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関係詞12 |
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2025年11月25日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 少し前に分詞構文について解説しましたが、そこでは分詞構文が従属接続詞、等位接続詞、或いは非接続用法の関係詞(=関係代名詞、関係形容詞、関係副詞など)を利用しての書き換えが適宜可能である事を述べました。いずれも1つの文(主文)に対して、別の情報を加える、併記する用法ですが、考えて見ると少なくとも英語とは、ダラダラと何かの文言を付け加えるのが好きな一面のある言語であることが分かります。しかし、人間の脳の認知機能からは一つの発想に対してあれこれ付け加えるには理解の限度が有り、当然乍ら際限なく文言を加えて行くことは出来ません。<節度>が求められると言うことになります。分詞構文についても然りなのですが、複数の文章を<短縮して繋ぎ合わせる>と言葉の経済に資する上に、<何だか端整で知的な雰囲気も纏えて>カッコいい、の発想自体は特に悪いものではありませんが、1つの文にては単純な1つの事実のみを述べるのが矢張り本来のあるべき姿なのだろうと塾長は考えます。複数情報を繋ぎ合わせる際に、主文に対して、どの文言が付け加えの部分であるのかを示す標識、即ちマーカーの類いを接続詞と言うのですが、関係詞はその1つになります。 まぁ、文章同士をくっつけて<関係させる>際に利用される語のことを関係詞と呼称するのですが、広い意味での接続詞の仲間の1つになります。従属接続詞、等位接続詞を利用して付け加える文構造、即ち従属接続節、等位接続節(独立節とも言う)は、飽くまで主文全体に付加情報を与えるものであるのに対し、主文の中の特定の名詞や主文が主張する想念(これは1つのモノ扱いになります)をキメ打ちして追加情報を<貼り付ける>、強い或いは比較的強い接着剤の働きをするのが関係詞です。この意味で形容詞として機能するもの故、関係詞が構成する節、即ち関詞詞節 relative clauses は形容詞節と呼称出来ます。 モノの形容に関してですが、日本語ではモノの形容語句は名詞の前に置く一方、英語では極く短い文言は別として、長い構造は後置修飾させます。これ故、日本語で解釈するには返り点読みを余儀なくされ、特に初学者は頭を抱えるに至りますし、実際そのまま愚直に!訳したところで意味が取れないなどと却って苦情を言われてしまい兼ねません。この返り点読みを止めさせ、英文を語順のままに理解させるべく、巷ではスラッシュリーディング法が良い、同時通訳的者を倣え(これは当塾長の考え)などと主張されますが、要は、そのまま意味を頭に input しつつ英文を読み下すのが合理的だ、との指導法になりますね。 この様な英文解釈、リーディング上の技法面にも触れつつ、関係詞−関係代名詞、関係形容詞、関係副詞などが有ります−を文法面と意味用法面から含めてザッと一通り見て行きましょう。関係詞の構文上の理解は容易ゆえ、個々の用法や注意点を列挙する形がメインとなりますが、これまでの知識の整理がてら読み進めてみて下さい。損はしない筈です。その第12回目となります。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/whichhttps://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/whichhttps://en.wikipedia.org/wiki/English_relative_clauseshttps://en.wikipedia.org/wiki/Conjunction_(grammar)#Subordinating_conjunctionshttps://ja.wikipedia.org/wiki/関係詞https://en.wikipedia.org/wiki/Relativizer*これらに引用されている文献を参照すると更に詳細な学説が得られます。https://www.thoughtco.com/zero-relative-pronoun-1692623https://www.thoughtco.com/zero-or-bare-infinitive-1692621『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第4章 関係代名詞・関係副詞 pp.58-78『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第3章2 形容詞節 pp.132-168『チャート式 英文法』 荒木良治、数研出版、昭和62年、第3章 5関係代名詞pp.103-11 第5章 3関係副詞 pp.164-168これらの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。 |
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関係代名詞の口語用法*これまで関係代名詞について一通り述べてきましたが、その実際の用法についは、文語と口語では多少とも異なっています。.*ここで一度、復習がてら纏めておきましょう。*関係代名詞利用の口語の特徴:ほとんどすべての関係代名詞節は限定用法となります。その上で、以下の様な特徴を持ちます。1. 主格の場合:「人」には who、「物」には that を用います。The girl who lives opposite is not very pretty.向かいに住んでいる女の子はあまりきれいではない。 〔「人」には who〕The street that leads to the school is very wide.学校へ行く通りは非常に広い。 〔物」には that〕2. 目的格の場合:関係代名詞を省略するのが普通です。省略しない場合は「人」「物」と も に that を用います。whom の代わりに who を用います。前置詞は文の末尾に置きます。There are two or three letters (that) I've got to write.書かなければならない手紙が2, 3通あります。It's the best book (that) I've ever read.それは今まで読んだうちで一番よい本です。This is the boy (whom) I met yesterday.これが私が昨日会った少年です。This is the house (which) he lives in.これが彼が住んでいる家です。