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関係詞13 |
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2025年12月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 少し前に分詞構文について解説しましたが、そこでは分詞構文が従属接続詞、等位接続詞、或いは非接続用法の関係詞(=関係代名詞、関係形容詞、関係副詞など)を利用しての書き換えが適宜可能である事を述べました。いずれも1つの文(主文)に対して、別の情報を加える、併記する用法ですが、考えて見ると少なくとも英語とは、ダラダラと何かの文言を付け加えるのが好きな一面のある言語であることが分かります。しかし、人間の脳の認知機能からは一つの発想に対してあれこれ付け加えるには理解の限度が有り、当然乍ら際限なく文言を加えて行くことは出来ません。<節度>が求められると言うことになります。分詞構文についても然りなのですが、複数の文章を<短縮して繋ぎ合わせる>と言葉の経済に資する上に、<何だか端整で知的な雰囲気も纏えて>カッコいい、の発想自体は特に悪いものではありませんが、1つの文にては単純な1つの事実のみを述べるのが矢張り本来のあるべき姿なのだろうと塾長は考えます。複数情報を繋ぎ合わせる際に、主文に対して、どの文言が付け加えの部分であるのかを示す標識、即ちマーカーの類いを接続詞と言うのですが、関係詞はその1つになります。 まぁ、文章同士をくっつけて<関係させる>際に利用される語のことを関係詞と呼称するのですが、広い意味での接続詞の仲間の1つになります。従属接続詞、等位接続詞を利用して付け加える文構造、即ち従属接続節、等位接続節(独立節とも言う)は、飽くまで主文全体に付加情報を与えるものであるのに対し、主文の中の特定の名詞や主文が主張する想念(これは1つのモノ扱いになります)をキメ打ちして追加情報を<貼り付ける>、強い或いは比較的強い接着剤の働きをするのが関係詞です。この意味で形容詞として機能するもの故、関係詞が構成する節、即ち関詞詞節 relative clauses は形容詞節と呼称出来ます。 モノの形容に関してですが、日本語ではモノの形容語句は名詞の前に置く一方、英語では極く短い文言は別として、長い構造は後置修飾させます。これ故、日本語で解釈するには返り点読みを余儀なくされ、特に初学者は頭を抱えるに至りますし、実際そのまま愚直に!訳したところで意味が取れないなどと却って苦情を言われてしまい兼ねません。この返り点読みを止めさせ、英文を語順のままに理解させるべく、巷ではスラッシュリーディング法が良い、同時通訳的者を倣え(これは当塾長の考え)などと主張されますが、要は、そのまま意味を頭に input しつつ英文を読み下すのが合理的だ、との指導法になりますね。 この様な英文解釈、リーディング上の技法面にも触れつつ、関係詞−関係代名詞、関係形容詞、関係副詞などが有ります−を文法面と意味用法面から含めてザッと一通り見て行きましょう。関係詞の構文上の理解は容易ゆえ、個々の用法や注意点を列挙する形がメインとなりますが、これまでの知識の整理がてら読み進めてみて下さい。損はしない筈です。その第13回目となります。 英国ケンブリッジ英語辞典並びに Collins 英語辞典の用例を主に参考に解説を加えて行きます。https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/whichhttps://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/whichhttps://en.wikipedia.org/wiki/English_relative_clauseshttps://en.wikipedia.org/wiki/Conjunction_(grammar)#Subordinating_conjunctionshttps://ja.wikipedia.org/wiki/関係詞https://en.wikipedia.org/wiki/Relativizer*これらに引用されている文献を参照すると更に詳細な学説が得られます。https://www.thoughtco.com/zero-relative-pronoun-1692623https://www.thoughtco.com/zero-or-bare-infinitive-1692621『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第4章 関係代名詞・関係副詞 pp.58-78『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第3章2 形容詞節 pp.132-168『チャート式 英文法』 荒木良治、数研出版、昭和62年、第3章 5関係代名詞pp.103-11 第5章 3関係副詞 pp.164-168これらの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。 |
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接触節 Contact clauses が許容される条件*前回解説した様に日本の「学校英文法」では「目的格の関係代名詞は省略できる」と教えることが多いです。*また、目的格以外の場合でも省略される場合があります。*一方、英語学では「本来あったものが省略された」とは考えず、音声形を持たない関係代名詞―接触節―とみなすのが普通です。*接触節は、古くは主格の場合に多く見られましたが、現代英語では目的格の場合に生じることが多いです。*接触節用法は、英語と同様に他のゲルマン諸語に存在しますがロマンス語(=俗ラテン語)諸語には存在しません。*制限関係節のみに於いて、that、which、who、whom などを発声する代わりに<無音>が用いられます:*ゼロ関係代名詞 Zero relative pronoun と呼称されることは無く、一般的には接触節 contact clauses と呼ばれます。*接触節が可能となる場合に何か法則性が有るのか、を探ってみましょう。