英文長文読解 短期集中 個別指導 

KVC Tokyo  英語塾

                               





























































































































































































































塾長のコラム 2019年7月5日  『文型 と 動詞型』







文型 と 動詞型



2019年7月5日

皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。

 一般的には日本語の基本構造はSOV だと考えられていますね。詰まりは、主語−目的語−述語の順です(例:ワタシ wa−スシ wo−タベル)。これに対し、SVO 構造に従うのが英語(例: I -eat-sushi.)であると、中学の英語授業の最初の頃に教わったのではと思います。英語の主語について触れたコラムにて、この2つの言語は全く異なる遣り方で機能するものゆえ、この様な英語の文型の概念で日本語を捉えようとするアプローチがそもそも間違いで殆ど意味を持たないとの web 上の記事を引用しました。まぁ、英語は、主語−動詞−目的語(動詞+目的語は叙述語と考えても良い)が直線的に配列し、その周りに付帯状況を説明する修飾語句がちりばめられる構造に対し、日本語は、動詞(or 叙述語)が饅頭の餡子の様に中心にドカッと配置し、その周囲に主体を含めた様々な修飾要素がウニのトゲのように配列する構造との按配です。リニアー(直線的)な配列で捉えるべき言語体系では無いとの指摘です。

 勿論、英語に於いては、その表現の法体系、即ち英文法の規則性を合理的に理解する方途として、この様な語順に注目する捉え方は相当程度に有効なのは確かです。

 今回はこの様な、語順に注目する英文法、詰まりは文型とはそもそも何なのかについて探っていきましょう。


本コラム執筆の参考サイト:


http://www.grammarinenglish.com/sentencepattern/?lesson=examples








English Grammar: Sentence Patterns - What you need to know!

Jennifer ESL 2017/06/29 に公開

Part 2 of a two-part lesson on sentence structure. What common patterns

do sentences follow? Learn the basic patterns of a simple sentence.

https://youtu.be/745WT5bcFwA


大変平易で分かり易い基本5文型についての解説です。聞き取りもラクですね。






 英語の文型 sentence patterns は基本5文型に加え、それに2つを加えて7文型とする主張もありますが、実は、特定の動詞と取り得る特定の文型とが決まっていて、要は、動詞の取り得る形式、即ち動詞型 verb patterns を簡略化して纏めたものがいわゆる文型であることが理解戴けると思います。

 各動詞についてどのパターンが許容され得るのかを知識として貯える他はありません。これは一種の慣用的な表現法 collocation であり、他言語話者が口を挟む余地はありませんが、法則性はあります。例えば皆さんご存じの様に、知覚に関する動詞の場合 SVOC 型を取れるなどです(例:I  heard the baby crying.  I saw a sloth swim  in  the  river. ここに、C は〜ing 或いはto のない不定詞)。

 個々の動詞について、取り得る(広義の)型を表にしたものが、英英辞典の巻末などに付録として添えられていることがありますので、迷ったらさっと参照すると英語の力が付きます。








 英語の文型と動詞型についての面白い論文が見付かりましたのでご紹介しましょう。


文型と動詞型との関係について

日塔 悦夫 Etsuo Nitto 雑誌名dialogos vol. 11, 2011-03:239-255

http://id.nii.ac.jp/1060/00005062/  (無料で入手出来ます)


 「過去には、安井稔は文法用語「5文型」がT.Onionsの「述部の五形式」から「5」を借り、さらにPalmerの「動詞型」から「型」を借り、そして我が国でそれら二つが「5文型」に新配合して成立したと定義した。これに対し著者は、英語の文型概念が大正10年頃の日本語教育から発し、それが Palmer と Hornby の動詞型に受け継がれ、戦後に英語の5文型となった。Palmer の27動詞型は本邦に於ける英語教育並びに日本語教育の中から生み出された文法用語の「文型」から考案されたもので、1938年に A   Grammar of  English Words として出版された」、と日塔氏は論考します。




 詰まりは、それまで英語圏には文型の概念も無かった訳で、日本人がその基礎を作ったとの説になります。英語話者にとっては、自分たちの語順が当たり前すぎて意識もしなかったのかもしれません。個々の単語(動詞)に関しては子供の頃からの会話を通じ  collocation を覚えて利用するに留まり、特に意識して数個の類型に分類しようとの気持がなかったのかと思います。逆に日本人は、漢文を読む時に返り点を打ったりしますが、その影響で他言語の語順に対する意識を鋭く持っていたとも言えそうです。

 因みに塾長が手持ちの、Cambridge University Press 発行の English Grammar Today なる文法書(初学者〜中級者向けの解説本)にも、Sentence Patterns の項目は無く、代わりに様々な動詞についてそれが取り得るパターンを類型化した内容の記述が続くだけです。5つの文型パターンは法律で言えば憲法の様なもので、実用面では法律としての個々の動詞の使い方詰まりは動詞型を把握するしかないだろう、と思います。

 まぁ、言うなれば、非英語話者が英語を学習する際に便利な様に、動詞を中心とする類型パターンを極くおおざっぱに纏めたものが、文型であるとも言えますね。ひょっとすると、文型だと騒いでいるのは日本人だけなのかもしれません。








 次回からは、

   https://dictionary.cambridge.org/

 に掲載の個々の動詞について、その用法・用例を採り上げながら、文型も絡めつつ解説を加えて行きたいと思います。