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関係詞5 |
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2025年10月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 少し前に分詞構文について解説しましたが、そこでは分詞構文が従属接続詞、等位接続詞、或いは非接続用法の関係詞(=関係代名詞、関係形容詞、関係副詞など)を利用しての書き換えが適宜可能である事を述べました。いずれも1つの文(主文)に対して、別の情報を加える、併記する用法ですが、考えて見ると少なくとも英語とは、ダラダラと何かの文言を付け加えるのが好きな一面のある言語であることが分かります。しかし、人間の脳の認知機能からは一つの発想に対してあれこれ付け加えるには理解の限度が有り、当然乍ら際限なく文言を加えて行くことは出来ません。<節度>が求められると言うことになります。分詞構文についても然りなのですが、複数の文章を<短縮して繋ぎ合わせる>と言葉の経済に資する上に、<何だか端整で知的な雰囲気も纏えて>カッコいい、の発想自体は特に悪いものではありませんが、1つの文にては単純な1つの事実のみを述べるのが矢張り本来のあるべき姿なのだろうと塾長は考えます。複数情報を繋ぎ合わせる際に、主文に対して、どの文言が付け加えの部分であるのかを示す標識、即ちマーカーの類いを接続詞と言うのですが、関係詞はその1つになります。 まぁ、文章同士をくっつけて<関係させる>際に利用される語のことを関係詞と呼称するのですが、広い意味での接続詞の仲間の1つになります。従属接続詞、等位接続詞を利用して付け加える文構造、即ち従属接続節、等位接続節(独立節とも言う)は、飽くまで主文全体に付加情報を与えるものであるのに対し、主文の中の特定の名詞や主文が主張する想念(これは1つのモノ扱いになります)をキメ打ちして追加情報を<貼り付ける>、強い或いは比較的強い接着剤の働きをするのが関係詞です。この意味で形容詞として機能するもの故、関係詞が構成する節、即ち関詞詞節 relative clauses は形容詞節と呼称出来ます。 モノの形容に関してですが、日本語ではモノの形容語句は名詞の前に置く一方、英語では極く短い文言は別として、長い構造は後置修飾させます。これ故、日本語で解釈するには返り点読みを余儀なくされ、特に初学者は頭を抱えるに至りますし、実際そのまま愚直に!訳したところで意味が取れないなどと却って苦情を言われてしまい兼ねません。この返り点読みを止めさせ、英文を語順のままに理解させるべく、巷ではスラッシュリーディング法が良い、同時通訳的者を倣え(これは当塾長の考え)などと主張されますが、要は、そのまま意味を頭に input しつつ英文を読み下すのが合理的だ、との指導法になりますね。 この様な英文解釈、リーディング上の技法面にも触れつつ、関係詞−関係代名詞、関係形容詞、関係副詞などが有ります−を文法面と意味用法面から含めてザッと一通り見て行きましょう。関係詞の構文上の理解は容易ゆえ、個々の用法や注意点を列挙する形がメインとなりますが、これまでの知識の整理がてら読み進めてみて下さい。損はしない筈です。その第5回目となります。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/whichhttps://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/whichhttps://en.wikipedia.org/wiki/English_relative_clauseshttps://en.wikipedia.org/wiki/Conjunction_(grammar)#Subordinating_conjunctionshttps://ja.wikipedia.org/wiki/関係詞https://en.wikipedia.org/wiki/Relativizer*これらに引用されている文献を参照すると更に詳細な学説が得られます。https://www.thoughtco.com/zero-relative-pronoun-1692623https://www.thoughtco.com/zero-or-bare-infinitive-1692621『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第4章 関係代名詞・関係副詞 pp.58-78『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第3章2 形容詞節 pp.132-168『チャート式 英文法』 荒木良治、数研出版、昭和62年、第3章 5関係代名詞pp.103-11 第5章 3関係副詞 pp.164-168これらの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。斎藤秀三郎 『熟語本位 英和中辞典 新版』 CD-ROM付 岩波書店 2016年新版第一刷*CD-ROM には冊子体の新旧版全てのデータが pdf 形式で収載されており、利便性が非常に高くお奨めです。*同一内容の、齊藤秀三郎 著 『Saito's idiomological English-Japanese dictionary = 熟語本位英和中辭典』,S.E.G. Publishing Department,1928.が、全頁、国立国会図書館デジタルコレクションから誰でも無料で閲覧出来ます。https://dl.ndl.go.jp/pid/1699960 (参照 2025-09-11) |