*関係代名詞 that の前に前置詞を置く事は許されず、前置詞は関係節の末に起きます。*目的格の関係代名詞 which の前には前置詞が置けますが、口語では利用されず、硬い重々しい表現になります。You are the man (that) I've been looking for.あなたは私が探していた人なのです。He's a person you can rely on.彼はあなたが頼りにできる人です。前置詞の取り得る位置には以下の場合があります。.This is the book about which I was telling you.〔文語的〕This is the book that (which) I was telling you about.This is the book I was telling you about.〔口語的〕3. 所有格の場合whose が「人」についても、「物」についても用いられます。*実際には、whose, of which を用いた関係節ではなく、、簡単に前置詞句などで表わす方が日常の表現としては適当です。*入り組んだ高等概念を述べるのではなく、日常的に用いる平易な英語では、関係詞などをわざわざ利用する意味が低いわけです。「表紙が破れている本は私のではありません。.」The book the cover of which (or whose cover) is torn is not mine.大上段に振りかぶった仰々しい英文です。→The book with the torn cover is not mine.*英文法事項の説明に、日常的な平易な文例が用いられることが多いですが、これがおそらく原因となって、初学者は平易なことを言うのに関係代名詞、果てまた分詞構文などを使うものと誤解し、ちぐはぐな英作を拵えもしますが、これは指導者側の落ち度とも言えるでしょう。*説明の為に簡易な文例を出したとしても、その様な簡易な内容の英語に、説明される英文法或いは語法の組み合わせが使われるとは限らない訳です。*Tシャツ+ジーンズのカジュアルな場に、突然紋付き袴で登場する様なものです。同様にThere is a small house whose roof s red somewhere about here.→There is a small house with the red roof somewhere about here.どこかこのあたりに赤い屋根の小さい家があります。That mountain the top of which is covered with snow is Asama.→That snow-capped mountain is Asama.頂上が雪でおおわれているあの山は浅間山です。The man whose name I always forget is coming this afternoon.→The man I always forget the name of is coming this afternoon.いつも名前を忘れてしまうのだが、その人が午後に来ますよ。4. 1つの先行詞に2つの関係代名詞節がつく場合この場合、あとの方は who か which とする。You're the only person (that) I've ever met who could do it.私が会った人でそれができるのはあなただけです。5. a man who I think is …の形*この表現は日常的に頻用され、至って普通の表現です。The man who I thought was my friend deceived me.友だちだと思っていた男が私をだました。whom を用いて書き直すと以下になります。The man whom I thought to be my friend deceived me.下記の混同したような文は良く見られますが不文です。×The man whom I thought was my friend deceived me. |
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目的格以外の関係代名詞の省略*目的格以外にも関係代名詞を省略するシーンは多く、しばしば初学者の頭を悩ませます。*以前に一度以下にて解説していますが、https://www.kensvetblog.net/column/202505/20250510/*知識の再確認がてらここに再び扱います。1. 主格の関係代名詞の省略there is (was,were); it is (was); that is (was) ではじまる文では、そのあとにあるべき主格の関係代名詞が省略されることがあります。There was a man (who) asked for you, sir.あなたを訪ねて来た方がありました。There's somebody at the door (who) wants to see you.あなたに会いたいという人が玄関にきています。*It is...that (or who, which) という強調構文に於いて関係代名詞は省略されます。*但し、これらの that, who, which が関係代名詞と呼称出来るのかについては統一的見解は見ません。It isn't everybody (that) can do it.それはだれにでもできるというものではありません。It was Jack (who or that) broke the window.窓をこわしたのはジャックでした。2. 関係代名詞節の中が there is (are) などで始まる場合*この場合、関係代名詞を省略するのが普通です。用いるとすれば that であり、 wh-形の関係代名詞は用いません。It's the only one there is in the shop. (= the only one that there is...)店にあるのはこれだけです。This is the best dictionary (that) there is in the library.これは図書館にある(ところの)一番良い辞書です。3. 関係代名詞が補語になる場合*関係代名詞を省略するのが普通です。用いるとすれば that であり、 wh-形の関係代名詞は用いません。She is not the woman she was before she married.彼女は結婚前と人が変った。He is not the cheerful boy (that) he once was.彼はかつて彼があった (ところの) 陽気な少年ではありません。 |
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