言語は、動詞の格変化の多くを失っており、その分、語順、語の配列形式で機能させます。*従って、動詞型、即ち動詞の機能は−当たり前の事なのですが−その配列の形式性、順序で示されることに改めてご留意下さい。 |
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Ergative Verbs の例*一部、How to Use Ergative Verbs...Erga-what?! Learn Advanced English Grammar with Jennifer English with Jenniferhttps://youtu.be/F1Co-vqz0HM から例文並びに解説を使わせて戴いています。*以下全て、他動詞表現→自動詞表現に書き換えています。*いずれも、事象、事物の状態の推移(単なる状態では無くその変化)、即ち動作性、より正確には、事象の出来事 event を表す意味合いになります。*能格動詞の他動詞を使った英語表現が必ずしも能格動詞の自動詞表現に上手く書き換え出来る訳ではありません。*元の文がSVOを取る単純な文に大方限定されます。入り組んだ複雑なカタチの文は能格構文に書き換えが出来ません。*<素直>に他動詞の受動態として記述すればそれで丸く収まる例が大半です。*逆に言えば、能格構文とは単純な造りの短い表現に大方限定されて使われる用法であることが理解出来ます。*これは、能格動詞は、日常生活に頻用する基本的な動詞に多く見られる、との事実に合致します。*複雑な表現は能わず、単純な短い表現向き、と言えます。*勿論ですが、書き換えで文のニュアンスは変わります。*以下、一説では能格動詞は7つに分類されますが、塾長もそれに従い記述します。一部の動詞のみ掲載しています。*英語の能格表現を和訳する過程で、日本語での他動詞表現、自動詞表現に各々限界があることが如実に分かります。*煎じ詰めれば日本語には無生物主語の表現が無く、その主語を、原因を示す副詞節、副詞句に置き換え、自動詞を用いる表現を取る、−事象を出来事 eventとして把握し理解する言語、或いは敢えて行為者に拠る行為をボカす言語−一面に於いて<自動詞的>発想優先言語と言えるのかも知れません。*原因を作ったのは誰なのかの<責任>の意識が薄くなり、現象として起こったのだから仕方がないの精神構造に繋がりますが、その分、良かれ悪しかれ諍いの発生も下がるでしょう。*能格構文とはこの意味で、日本人に近い英語の発想法だと言えるかも知れませんね。-------------------------------------1. size/ degree: 大きさ、サイズ、程度の増減を表す動詞increaseThe veteran's loneliness and suffering increase his anger.退役軍人の孤独と苦しみが怒りを増大させる。→ The veterans's anger increases because of his loneliness and suffering退役軍人の怒りは孤独と苦しみのために増大する。decreaseThe ten-day march across the desert decreased rapidly their supply of water砂漠を横断する10日間の行軍は、彼らの水の供給を急速に減少させた。→ During the ten-day march across the desert their supply of water decreased rapidly.砂漠を横断する10日間の行軍の間に、彼らの水の供給は急速に減少した。*最初の文の和訳も2番目の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は他動詞を自動詞化して表現することになります。diminishFederalism is intended to diminish the power of the central state.連邦主義は中央国家の力を弱めることを意図している。→ Federalism is intended for the power of the central state to dimish.連邦主義は中央国家の力が弱まることを意図している。lessenMake sure that your immunisations are up to date to lessen the risk of serious illness.重病のリスクを減らすために、予防接種が最新であることを確認しなさい。→ The risk of serious illness will lessen by making sure that your immunisations are up to date予防接種が最新のものであることを確認することで、重篤な病気にかかる危険性は減るだろう。*これは以下の様に表現するのが普通でしょう。The risk of serious illness will be reduced by checking that your immunisation are up to date.予防接種が最新であることを確認することで、重篤な病気にかかるリスクを減らすことができる。strengthenThe final speech by Frank in defence of Charlie strengthens our appreciation of the old veteran.チャーリーを擁護するフランクの最後のスピーチは、退役老兵に対する私たちの評価を強める。→ Our appreciation of the old veteran strengthen as we listen to his speech in defence of Charle.チャーリーを擁護する彼のスピーチを聞くと、退役老兵に対する我々の評価は強まる。lengthenShe began to walk faster, but he lengthened his stride tokeep up with her.彼女は速く歩き始めたが、彼は彼女についていくために歩幅を長くした。→ She began to walk faster, but his stride lengthened, keeping up with her.彼女は速く歩き始めたが、彼女に追いつこうと彼の歩幅は長くなった。-------------------------------------2. temperature: 温度変化を表す動詞coolHuge fans will have to cool the concrete floor to keep itbelow 150 degrees.コンクリートの床を150度以下に保つには、巨大なファンで冷やさなければならない。→ By using huge fans, the concrete floor will have tocool to be kept below 150 degrees.150度以下に保つためには巨大なファンを使うことでコンクリートの床が冷えねばならない。*2番目の文の和訳(日本語として不自然)も最初の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は自動詞を他動詞化して表現することになります。warmThe sun had come out to warm his back.太陽が出て来て彼の背中を暖めた。→ His back warmed as the sun had come out.太陽が出てきたので彼の背中が暖かくなった。meltMeanwhile, melt the white chocolate in a bowl suspended over simmering water.その間に、ホワイトチョコレートを湯煎にかけたボウルで融かして下さい。→ Meanwhile, let the white chocolate melt in a bowl suspended over simmering water.その間に、ホワイトチョコレートをボウルに入れ、湯煎にかけて融けさせます。*2番目の文の和訳も最初の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は自動詞を他動詞化して表現することになります。(チョコが融けるのを待ちます、なら自動詞として不自然ではありません)freezeYou can freeze most fresh herbs successfully.たいていのフレッシュハーブはうまく冷凍できる。→ Most fresh herbs will freeze successfully.ほとんどのフレッシュハーブはうまく凍ります。(つづく) |
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