---------------------------------------------------------目的格に生じる一般的な例:1.The book (that / which) I readyesterday was about Italy.私が読んだ本はイタリアについてのものでした。cf.ゲルマン諸語: 省略可能Das Buch (das) ich gestern gelesen habe handelte von Italien. ドイツ語Het boek (dat) ik gisteren heb gelezen ging over Italie. オランダ語Den bog, jeg laste i gar, handlede om Italien. デンマーク語Boken jag laste igar handlade om Italien. スウェーデン語*上からお分かりかと思いますが、インドヨーロッパ語族の中でも、特にゲルマン語圏の者達が英語の習得など苦も無く出来る事が理解出来るでしょう。ロマンス語諸語: 省略不可Le livre que j'ai lu hier parlait de l'Italie. フランス語Il libro che ho letto ieri parlava dell'Italia. イタリア語El libro que lei ayer trataba sobre Italia. スペイン語O livro que li ontem era sobre a Italia. ボルトガル語関係代名詞が目的格でない場合にも接触節が生じる例:2. The man (that/ who) I thought was my father turned out to be a complete stranger.私の父だと私が思った男は全くの別人だった。 (that/who は was の主語で主格)= L'homme que je croyais etre mon pere s'est avere etre un parfait inconnu.*以下に示す様に仏語の関係代名詞 que は省略出来ません。3.I'm not half the man (that) I used to be.僕はかつての僕の半分ですらない=僕は変わり果てた。(that は be の補語)= Je ne suis meme plus la moitie de l'homme que j'etais.4.This is the only thing (that) there is.あるのはこれだけだ。 (that は there is の主語)= C'est la seule chose qui existe.接触節が成立する条件1〜4 を見ると、二つのことに気が付きます。a. 関係代名詞の直前に先行詞がある。b. 関係代名詞のすぐ後に関係節の主語がある。(there 構文の there も、統語的には主語 [名詞句] として機能する)*即ち、関係代名詞を「省略」できるかどうかは、関係節中での格という統語論的・意味論的概念で決まるのではなく、「先行詞の直後に関係代名詞があり、かつ関係代名詞のすぐあとに主語名詞がある」という表層的な条件によると考えることができる訳です。*英語や他のゲルマン諸語では、関係節中で主語が省略されたり S + V が倒置を起こすことはまずないので、名詞の直後に S + V が来れば、関係節の開始を知らせる関係代名詞がなくても、新たな節が始まったことがはっきりと認識できます。*即ち、関係代名詞なる関係詞の開始を表すマーカーが無くても意味が正しく把握出来ます。*これに対し、たとえばフランス語・スペイン語などのロマンス系言語の関係節では< S + V が倒置されることがあり、またスペイン語などでは関係節でも主語を省略することが多いためか、接触節は使われません。*「関係代名詞が目的格かどうか」よりも、「関係代名詞のすぐあとに主語名詞句があるかどうか」のほうが重要であることは、次のように関係代名詞が目的格であるにもかかわらず省略できない例からもわかります。( ()は空白、*は容認不可の文を意味する)◯ I met someone () you probably know today.× I met someone () probably you know today.(probably が介在するので省略不可)*以上から、接触節が許されるのは[先行詞 + 関係代名詞 + 関係節の主語]の3つが直接隣り合っている時ということが判ります。しかし、下の例の様に関係節の主語が無いのに接触節が生じているように見える場合があります。。It was you (who / that) gave me the money.私にその金をくれたのは君だ。There's nobody (who / that) knows I've come here.私がここに来たのを知っている者はいない。これらの文は、共通の(代)名詞を接点として二つの構文が融合したものと考えることができます。It was you. + You gave me the money.There's nobody. + Nobody knows I've come here. |
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形容詞としての which と what純然たる関係形容詞としての which*which には、名詞の前に添えて利用する純然たる関係形容詞の用法があります。*これは形容詞と呼称するよりは、正確には限定辞 determiner 用法と呼ぶべきでしょう。*the, that, those + 名詞の意味として機能し、主文で言及された語を引き継いで文を接着させる機能があります。*非制限用法として利用されますが、等位接続詞 and. but などを利用して適宜書き換え可能です。The storm raged all day, during which time the ship broke up.嵐は1日中荒れ狂ったたが、その間に船が壊れた。