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その他の<構文>2 |
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2025年8月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第2回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20CRID 1050282677802137472, NII論文ID 120005994600, ISSN 13417509Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_pdf/-char/jaDOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33https://en.wikipedia.org/wiki/Ambitransitive_verb |
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能格構文と能格動詞 Ergative construction and verbs 2Ergative Verbs の例 (つづき)3. cooking: 調理−食材に熱、熱変化を加える−に使われる動詞*調理する、とは食材を加熱する行為ですので、寿司は<握って>も<調理する>とは言いません。*まぁ、アナゴ握りなどは別ですが。bakeMediterranean heatwave bakes Britain.地中海の熱波が英国を焼く。→ Britain bakes in a Mediterranean heatwave.地中海の熱波でイギリスが焼ける。cookLightly cook the vegetables for 10 minutes.野菜を10分間軽く煮て下さい。→ Let the vegetables cook lightly for about 10 minutes.野菜は10分ほど軽く火が通るようにして下さい。boilBoil the water in the saucepan and add the sage.鍋に湯を沸かし、セージを加えます。→ Let the water boil in the saucepan and add the sage.鍋に湯を沸かし、そこにセージが入ります。-------------------------------------4. movement/ motion: 事物、身体の動き、動作を表す動詞*例えば、時間経過後にその前後での静止画記録を見て変化が生じていることを指します。moveYou can move the camera both vertically and horizontally.カメラは縦にも横にも動かせます。→ The camera can move both vertically and horizontally.カメラは縦にも横にも動きます。flyIt may be possible to fly the women and children out on Thursday.木曜日に女性と子供たちを搭乗させることは可能かもしれない。→ It may be possible that the women and children fly out on Thursday.木曜日に女性や子供たちが飛び立つかもしれない。turnTurn your upper body round so that your shoulders are facing to the side.肩が横を向くように上半身を捻らせましょう。→ Let your upper body turn round so that your shoulders are facing to the side.肩が横を向くように上半身が捻る様にしましょう。*下の和訳は日本語としては不自然になりますね。*他動詞的に訳すと自然になります。openThe gatekeeper opens the church door and the crowd surges out.→ The church doors open and the crowd surges out.教会のドアが開き、群衆がどっと溢れ出てくる。closeThe gatekeeper closed the church door and the crowd was shut out.門番は教会のドアを閉め、群衆は閉め出された。→The church door closed and the crowd was shut out.教会のドアが閉まり、群衆は閉め出された。shakeThe hiccups may shake your baby's body from head to foot.しゃっくりは、赤ちゃんの頭から足まで体を揺さぶることがあります。Your baby's body may shake from head to foot due to the hiccups.しゃっくりのために、赤ちゃんの体が頭から足まで震えることがあります。-------------------------------------5. change: 状態の変化を表す動詞changeJerry changes the course of his marrige with the realization that he needs a good woman to complete his life.ジェリーは、自分の人生を完成させるためには良い女性が必要だと悟り、結婚生活を軌道修正する。→ The course of Jerry's marriage change for the better.ジェリーの結婚生活は良い方向へと変化する。*状態が変わる、ことを意味します。Jerry changes the course of his career when he openly states that money is not important.ジェリーは「お金は重要ではない」と公言したことで、キャリアの方向性が変わった。→The course of Jerry's career is changed by his decision to state openly that money is not important.お金は重要ではない」と公言したことで、ジェリーのキャリアは大きく変わった。*これは他動詞→受動態への単なる言い換えですが、この場合は<〜される>との行為性を強く表します。developInScent of a Woman(1992), a cranky, blind war veteran and his young caretaker develop a friend ship.『女の香り』(1992年)では、不機嫌な盲目の戦争帰還兵と彼の若い世話係とが友情を育てる。→ A friendship develops between a cranky, blind war vetran and his young caretaker.不機嫌な盲目の戦争帰還兵と彼の若い世話係の間に友情が芽生える。softenJerry's speech to his wife softens every hardened heart in that room.ジェリーの妻への言葉は、その部屋にいるすべての者の固くなった心を和らげる。→ Every hardened heart softens at Jerry's loving words.ジェリーの愛情に満ちた言葉に、皆の固くなった心が和らぐ。hardenTheir action can only serve to harden the attitude of landowners.彼らの行動は、地主たちの態度を硬化させるだけだ。→ Because of their actions, the attitude of the landowners will only harden.彼らの行動の所為で、地主たちの態度が硬化するだけだ。Her years of drunken bickering hardened my heart.彼女の長年の酔っぱらいの口論が、私の心を頑なにした。→ My heart hardened because of her years of drunken bickering.彼女の長年の酔っ払いの口論のせいで、私の心は頑なになった。 |