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2つの単文と関係代名詞構文との関係2******************************斎藤秀三郎 『熟語本位 英和中辞典』 の which の項に、比較:(a) The meeting which was held at Hibiya Park was a success.日比谷公園で開いた会は盛会であった(と言えば他にも会は有りし意味)(b) The meeting, which (= and it) was held at Hibiya Park, was a success.会は(序でに言う)日比谷公園で開いたが盛会であった。と全く正しく記述されています。*これが、(a) の記述が単なる可能性があるとの意味を拡大・強化解釈されて、<必ず>他にもあることを言外に含むものと曲解され、それが斎藤氏−非常に大きな影響力を持っていた−の門下や或いは彼らの弟子である学校教員らに歪んで広まった可能性はありそうです。*******************************AなるBが存在する、のあれば、それ以外のモノ−AではないB−も理論的には当然存在し得ます。*これは、<言外の意味としてどこまでそれに注意を向けるのか>の問題に行き着きますが、それに傾き過ぎると文脈依存性の、非常に文学的な、曖昧な解釈にも繋がります*即ち、明確性からは乖離する発想です。*字面以外のその様な可能性に思いを馳せるのは自由ですが、それを必要以上に意識するのも奇妙です。*仮に、Aでは無いBに興味があるなら、その旨質問すれば良いでしょう。例えばWhat other meetings were held apart from the one held in Hibiya Park?日比谷公園で開かれた会以外にはどの様な会が開催されましたか?同様に、制限用法The book which is green is mine.緑色の本は僕のです。*本が複数有り、いろいろな色の本があるが、その内の緑色の本は僕のです、と言う。*思考はその緑色の本に向かい、他の本の事など最早眼中に有りません。非制限用法The book, which is green, is mine.その本は、緑色ですが、僕のです。*実は以上の様な曖昧性を帯びた解釈は、所有を表す動詞 have 或いは hold などの特殊性にもあり、所有であればAも持って居る、Bも持って居ると想念が拡大可能であるが故に曖昧性、意味合いの幅が拡大するからとも言えるでしょう。*平たく言えば、同時併行性を許容する動詞群です。*関係代名詞制限用法に関与する事では無く、単に使用される動詞の性質に由来する解釈の発生とも言うべき色合いのものでもあるでしょう。*即ち制限(限定)用法と言いつつ、制限が緩く、この意味で矛盾した解釈になっていることになります。*下記の 動詞 give であれば、その一瞬の行為動作でコトが終了しており、他に give したとの可能性を読み手に想起させることは通常はありません。*従って、本邦の学参で散見される、動詞 have などを用いた、制限用法、非制限用法の説明は文学性に偏向しており、学習者に徒な混乱を招くだけの悪例表示と言えるでしょう。*もっと違いを端的に表す用例を使用するべきでしょう。*この様な動詞の性質を元にした考察は塾長のものが初めてのものだろうと思います。*関係代名詞で文を繋ぐ時に、出来た結果の文が曖昧性を含む様な組み合わせは最初から出来るだけ避けるのが賢明です。*実際のところ、native の作る動画の例文を見ても、一意に明確に定まる文同士の組み合わせ例のみになります。*なんとなれば、制限用法で意味を明確化、限定化することと、曖昧性や含むを持たせる事とはその精神が矛盾するからです。*本邦の塾講師が好んで例示する類いの例文は見付かりませんし、また<これは言外に他の要素があると匂わせる表現だ>との解説も少ないです。--------------------------------------------5. A lawyer represented us in court. + The lawyer specializes in labor law.(たった)一人の弁護士が法廷で私たちを代表した。+ その弁護士は労働法を専門としている。→ 合成すると6. A lawyer who specializes in labor law represented us in court.→ 労働法を専門とする弁護士が法廷で私たちを代表した。(説明的記述)*定義的な制限用法で先行詞を強く限定し identify する場合には、<別の専門の弁護士が我々を代表しました。>などの可能性を生じますが、通常はその様な思考を生む余地はないでしょう。*別の弁護士が居たのであれば、必要に応じそれを示す文を追加・記述すれば良いだけです。