英文長文読解 短期集中 個別指導 

関係詞3  that  

KVC Tokyo  やり直し硬派英語塾

                               





















https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/























































































































































塾長のコラム 2025年10月10日






関係詞3



2025年10月10日

 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 少し前に分詞構文について解説しましたが、そこでは分詞構文が従属接続詞、等位接続詞、或いは非接続用法の関係詞(=関係代名詞、関係形容詞、関係副詞など)を利用しての書き換えが適宜可能である事を述べました。いずれも1つの文(主文)に対して、別の情報を加える、併記する用法ですが、考えて見ると少なくとも英語とは、ダラダラと何かの文言を付け加えるのが好きな一面のある言語であることが分かります。しかし、人間の脳の認知機能からは一つの発想に対してあれこれ付け加えるには理解の限度が有り、当然乍ら際限なく文言を加えて行くことは出来ません。<節度>が求められると言うことになります。分詞構文についても然りなのですが、複数の文章を<短縮して繋ぎ合わせる>と言葉の経済に資する上に、<何だか端整で知的な雰囲気も纏えて>カッコいい、の発想自体は特に悪いものではありませんが、1つの文にては単純な1つの事実のみを述べるのが矢張り本来のあるべき姿なのだろうと塾長は考えます。複数情報を繋ぎ合わせる際に、主文に対して、どの文言が付け加えの部分であるのかを示す標識、即ちマーカーの類いを接続詞と言うのですが、関係詞はその1つになります。

 まぁ、文章同士をくっつけて<関係させる>際に利用される語のことを関係詞と呼称するのですが、広い意味での接続詞の仲間の1つになります。従属接続詞、等位接続詞を利用して付け加える文構造、即ち従属接続節、等位接続節(独立節とも言う)は、飽くまで主文全体に付加情報を与えるものであるのに対し、主文の中の特定の名詞や主文が主張する想念(これは1つのモノ扱いになります)をキメ打ちして追加情報を<貼り付ける>、強い或いは比較的強い接着剤の働きをするのが関係詞です。この意味で形容詞として機能するもの故、関係詞が構成する節、即ち関詞詞節 relative clauses は形容詞節と呼称出来ます。

 モノの形容に関してですが、日本語ではモノの形容語句は名詞の前に置く一方、英語では極く短い文言は別として、長い構造は後置修飾させます。これ故、日本語で解釈するには返り点読みを余儀なくされ、特に初学者は頭を抱えるに至りますし、実際そのまま愚直に!訳したところで意味が取れないなどと却って苦情を言われてしまい兼ねません。この返り点読みを止めさせ、英文を語順のままに理解させるべく、巷ではスラッシュリーディング法が良い、同時通訳的者を倣え(これは当塾長の考え)などと主張されますが、要は、そのまま意味を頭に input しつつ英文を読み下すのが合理的だ、との指導法になりますね。

 この様な英文解釈、リーディング上の技法面にも触れつつ、関係詞−関係代名詞、関係形容詞、関係副詞などが有ります−を文法面と意味用法面から含めてザッと一通り見て行きましょう。関係詞の構文上の理解は容易ゆえ、個々の用法や注意点を列挙する形がメインとなりますが、これまでの知識の整理がてら読み進めてみて下さい。損はしない筈です。その第3回目となります。


英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/that

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/that


https://en.wikipedia.org/wiki/English_relative_clauses

https://en.wikipedia.org/wiki/Conjunction_(grammar)#Subordinating_conjunctions

https://ja.wikipedia.org/wiki/関係詞

https://en.wikipedia.org/wiki/Relativizer

*これらに引用されている文献を参照すると更に詳細な学説が得られます。


https://www.thoughtco.com/zero-relative-pronoun-1692623

https://www.thoughtco.com/zero-or-bare-infinitive-1692621


『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第4章 関係代名詞・関係副詞 pp.58-78


『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈  第3章2 形容詞節 pp.132-168

『チャート式 英文法』 荒木良治、数研出版、昭和62年、第3章 5関係代名詞pp.103-11 第5章 3関係副詞 pp.164-168

 これらの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。






https://www.youtube.com/watch?v=OSWcJVMZ3rQ

Red river valley by Mart Robbins lyric video Music is life  2021/11/18


They say you are taking the sunshine/ That has brightened our pathway awhile

君は陽の光を奪うと皆が言う/   しばらくの間 私たちの道を明るく照らしていたあの光を

But remember the Red River Valley/ And the cowboy who loves you so true

でも覚えておいて 赤い川の谷を/  そして君を心から愛するカウボーイのことを

I've been thinking a long time, my darling/ Of those sweet words you never would say