= The storm raged all day, and during that time the ship broke up.I stayed there for two weeks, during which time I visited my old teacher.私はそこで2週間滞在しました。そしてその(時の)間に私は旧師を訪れました。= I stayed there for two weeks, and during the time I visited my old teacher.He spoke French, which language I did not understand.彼はフランス語を話しました。しかし私はその言葉がわかりませんでした。= He spoke French, but I did not understand that language.]融合関係詞を構成する形容詞としての which/ what/ whichever/ whatever*<which/ what/ whichever/ whatever + 名詞>で、先行詞込みの名詞として、主語、目的語などとして扱われます。*提示された限られた候補を意味する時には which, whichever を、限定されない候補を表す時には what, whatever を用います。*上で述べた限定辞を表す用法とは全く異なることにご注意下さい。*ever は強意である事を明確にする添え物とお考え下さい。*これらは疑問詞とは異なりますが、関係代名詞用法と疑問詞用法を混同した解説は非常に多いです。whicheverYou may read whichever book you like.君はどちらでも好きな本を読んでよろしい。*目の前に提示された限定された少ない数の本の中からどれだも好きな本を選びなさい、の意味です。*ここに、whichever A = any of the As that, any A that に書き換え可能です。*時々受験に出ますのでサッと変換出来る様にしておいて下さい!Buy whichever hat you like.どれでも好きな帽子を買いなさい。Please strike out whichever option does not apply to you.あなたに該当しない選択肢を消してください。Either Thursday or Friday - choose whichever day is best for you.木曜日か金曜日、どちらか都合の良い日を選んでください。He can choose whichever dates suit him.彼は都合の良い日付を選べます。Officially we are always neutral, serving whichever government is democratically elected.公式には我々は常に中立であり、民主的に選出されたいかなる政府にも奉仕する。= Officially we are always neutral, serving any of the governments that is democratically elected.= Officially we are always neutral, serving any government that is democratically elected.Taxpayers could take their choice between the standard deduction and itemizing, and use whichever produced a better result.納税者は標準控除と項目別控除のいずれかを選択でき、より有利な方を利用できます。= Taxpayers could take their choice between the standard deduction and itemizing, and use either of those that produced a better result.whatここに、what = all theI gave him what 〔= whatever〕 help I could.私は彼にできるだけの援助をした。= I gave him all the help I could (give).I gave him what little money I had.私が持っているところのすべての少ないお金を彼にあげた。→私は少ないながらあり金全部彼に与えた。= I gave him all the little money I had.He showed her what [few] books he had.= He showed her all the few books that he had.彼は少ないながら持っていた本を全部彼女に見せました。whateverTake whatever book you think best.= Take any book you think best.どの本でも君が最も良いと思うものを取りなさい。*限定されていない多数の本の中からどれだも好きな本を選びなさい、の意味です。cf. 関係代名詞としての what*what を関係代名詞として使う例が見られます。*しかし、標準英語では what を関係代名詞として使うことは禁止されており、whoや that, which などを適宜用いるべきです。*意味不明の what に出くわしたら、取り敢えず that に置き換えてみて下さい!例えば、It is a name what strikes the hearts of anyone who hear it.→It is a name that strikes the hearts of anyone who hears it.*native がモノしたものであっても文法的に意味の通らない破格英文が英語世界には溢れています。*日本人の英文法力の方が格段に優れていると自覚し、自信を持って、サッと文意を掴めばそれでOKです。*間違った低レベル英語に対して、こちらがその解釈や読解に頭を煩わさせられる筋合いはありませんので。*お前の英語は何を言いたいのか分からない、と切り捨てればOKです。 |
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