*この様な、明確性の高い意味を持つ2つ文の組み合わせのみが関係代名詞の制限用法に基本的に使用されていることにご注意下さい。7. My aunt gave me a picture book. She had bought it in London.→ 合成すると8. My aunt gave me a picture book which she had bought in London.おばはロンドンで買ってきた絵本を私に呉れました。*この関係代名詞構文を見て、おばは私に別の本も呉れた可能性がある(と言外に強く匂わせている)などと考えたら、それは寧ろ滑稽ですね。*関係詞構文は、字面通りに読めばよく、それ以上でもそれ以下でもありません。*余計な<妄想>は不要です。9. Tom attends a university near his home. He can easily reach it by train.→ 合成すると10. Tom attends a university near his home that he can easily reach by train.トムは電車で簡単に通える自宅に近い或る大学に通っています。= Tom attends a university near his home, which he can easily reach by train.トムは自宅に近い或る大学に通っていますが、そこは電車で簡単に通えるんです。*通常、トムが<電車で簡単に通える自宅に近い大学>以外の別の大学にダブルで通っている、とは誰も考えません。*この関係代名詞構文を見て、通って居るのは、その大学だけ、と理解する筈です。11. This is a house. I was born in the house.→ 合成すると12. This is the house in which I was born (where I was born).これは私の生まれた家です。*生まれた場所は1つしかあり得ませんので、確定の the が堂々と付きます。 |
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cf. 二重目的語構文と関係代名詞構文との関係*実は、2つの単文は毎度必ずしも1つの関係代名詞詞構文にそのまま機械的に連結・合成できる訳ではありません。*例外を提示しましょう。--------------------------------------------https://www.kensvetblog.net/column/202509/20250920/ここにて、二重目的語構文 SVOO (第4文型)とは何かについて詳述しています。この構文を取り得る動詞の内、*S+V +DO の形で文が成立不可能 (三項動詞)→ S+V+DO+ to +IO に変形可能*S+V +DO の形で文が成立可能 (二項動詞)→ S+V+DO+ for+IO に変形可能なのですが、*三項動詞とは平たく言えば、文の成立には、動作主、対象物、受領者が必須の動詞です。SVO+to 受領者になります。*二項動詞とは、動作主、対象物だけでも文が成立する動詞のことです。SVO+ for 受益者になります。三項動詞の例Lucy gave Mary the book.= Lucy gave the book to Mary.二項動詞Lucy bought Mary some food.= Lucy bought some food for Mary.以上を踏まえた上で、*ここに例えば、三項動詞 give に対しては、I saw Mary. + Lucy gave Mary the book.→ ◯ I saw Mary whom Lucy gave the book. が許容されることがあり(実際は不文とされることが多いのですが)、I saw Mary to whom Lucy gave the book. 同様に成立するのですが、しかし、二項動詞 buy に対しては、I saw Mary. + Lucy bought Mary some food.→ × I saw Mary whom Lucy bought the book. は不文とされます。*受益者を表す間接目的語は関係代名詞の先行詞となることが特に許容されないことになります。これをI saw Mary. + Lucy bought some food for Mary.→ ◯ I saw Mary for whom Lucy bought the book. は成立します。*強調構文やその他の構文に於いて、間接目的語を強調するなど、<間接目的語のそのままの前方への抜き出し>は一般的に避けられると考えて下さい。https://www.kensvetblog.net/column/202502/20250225/*これは古英語からのなごりとも言えます。*目的語とは本来的に直接目的語のことを差し、SVOO に組み込まれた間接目的語は、実は真の目的語としては扱われないと言う事でしょう。*これらの問題に対しては、何と言う事も無く、一旦、<本来の正しい形> である <SVO+ to/ for> の形に直してから、<加工>すれば問題は雲散霧消します。 |
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