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6. damage, hurt: 障害を与える、破壊する意味の動詞breakShe broke a leg in a skiing accident.彼女はスキー事故で足を骨折した。→Her leg broke in a skiing accident.彼女の足はスキー事故で折れた。burstThe injury burst a blood vessel.その怪我は血管を破裂させた。→ A blood vessel burst due to the injury.その怪我が原因で血管が破裂した。*上の文の訳も自動詞的に訳すのが日本語として正しいですね。tearHe had stumbled down and torn the skin from his knees.彼はつまずいて膝の皮を破ってしまった。→ He had stumbled down and the skin tore from his knees.彼はつまずき、膝から皮膚が裂けた。bruiseI had only bruised my knee.僕は膝を打撲しただけだった。→ Only my knee bruised.膝が打撲しただけです。crackHe cracked his head on the pavement and was knocked cold.彼は舗道で頭を打ち、意識を失った。→His head cracked on the pavement and was knocked cold.彼の頭は舗道でひび割れ、意識が遠のいた。drownA storm capsized the boat and drowned forty-eight people.嵐がボートを転覆させ、48人を溺死させた。→ Forty-eight people drowned after their boat capsized during a storm.嵐でボートが転覆し、48人が溺死した。*上の文の訳も自動詞的に訳すのが日本語として正しいですね。sinkA large wave sank that ship.大きな波がその船を沈めた。→ That ship sank after suffering a heavy wave.その船は大波に襲われて沈んだ。crashHe crashed his bike into a parked car and broke his arm.彼は自転車で駐車中の車に衝突し、腕を骨折した。→ His bike crashed into a parked car and his arm broke.彼の自転車は駐車中の車に衝突し、彼の腕は折れた。spillDon't spill water on your suit.スーツに水をこぼさないで。→Don't let water spill on your suit.スーツに水がこぼれないように。-------------------------------------7. start, finish: 事象の始まり、終わりを表す動詞startIn the movieJerry Maquire(1996), the main character starts a romantic relationship without much love.映画 『ジェリー・マクワイア』 (1996年)では、主人公があまり愛もなく恋愛関係を始める。→ In the movie Jerry Maquire (1996), a romantic relationship without much love starts in the main character.映画 『ジェリー・マクワイア』 (1996)では、あまり愛のない恋愛関係が主人公に始まる。beginI began the book six months ago, but I cannot seem to finish it.その本は6ヶ月前に読み始めたのですが、私には読み終えることができないようです。→The book began six months ago, but it doesn't seem to me that I can finish it.その本は6ヶ月前に読み始めたのですが、私には読み終えることができなそうです。endJerry nearly ends his career by focusing on clients, not money.ジェリーはお金ではなくクライアントに集中することで、もう少しでキャリアを終えるところだった。→ His career nearly ends by focusing on clients, not money.彼のキャリアは、お金ではなく、顧客に集中することで終わりかけた。finishThey finished the evening by welcoming three new members.彼らは3人の新メンバーを迎えて夜を終えた。→The evening finished with the welcoming of t hree new members.この夜は3人の新メンバーを迎えて幕を閉じた。haltStriking workers halted production at the auto plant yesterday.労働者のストライキは、昨日自動車工場の生産を停止させた。→ Production at the auto plant halted because of workers’ strikes yesterday.昨日、労働者のストライキにより自動車工場の生産が停止した。*Production at the auto plant was halted because of workers' strikes yesterday.この様に<素直>に受動態にて記述するのが自然な英語です。-----------------------------------------------------------------cf. ambitransitive verb 自他動詞*本来他動詞であるものが目的語を省略しても成文可能とされる場合、その動詞を ambitransitive verb 自他動詞と呼称します。*例えば、I like to write (short stories) in my ree time. の write がそれに該当します。*目的語が見当たらない場合、一見自動詞用法の様に見えますが、目的語は話し手のアタマの中に挙げられていることになります。*元々の目的語が主語にならない点で ergative verb とは全く異なります。能格動詞であれば、John tripped Mary.ジョンはメアリーを転ばせた。John tripped.ジョンは自分で転んだ。の両表現が可能ですが、I like to write (short stories). が成立しても、×Short stories write. は不文です。*広義の自他動詞には、本来の他動詞がたまたま目的語を表記しないもの(二次的な自動詞)と、能格動詞の2つを含みます。*前者には。eat、follow、help、knit、read、try、 watch、 win、 know などの語が頻用されます。*本来的に自動詞であるものが、たまたま目的語を採って他動詞化するパターンもありますが、trip、explode、melt、dissolve、walk、march などがそれに該当します。 |
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