ずっと考えていたんだ、愛しい人よ/ 君が決して口にしないあの甘い言葉を


先行詞 sunshine に対しては主格の関係代名詞 that を、cowboy に対しては who を使っています。

that の代わりに which を使うと口調的にも発音しにくくなりますね。words に対しては目的格の

関係代名詞は省略されています。この歌詞からでも関係代名詞の自然な使い方が見て取れます。



https://www.youtube.com/watch?v=s1kqaMu7lpw

Red River Valley - Lyrics - Lynn Anderson Cowboy Hat Radio  2019/02/15  

上の曲の歌詞が original ですが、こちらは cowgirl の立場からの歌詞に書き換えられています。


For such a long time I have waited/ for the sweet words you never would say

Now, alas, all my fond hopes have vanished/ for they say you are going away

ずっとずっと待ち続けていたのよ / あなたが決して口にしないあの甘い言葉を

ああ今や私の切なる望みはすべて消え去ったのね/ だってあなたは旅立つというじゃない




(各論続き)


that


*that と(他の)関係代名詞の間にはいくつかの文法的な違いがあります:

*that は「人」にも「物」にも使用されますが、他の関係代名詞と異なり限定用法しかありません。

*即ち、that が使われている場合は、非制限的な、追加説明ではなく、がっちりと先行詞を修飾する意味合いが強固であると理解すべきでしょう。


*that には関係副詞としての用法もありますが、それに関しては関係副詞の項にて扱います。


*that の前には前置詞を置くことができず、前置詞が必要な場合は関係節の末に後置されます。


誤: The picture about that you were talking has been sold,

正:  The picture that you were talking about has been sold.

 君が話していた絵は本当に売れたんだよ。


*関係代名詞 that と通常の接続詞 that の間には類似点があります:

*ほとんど必ずどちらの場合にも弱く発音され、

*どちらも暗黙の了解として頻繁に省略されます。


*that を人間以外の場合にのみ使用することを推奨する者やガイドブックもありますが、シェイクスピア (『ヴェニスの商人』 の the man that hath no music inhimself)、マーク・トウェイン (The Man that Corrupted Hadleyburg)、アイラ・ガーシュウィン(The Man that Got Away) などの使用例が見られます。



*that が用いられる傾向が強い場合:

・最上級や序数詞、the very, the only, all, every, no  などを伴う先行詞の場合

・先行詞が不定代名詞 (something, everything, etc.)の場合

・先行詞が疑問代名詞の場合

・先行詞が、[<人を指示する名詞句・名詞>+<事物を指示する名詞句・名詞>] とからなる場合

・強調構文 (it is...that...)

・関係代名詞の先行詞が補語になっている場合



以下解説して行きます:


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1. 先行詞に,最上級の形容詞, 或いは、the first, the last, the very, the only, the same, などがつく場合は関係代名詞に that を用います。

*要は、先行詞の限定性が強い場合です。


Einstein was one of the greatest scientists that ever lived,

 アインシュタインは古今を通じての偉大な科学者のひとりだった。


He was the first man that arrived.

 彼が最初に到着した人だった。


It was the only chance that he had.

 それは彼が持ったただ1つの機会でした。


He is the very man that I want.

 彼こそ私の求めている人だ。


This is the very thing that I want.

 これは私がほしいと思っているまさにそのものです。



註:上のような場合でも that でなく who, which が用いられることもあります。

He is the only boy who solved the problem.

 その問題が解けたのは彼だけだ。


She is the only person who can help me.

 私が助けてもらえるのは彼女だけだ。


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2. 先行詞が -thing, all, every の 場合

*上とは真逆で、先行詞の不確定性或いは網羅性が強い場合になります。


I have something that I must do at once.

 私は、すぐにしなければならないことがある。


All is not gold that glitters.

 光るもの必ずしも金ならず。 〔ことわざ〕


There was everything that the most exacting pleasure  seeker  could wish for.

 どんなに気むずかしい道楽者でも欲しいと思うようなものが全て揃っていた。


cf. exacting = making severe or excessive demands; not  easily  satisfied; strict 容易には満足せずに厳しい要求をする、気難しい


註: -thing の後ろには which を用いることもあります。

There was everything which the most exacting pleasure  seeker could wish for.


There was something in the letter which attracted me  attention.

 その手紙には何か私の注意を惹くものがあった。



all が人を指すときは that ではなく who の方が好ましいです。

A welcome is extended to all who wish to come.

 いらっしゃりたい方は勿論すべて歓迎致します。


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3. 先行詞が疑問代名詞 who, which


Who that ever came into personal contact with him could  not help liking him?

 彼と一度個人的接触を持つようになった人でだれが彼を好きにならないでいられましょうか。


Who that is honest will say such a thing ?

 正直であるところの誰がそんなことを言うでしょうか?


*この文で Who の次に関係代名詞 who を用いると Who who."となり 口調的におかしく、且つ混乱を招く文になるので that が用いられます。


Which of these books is the one that you recommended  to  me ?

 きみがぼくに推薦してくれた本はこのうちのどれですか。






https://www.youtube.com/watch?v=j25CFx-4g0I

RELATIVE PRONOUNS | RELATIVE CLAUSES | ADJECTIVE CLAUSES

- who, which, that, whose, whom Arnel's Everyday English  2021/12/13


関係代名詞の使い分けについての解説動画ですが、毎度のアーベルさんが簡潔

且つ平易に解説して呉れます。3分過ぎから、necessary なモノの形容と not

necessary な形容の違いから、関係代名詞の制限用法 vs.非制限用法への説明

へと繋げていきますが、この辺りの巧みな解説には脱帽せざるを得ません。





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4. 先行詞が 「人+動物」または「人+無生物」


He sketched a driver and his cows that were passing over  the bridge.

 彼は橋を渡っている牛追いと牛のスケッチを描きました。


*He sketched a driver and his cows passing over the  bridge.

 と簡潔に書くのが通常です。

*尤も、うるさい事を言うと、この文は、彼は橋を渡りながら牛追いと牛をスケッチした、とも解釈可能になります。


The man and his horse that fell into the river were  drowned.

 川に落ちた人と馬は溺死しました。


cf. drawn, be drawed は、単に溺れるの意味では無く、溺死する、の意味になります。

*日本語の<溺れる>の意味とは異なりますのでご注意を。


He saved the life of a child who was drowning in the river.

 彼は川で溺れている子供の命を助けた。(進行形:溺死しつつある、を使います)


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5. It is 〔was〕...that の強調構文


註: 強調構文の that を関係代名詞と考えるべきかは 異論もある筈です。接続詞とするのが一般的でしょう。

* https://www.kensvetblog.net/column/202502/20250225/ をご参照下さい。


It is a sense of proportion that we ought to teach.

 我々が教えるべきなのは比率のバランス感覚です。


It is the effort that makes men.

 人をつくるのは努力です。


It is an orange that he wants.

 彼が欲しがっているのはオレンジです。


It was yesterday that I bought this book.

私がこの本を買ったのは昨日でした。


It was here that I met her.

 私が彼女に会ったのはここだったのです。



*強調するものが「人」のときは who、「物」のときは which  を用いることもあります。

It was only rich people who could buy them.〔人〕

 それらを買うことができるのは金持ちだけでした。


It is the rain which helps to make the plants grow. 〔物〕

 植物の生長を助長するのは雨です。


*時や場所を強調する時の that に換えて、where,  when などを用いることがあります。。

It was yesterday when I bought this book.

 この本を買ったのは昨日でした。


It was here where I met her.

 彼女に出会ったのはここでした。


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6. that が補語


*that は関係代名詞の補語格であると呼称する者も居ます。

cf. 森一郎氏 『試験に出る英文法』


John Bull was no longer the typical English figure  that  he  seemed once to  have been

 ジョンブルというのは最早昔考えら れていたようなイギリス人の典型ではなかった。


cf. John Bull とは「英国人」を擬人化、象徴化したもの。.一方、「米国人」のそれは Uncle Sam と言います。


He is not the man that he was before he married.

 彼は結婚前と人が変わった。

= He is not what he was before he married.


註:

*この構文では that を省略するのが通常です。


*that の代わりに補語として which を用いることがあります。これは性格、職業、地位などを示す場合に見られます。


He looked like a lawyer-which he was.

 彼は弁護士の様に見えたが実際そうだった。

= He looked like a lawyer, and indeed he was.